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明かされる真実?

「実は私には将来を誓った恋人がいるのです」


ドラゴンカイザーの言葉の裏に隠された事情を察した俺にエメラルダは訥々と語りだした。


「名前はマリス。騎士爵の息子で第5騎士団から特例で近衛騎士団に編入となった騎士です」


「特例?」


 確か王都に所属する近衛騎士は帝国でも最強クラスの騎士なんじゃなかったっけ?

 なのに特例って事はそうじゃない訳で。


「マリスは賊に襲われた王族の命を救った事で特別に近衛騎士に就任する事を許されたのです」


 エメラルダが言うには、実は純粋な実力で近衛騎士になっている騎士はかなり少ないらしい。

 と言うのも、ヴィクツ帝国は古い国だからだ。

 国が古くなればそれだけ腐敗も進む。

 つまりコネ入社という奴だ。裏口入学とも言う。

 そこそこ大手の貴族子弟が、箔を付ける為に近衛騎士になるのはよくある事なのだとか。

 だからそのマリス君が特例で近衛騎士になる事も無理ではないのだそうだ。

 王族や大貴族がお気に入りを近衛騎士にして贔屓する、これもまたよくある事なのだとか。

 うーん、驚きの腐敗っぷり。


「言っておくけど、一般的には貴方も贔屓されて貴族になった枠に入るのよ」


 おっと、これは耳が痛い。

 確かに裏で色々理由があったものの、はたから見たら俺もそうなのは間違いないな。

 さすがに短期間で出世しすぎたもんなぁ。

そりゃあ嫉妬して姑息な嫌がらせをされる訳だ。


「まぁソレは置いておいて、そのマリス君が救った王族って言うのは……」


 俺が続きを促すとエメラルダは頷いた。


「ええ、お察しの通りマリスが救った王族と言うのは私の事よ」


 これまたお約束と言うかなんと言うか、とある地方領地の視察に来ていたエメラルダは政敵の刺客に襲われ命の危機に陥った。で、それを救ったのがその領地の家臣の息子であるマリス君だったそうだ。

 典型的なつり橋効果って奴でエメラルダはマリス君に一目惚れ、彼を身近に置く為に近衛騎士に大抜擢までしたのだとか。


「そこまでだったらよくある騎士ロマンスなのだけれどそうはいかなかった」


 よくあるのか?


「貴方も貴族なら分かるでしょうけど、私には婚約者が居た。そして彼にとってマリスは自分と私の間に入ってきた邪魔者だったのよ。私がマリスと仲良くしている所を見る度に彼はマリスに食って掛かったわ。……本当に器の小さい男」


 ……あれ? その婚約者君別に悪くなくね?


「貴族が婚約者とは別に本命の愛人を持つ事なんて珍しくないわ。貴方だって愛人候補くらい居るでしょ?」


「え? あ、いやどうだろ……」


 はー、この世界は愛人が本命でも問題ないのか。うーんカルチャーショック。でも生まれる前から婚約者が居たりする貴族の世界ならそう言うのが常識になってんのかな? もしかして地球の貴族も本当はそういう生活をしていたのだろうか?


「婚約者とはいえ、私は皇女で次期皇帝。表立って発表こそしていなかったものの、勘の良い連中はとっくの昔に気付いていたわ。だから私がマリスを囲っても誰も文句は言わなかった」


 つまり婚約者君はマスオさんだった訳だ。

 そう考えるとマリス君に嫉妬する理由もなんとなく分かるなぁ。だってエメラルダの方が力関係が明らかに上なんだもん。そのエメラルダに本命が居ちゃ、婚約者君だって逆玉だって喜んでる場合じゃないわな。


「始めは大した事の無い嫌がらせ位だったのだけれど。ある日見覚えの無い連中を帝都に連れてきた時から何かが変わり始めたの」


「なるほど、件の黒幕登場か」


「たぶんね、彼のお父様に仕える家臣の息子を自分の直臣として連れてきたと言われたわ。まぁそれ自体は普通にある事だから特に疑問に思わなかったのだけれど」


 皇女の婚約者になるくらいの大貴族なら信頼のおける家臣を傍に置く位当たり前か。

 で、その直後から作者の居ない物語が出回ったり、『主役症候群』にかかる人間が現れだしたと。

 その婚約者君も操られてるのか、マリス君を排除する為に手を組んだのか、はてさて一体どっちなんだろうな。


「で、そのマリス君はどうなったんだ? 彼が人質になったからお前はおとなしく捕まったんだろう?」


「……ええ、彼に呼び出されて、帰ってきた時にはすっかり可愛らしい女の子になっていたわ」


「そうか……」


 ん?


「え? 女の子?」


 何かの聞き間違いかと思いエメラルダに確認をする。

 するとエメラルダは頬を赤らめながら頷いた。


「そう、マリスはすっかり女装の似合う男の娘になっていたのよ!!」


「何考えてんだ異世界人んんんんんんっ!!」


 何でお前まで嬉しそうなんだよ!!


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