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生まれ変わったら曹昂だった。 前世の知識を活かして宛城の戦いで戦死しないで天寿を全うします  作者: 雪国竜
第十四章

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命がけの交渉

 兵の案内で張飛と供の単福が大広間に通された。

 部屋には上座に座る劉表。蔡瑁を含めたその他家臣達が勢揃いしていた。

 そして、室外には命じられ集められた兵達が抜身の剣を持ちながら息を殺して合図を待っていた。

(・・・・・・殺気を感じる。部屋の外に兵が居るようだな)

 室内に入ると、ピリピリとした空気を感じさせたので、張飛はそう察した。

 下手な事を言えば首を斬られるなと思いながら、張飛は膝をついた。単福も張飛の後ろで膝をついた。

「劉荊州牧。お元気そうで何よりですな」

「挨拶はよい。張飛、其方は何故参ったのだ?」

 義兄の劉備を食わしてくれているので、張飛は丁寧な言葉づかいで対応したが、劉表は要件を言えとばかりに話をした。

「はっ。では、昨夜、わたしが客舎で寝ている所に、蔡瑁殿が兵と共に雪崩れ込んで来ました。部下達の殆どは捕縛され、わたしも何とか逃げる事が出来ました。わたしは宴に参加しただけというのに、何故この様な事になったのか理由を聞く為に参りました」

「そうか。では、教えてやろう。お主の義兄である劉皇叔は儂の命に叛き、曹操軍を打ち破ったのだ。お蔭で朝廷との交渉が決裂し我らは逆賊となった。皇叔が儂の命に叛いた理由を聞く為に、まずはお主から話を聞く為に蔡瑁に命じて連れて来る様に命じたのだ」

 劉表は捕まえる事になった理由を述べた。

 だが、張飛からしたら敵が攻め込んで来たというのに打ち破らないでどうやって勝つつもりだと思ったが、此処は我慢だと思い怒りを胸の内に隠した。

「・・・・・・それであれば、戦を終えた後に呼び出せばよかったのでは?」

「曹操軍がまた襲来してくるかもしれんのだ。その時、守りの要である皇叔が不在では兵の士気に関わると思ったのだ。暫く様子見をしたが、曹操は兵を出す気配もなく、そろそろ節句の時期であったので宴に呼んで話を聞こうと思ったのだ」

 劉表は尤もな理由を述べるが、本当の所は以前蔡瑁が暗殺に失敗したので、理由もなく呼びだせば警戒すると思い呼び出す事をしなかった。

「兎も角、其方がこうして参ったのだ。皇叔が儂の命に叛いた理由を聞きたいが、今は孫権の対処で忙しい。客舎で待っていて貰おうか」

 厳重に兵で警備させて逃げる事など出来ない場所に幽閉しようと思い劉表が退室させようとした所で、単福が口を挟んだ。

「恐れながら申し上げます。わたしめに孫権めを撤退させる策がございます」

「うん? お主は?」

「わたしは単福と申します。劉皇叔の配下にございます」

 張飛の供で後ろに控えていた単福は話をはじめた。

 劉表はその顔を見て、何処かで見た事があるような気がした。

 だが、会った時の印象が薄かった様で思い出す事は無かった。

「そうか。それで、単福とやら、孫権を撤退させる策とはどのような策だ?」

 劉表が単福に訊ねるのを聞いて、家臣達がざわつきだした。

「殿。皇叔の部下に訊ねずとも」

 蔡瑁が自分達の意見よりも、目の前にいる単福の話を聞く事に納得いかない様子で口を出した。

「どの様な意見なのか聞いても損は無いであろう。それで、どの様な策だ?」

 劉表が訊ねると、家臣達の視線が単福に集まった。

 好奇と猜疑が入り混じった視線を一身に浴びる単福は息を吸った後、口を開いた。

「孫権めに和睦の使者を出すのです。さすれば、孫権は兵を退くでしょう」

 単福が述べた策を聞いて、その場は一瞬静まった。

「・・・ふ、ふははは、何を馬鹿な事を言う。孫権は殿を父孫堅の仇と言って攻め込んでくるのだぞ。怒りに燃えている孫権が聞き入れる訳がなかろう」

 蔡瑁が呆れて笑いながら言うが、単福は話を続けた。

「いえ、今の孫権と劉表様には共通の敵がございます。その敵を倒すという事であれば、孫権も恨みを捨てて手を組むでしょう」

「共通の敵とは 誰ぞ?」

「曹操にございます」

 単福が強く言うと、劉表達は唸った。

「孫権も劉表様も曹操の勢力を増す事を快く思っていないでしょう。ですので、其処をついて和睦を申し掛けるのです。さすれば孫権は軍を引くでしょう。上手くいけば同盟を結べるかもしれません」

「ぬうう、だが、和睦を勧める使者は誰がするつもりなのだ?」

「其処は我が主、劉皇叔が致します」

 単福が劉備を使者に推薦すると、劉表も顎鬚を撫でた。

「確かに、皇叔であれば使者の役は果たせるな。だが、使者を受け入れると思うか?」

 使者の話を受け入れるフリをして逃げだすのではという意味を込めて言う劉表。

「ですので、其処は安心の質として張飛将軍をこの地に留まらせます。皇叔が逃げ出す又は使者の役目を果たせなければ、張将軍の首を刎ねて下され。成功すれば、此度の曹操軍の対応は赦すという事で如何でしょうか?」

 単福がそう述べるのを聞いて、劉表達は衝撃を受けていた。

「なっ、張飛を人質にするだと⁉」

「はい。既に張将軍の許可は得ております」

 単福は許可を得たと言うが、劉表達からしたら本当にどうなのか分からなかった。

 劉表もこの話を乗るかどうかを考えた。

(・・・・・・ふむ。しかし、これは使えるな。もし、和睦が失敗すれば、その罪で劉備を殺す名分が出来る。逆に成功すれば、孫権の対処の手間が減り、曹操の対処に注力できるな。これは成功しても失敗しても、儂に損は無いな)

 そう判断した劉表は何度か頷いた後、単福を見た。

「良かろう。お主の策を行おう。ただし、こちらからも使者の補佐を送る。その者と協力する様にせよ」

 補佐という監視役を付ける事で単福の策を採用する事にした劉表。

「ありがたきお言葉にございます」

 単福は内心、これで暫くは安全だと思った。

 後は補佐という名の監視役と共に劉備の下に向かい、事の次第を話すだけであった。

(しかし、勝手に張将軍を人質にしたからな。叱られるだけならばよいが)

 単福は怒った劉備に首を斬られる事も覚悟するのであった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 前話からの流れ的に劉備陣営は将棋の読みに入られてる感。 関羽を自ら捨て、自ら誘った軍師に張飛を捨てられそうになってる劉備。 これは、的盧効果? 関羽と張飛いなくなった劉備陣営って、正直怖く…
[一言] なーんか史実よりも欠陥建築の三国鼎立(風が吹くだけで倒れる模様)モドキが徐庶の手でw これはもう諸葛亮は曹操陣で安定生活するしかない
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