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生まれ変わったら曹昂だった。 前世の知識を活かして宛城の戦いで戦死しないで天寿を全うします  作者: 雪国竜
第二十一章

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開戦

 孫権軍が合肥を包囲したその夜、城外の陣営には妙なざわめきが広がっていた。

「……なんだ、この匂いは?」

「・・・・・・何か焼いている匂いだな」

「これは・・・肉だ」

 兵たちは鼻をひくつかせ、互いに顔を見合わせた。

 風に乗って漂ってくる香ばしい匂いは、明らかに城内からのものだった。

「合肥から匂う所をみると、兵の士気を高める為に宴を開いているのか?」

「だとしたら、敵も決死の覚悟で守っているとみるべきだな」

 漂ってくる匂いを嗅いで、城壁を睨む呂蒙が呟くと、偶々話していた潘璋が答えるのであった。

「なんの、明日になれば我が軍は攻撃をするのです。さすれば、あの城は我らの物ですっ」

 呂蒙達と話していた淩統が、鼻で笑いながら述べるのであった。

 淩統が最早勝った気分でいる事に、呂蒙達は気が早いと思いつつも兵達の士気が高いので、曹操が来る前に合肥を落とす事が出来るのではと思っていた。

 

 同じ頃。合肥城内では。

 張遼が選抜した兵と共に、焼いた牛肉を食べていた。

 如何に大きい塊肉といえど、八百人全員の腹を満たす事は出来なかった。

 焼けた塊肉の外側の部分を削ぎ切りにして、何切れか渡され、味付けも塩のみであった。

 だが、それだけだというのに、兵達は肉を噛み締めながら味わっていた。

「牛肉って、こんなに美味いんだな」

「だな。滅多に食べれないけど、こんなに美味いんだな」

 牛は生贄に捧げられる事が多いが、全く食べられないという事はない。

 畑を耕すときに使う牛などが年を取りすぎて働けなくなった時に潰して食べられる事もあるが、そんな機会など数年に一度あるかないかという事なので庶民では食べる事が少ない。

 兵士になったからと言って、必ずしも肉を食べれる訳でもなかった。

 だからか、焼いた牛肉を食べている兵達を他の兵達は羨ましそうに見ていた。

 張遼が選抜した兵達は肉を噛み締めながら、張遼の話に耳を傾けた。

「夜明けと共に出陣するぞ。そして、この戦に勝つ!」

「「「おおおおおおおっ‼」」」

 張遼の宣言を聞いて、兵達は歓声をあげた。

 その歓声を聞きながら、張遼も自分用に切り分けられた肉を口の中に運び味わった。


 夜の帳が明けて、太陽の日が薄く明かり大地を照らし始めた。


 合肥を包囲する孫権軍の陣営は静かであった。

 見張り台に兵はいるが、未だ殆どの兵が眠りについていた。

 あと数刻ほどすれば、目覚まし代わりの太鼓が叩かれる筈であった。

 その時、合肥の城門が音を立てて開かれた。

「城門が開いた⁉」

 見張り台に居る兵が欠伸を噛み殺している時に、音が聞こえたので顔を向けると合肥の城門が開かれているのを見て、声をあげた。

 そして、慌てて鉦を鳴らしたが、その時には城門から集団が飛び出していた。

「攻撃せよ‼」

 集団の先頭に居る者がの雷のような声と共に駆けだしていくと、その集団は喊声をあげつつ続いた。

 その集団の先頭にいるのは張遼であった。

 張遼率いる八百の決死隊が孫権軍の陣営に襲い掛かった。

「敵襲、敵襲!」

 鉦の音を聞いて、天幕の中で寝ていた兵達が目をこすりながら出ると、陣営に入ってくる張遼達を見て叫んだ。

 突然の強襲で兵達が混乱していた。

「このまま、本陣まで突き進む! 続けえええ!!」

 張遼が咆哮すると、兵達も喊声をあげた。

 そして、孫権がいる本陣に迫っていった。

 本陣に向かうまでの間、何度も兵達に遭遇したが、突然の強襲という事で武具も得物も何も持っていない状態であった。

 そんな兵など完全武装した張遼達の前では、敵ですらなく簡単に弾き飛ばしていった。

 張遼が得物を振るい突き進み続けていると、前から馬に乗った者が駆け出してきた。

 纏っている武具は、張遼者達が着ている者と形が違っていた。

 何より、驚くべきなのはその者が持っている得物であった。

「貴様が張遼か!」

「いかにも。貴殿は何者か!」

「我こそは、孫権様の配下の宋謙なり。我が方天画戟の錆にしてくれるっ」

 そう言って宋謙は手に持つ方天画戟を振るいだした。

 柄に対して三日月状の刃が水平方向に2枚取り付けられていた。

「貴様、その得物をどこで手に入れた!」

「ははは、そんな事話す必要もないが。冥土の土産に教えてやろう」

 一頻り笑った宋謙は言葉を区切り構えた。

「呂布が持っているのを見た事があるので、職人に言って作らせただけだ!」

 宋謙は一度だけ呂布が戦っているのを見た事があった。

 かなり昔の事だが、孫権が徐州を手に入れようと攻め込んだ時、曹昂の謀略に掛かり部隊を率いていた程普が攻撃を受けた事があった。

 その時、宋謙は副将として程普の下におり、遠目だがその戦いで呂布が戦っており、その時持っている得物が戟にしては変わっているので覚えていた。

 そして、生きて生還すると自分のあのような得物が欲しいと思い、職人に頼んで作らせようとしたのだが、多くの職人が首を横に振った。

 話を聞いて、簡単に絵を描いで見た。その絵を見て作った事もないので、自分達の技術で作れるか分からなかったので、首を振ったのだ。

 それでも宋謙は諦めず、腕が良い職人の話を聞くと作ってもらうように頼み込んだ。

 何十件も回ったが、何とか作ってもらう職人を見つけて作ってもらったのだ。

「貴様の腕では方天画戟を持つなど、百年早いっ」

「何をっ、ならば我が一撃を受けてみよ」

 宋謙が駆け出すと、張遼が迎え撃った。

 互いの得物をぶつけ火花を散らしていく。

 甲高い音を立てながら、数合ほど刃を交えてたが、武芸の腕は張遼の方が上であった。

「ふんっ」

「ああっ!」

 張遼の袈裟切りを宋謙は受け止めようとしたが、受けきれず方天画戟を落としてしまった。

「これは、敵わん!」 

 そう言って宋謙は手綱を操り、落とした方天画戟を拾いその場を離れてしまった。

「良し。進め!」

 張遼は逃げた宋謙を追わず、孫権がいる本陣へと突き進みだした。

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酒碧眼、脱糞逃亡へw
遼来来だ!
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