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いざ龍の巣へ!

いつも感想と誤字脱字のご指摘ありがとうございます。

今後は作品に集中する為に、章が終わるまで感想は見ない事にします。

ですので誤字脱字のご指摘を頂いた際の修正は少々遅れる事になります。

「ドリヴィックの心を読んだわ」


 医務室からの帰り、エメラルダはポツリと呟いた。


「で、どうだった?」


「正気に戻っていたわ。嘘は言っていなかった」


「そうか」


 スキルで心を覗いたのなら騙される心配も無い。

 隠匿系のスキルでも持っていない限り、だが。

 彼等が正気に戻ったのならエメラルダの為に戦うという彼等の言葉に偽りは無いだろう。


「で、貴方はこれからどうするつもりなの?」


 エメラルダの声が俺を思考から浮上させる。


「え? ドラゴンカイザーに会いに行くんじゃないのか?」


「え?」


「え?」


 お互いに間の抜けた声を出してしまう。


「ええと、私は第一騎士団に保護された訳だし、ドリヴィックを操っていた魔法具も外したから貴方としてもこれ以上深みに嵌る必要は無いんじゃないの?」


 何故かエメラルダが俺が辞める理由を考え始める。

 まぁそうかもな。けどなぁ……

 っていうか自分から嵌めておいて今更言うか?


「あいつらを放置しておくのも不味いんだよな」


「……そうね、ルジオス王国も襲われたのだからそっちも引く訳にはいかないわよね」


 なんか勘違いした感じでエメラルダが納得する。


「それもあるが、あいつ等の最終的な目的が分からんのが気になるんだよ。一体何がしたいのか」


 わざわざ異世界から来ているにも関わらず侵略戦争をするでもなし、かといって貿易や友好を結ぶわけでもない。

 そもそも何故ルジオス王宮を襲ったのかも分からないのだ。

 シャトリア、そして今回のヴィクツ帝国も然り。

 これからもやり合う可能性を考えたら連中の情報を少しでも得ておきたい。


「あと約束したからな」


「約束?」


 おいおい、お前が頼んできたんじゃないか。


「ドラゴンカイザーの元に連れて行って皇帝になる手伝いをするって約束しただろ」


「あ、うん……」


 何故かエメラルダは顔を俯かせて黙り込んでしまった。

 なんだか耳が赤いような。


「そんじゃ次の目的は龍の巣に行ってドラゴンカイザーと会うって事で良いな?」


「え、ええ。異存は無いわ」


 エメラルダの了承も得たし、本来の目的であった龍の巣に向かいますか。

 ドラゴンカイザー、一体どんなドラゴンなんだろう。


 ◆


 アルマ達と合流した俺達は一路龍の巣に向かっていた。

 砦を出る際に、ドリヴィックは自分達がエメラルダの護衛になると言って聞かなかったのだが、エメラルダの口から龍の巣に向かうと聞いて渋々諦めた。

 というのも、この国においてドラゴンとは神聖な存在であり、その神聖な存在の聖地である龍の巣に軍隊が詰め掛けるなど考えられない行為なのだそうだ。

 ドラゴンの怒りを買わない為にも、ドリヴィック達引き続き砦に待機する事となった。

 代わりにエメラルダから指示があったら直ぐにはせ参じる事を約束していた。


「龍の巣は皇族とごく一部の選ばれた者だけが近づく事を許された聖域よ、だから龍の巣が近くなったら馬車を置いて私と貴方だけが龍の巣に入る事になる」


 俺もついていっていいんかね?

 その疑問をぶつけると、エメラルダは顔を赤くして応えた。


「皇族のほかに例外的に許されるのはその伴侶となる者よ」


 ああ、成る程。そういえば俺と婚姻関係を結びたいって言ってたっけ。マジどうしようかな。

 以前エメラルダを諦めさせる為に国をよこせば結婚しても良いって冗談で言ったらマジで了承したからなコイツ。

 果たして本心なのか演技なのか。


「でも……」


 エメラルダは悲しそうに目を伏せる。

 冷静になって考えたらやっぱ嫌だったか?


「でも私はお姉様の愛を知ってしまった! 次期皇帝である私が! 殿方では無く、同じ女のお姉様を!」


 ……え?


「ああ、ミヤお姉様。貴方の平手は何よりも私の心と体と体と体に響いた。あんな事は生まれて初めてです……」


 体ばっかや無いですか。

 これが古代魔法文明式の従者教育法の成果という奴……か?


「命の恩人とお姉様への愛。私は一体どちらをとったら良いの!?」


 好きな方を取れば良いんじゃないですかね。

 恐ろしい事にミヤの教育でおかし……躾けられた少女達は、全体の8割の及んでいた。

 早いよ、迅速だよ、韋駄天かよ!

 はじめは俺に対して熱い視線を送っていた少女達だったが、今ではミヤに対して熱い視線を送る様になっていた。


「計画通りですねご主人様! これで身の程知らずにも、ご主人様に懸想する従者は居なくなりました!」


 教育ってそう言う事かー!!!

 こうしてミヤの手によって俺のハーレム(予定)は瞬く間に消え去ってしまった。

 いや、ハーレムを作りたいって訳じゃないけどさ。なんか俺が複数の女の子から好意を寄せられると、まるではかったように叩き潰されるんだよな。

 まさか呪いか? ファンタジー世界なんだし呪いがあっても可笑しくない。

 ハーレム展開を邪魔する呪い、なんて恐ろしい呪いなんだ…………無いなさすがに。


 ◆


 第一騎士団の砦を出て数日、俺達は砂漠地帯へと足を踏み入れていた。

 といっても、サハラ砂漠とかみたいな危険で熱い場所などではなく、どちらかといえば凄くデカイ砂場といったぬるい温度だった。

 これもドラゴンの加護なんだろうか?

 温度はそれほど高くないので水を求めて乾くことも無い。まぁそうなった時は魔法で水を出せば良いだけだが。

 そうして旅を続けていたが、終わりは唐突にやってきた。


「ようやく着いたみたいだな」


 俺の視線の先には巨大な影があった。

 空を埋め尽くす大量の翼持つ生物の群れ。

 それは鳥ではない。

 それは鱗を持った巨獣、この世界最強の種族。

 視界の先、地平線にわずかにゆがみを作る岩山にたたずむ生物の輪郭。

 ドラゴンの群れの姿がある、あの場所こそ俺達の目的地に違いない。


「アレが竜の巣か……」


 視線の先、龍の巣と呼ばれたそこで、大量のドラゴンがゴロゴロと転げまわっていた。

 ……え? 何ソレ?

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