24部
『……………なるほど、影山秀二が既に死んでいたと…………』
電話の向こうの伊達はなんとなく興味を持っていないような感じで、山本が話したことを要約した。
「真偽の方は俺にもわからないが、論文に見せかけてまで石田が俺に伝えようとしたことなら調べてみる価値は俺はあると思ってる。」
『そうは言っても、警部は今そこから動けないんですよね?
あのうさんくさそうなジジイに見張りつきの小屋に閉じ込められた訳ですしね。』
「まぁ、確かに何者かはわからないが、警察が俺のところに来ないところを見ると俺がここにいることは漏れてないってことだからな。
一応、信じてみる価値はあると思うがな。
それとも、何か気に入らないところでもあったか?」
『警部ももう聞いたかも知れないですが、僕のジジイは足束なんですよ。
ホームレスのジジイとうちのジジイに関係があるとは思えませんし、そうなるとあのジジイは本当はホームレスではない可能性もあります。』
「ホームレスの人権についての調査で会ったと言っていたぞ?」
『まぁ、ジジイのことは今片倉が調べてます。
話を戻して、今僕たちが探している影山が秀二ではなく、光輝なのだとしても、僕のやることは変わりありません。
ただ、その論文にかいてあることは上田さん達が調べていることによく似てますよ。
ひきこもりだったり、前科者だったりが行方不明になってるらしいですから、もしもひきこもりだった人達を殺して前科者達を殺した人達と入れ替えるなんてことをしていたら、大量の殺人事件ですよ。』
「そんなことをする意味はなんだと思う?
それにそんなに大量に殺してるなら死体の処理も大変だろ。」
『意味なら簡単ですよ。
影山が失った手足を補充することです。
前回の事件で多くの部下を失ったと考えられます。前科者達に恩をうって手駒を増やそうとしてるんですよ。
それに死体の処理も臓器を欲しがってるような奴等に売り渡せば、死体は出ずにその人を消して処理を買い取った奴等にやらせれば面倒なこともないでしょう。』
「とりあえず、そっちで調べられないか?
石田が残した確実に秀二ではなく、光輝だという証拠を。
両親のところはわかりやすすぎるから違うと思う。他に大事な証拠を任せられるような人を探してくれ。」
『わかりました、やってはみますが期待はしないでください。
他に何かありますか?』
「加藤はどうだ?」
『ああ、順調に回復してますよ。
ただ、あの事件についての捜査はまったく進んでませんね。
警部のことも真剣に探してる感じはないですし、あまり進展もないといった感じです。』
「そうか、俺が話した影山の話をそれとなく上田にも伝えといてくれ。」
『了解しました。』
伊達はそう言うと電話を切ってしまった。
山本はパソコンに目をやり、何度も読み返している石田の論分に目をやってため息をついた。




