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第十九話 解体は危険がいっぱい

 カンッ、カンッ、カンッ――。

 ドドドッ――。

 カラカラカラ……。

 廃墟には、ロックと同じくクエストを受けに来た冒険者たちが、数人いた。

「崩しますー!」

「いいぞー!」

「これ! 運ぶぞ!」

「はーい!」

 すでに解体作業は進んでいる。

「おい、俺もクエストしたいんだが……」

 カンッ、カンッ、カンッ――。

「…………」

「俺もクエスト…………」

 ドドドッ――。

「おいっ!! 俺も!!」

「兄ちゃん、クエストやるのか?」

「あ……あぁ。初めてなんだが……」

「他の冒険者に気を付けてくれれば、どこを解体してもいいぞ」

「廃材も貰えると聞いたんだが?」

「あぁ、あそこに魔法陣が見えるだろ? あそこに廃材を置くと、重さによって報酬が貰えるんだ」

 冒険者たちが、次々と廃材を魔法陣へと運んでいく。

「その後は、その隣の箱に入れると魔法で転送されて処分されるんだが……」

「……なるほど」

 報酬を受け取った冒険者は、そのまま廃材を箱へと放り込む。

 廃材は、光に包まれて消えていった。

「転送させずに持って帰ってもいいんだ。ここに捨てていかなければ……な」

「分かった……」

「何がいるんだ?」

「とりあえず、木材かな?」

「あっちに小さい小屋がある。木材は大きさの割に軽いから、誰もやりたがらねーんだ」

「そうか……小屋の方に行ってみるよ」

 ロックは、少し離れた場所にある小屋へと向かっていった。


  小屋を見ると、ロックの家よりは小さいが――

 屋根はしっかり残り、壁にも穴は空いていない。

「俺の家より……立派じゃん……」

 これから解体しようとしている小屋と、自分の家を比べ――ロックは軽くへこんだ。

「……もったいないけど、壊すか」

 気を取り直し、入り口の扉に手をかける。

「おりゃー!」

 バキッ、バキッ!

「よし!外れた」

 外した扉を、そのままポイッと投げ捨てる。

「次は壁だな」

 バリバリバリ――。

 ポイッ。

 バリバリバリ――。

 ポイッ。

「ノエルちゃんのバフが効いてるぜ!」

 ロックのボディは明らかに強化されていた。

 解体作業は、驚くほど順調に進んでいく。

「よし!次はここだ!」

 ロックは柱に狙いを定め――

 ゲシッ! ゲシッ! ゲシッ! ゲシッ!

「折れねーな!これなら……どうだ!」

 バキッ!

 ボキッ!

「よし!折れた!」

 グラ……。

 グラ……。

「……ん?」

 嫌な揺れ。

 グラ……。

 バタバタバターッ!!

「どわーっ!」

 支えを失った屋根が――

 ロックの上へと、崩れ落ちてきた。


 ガタッ。

 ガタガタッ――。

「うぅおぉーっ!」

 バーンッ!!

 落下してきた屋根が、内側から吹き飛んだ。

「痛え……あー、びっくりした……」

 多少のダメージはあった。

 だが、屋根はすでに腐っていたうえ、ノエルのバフも効いていたため、軽傷で済んだ。

「おい、兄ちゃん! 大丈夫か?」

「なんとかな……腐ってたみたいだぜ」

「……兄ちゃん。先に屋根を解体した方がいいぞ」

「……そうみたいだな。気を付けるよ」

 ロックは反省しつつ、作業を再開しようとする。

 すると――

 ヒューッ

 ビシッ

「いてっ!」

 何かが頭に当たった。

「何だ……?」

 ドングリが転がっていた。

 ヒューッ

 ビシッ

「いてっ! 何だよっ!」

 転がるドングリ。

 ロックは周りを見渡す。

「……いた!」

 小屋の屋根の上に、そいつはいた。

「キキィーッ」

 猿が手にたくさんの木の実を持って、ロックに向けて投げる構えをしている。

「何しやがる!」

「キキィー」

 ヒュー

「うおっ……」

 ギリギリで躱す。

「このやろう〜……」

 ロックは小石を拾い、投げる。

 ヒュー……コンッ……

 屋根の上まで届かない。

「くそっ」

 ヒュー……コンッ……

 ヒュー

 ビシッ

「いてっ!」

 猿も投げてくる。

「キキィー!」

 喜んでいるように、馬鹿にしてるように、屋根の上で小躍りする猿。

「そこで待ってろ!」

 ロックは壁際に積まれていた廃材に登り、屋根まで登った。

「キキィ?」

 ヒュー

 ビシッ

「効かねーよ……」

 ロックは猿の所まで走っていく。

 ガンッガンッガンッガンッ

 トタン屋根の音とロックの形相に驚いた猿は――

「キキィーッ」

 バッ

 ピョンピョン

 ガサガサッ

 森に逃げていった。

「待て! このやろう〜!」

 ガッ

 ズボッ

「あ……?」

 屋根を踏み抜き――

 ドスンッ

「がはっ!」

 床に倒れた。


「お~い、兄ちゃん。今度はどうした?」

 小屋の中から、ロックが出てくる。

 バフがなければ、バラバラになっていただろう。

「あぁ……猿が邪魔してきやがった……」

「こっちにも出たのか」

 冒険者はカバンから箱を一つ取り出す。

「猿避けだ。使え」

「分かった」

 ロックはそれを受け取り、セットする。

 猿を寄せ付けない光と超音波が、周囲に広がっていった。

「これで大丈夫だろう」

 冒険者は持ち場へと戻っていった。

「気を取り直して、作業するか……」

 ロックも解体作業を再開した。

 ――。

 ――。

 ――。

 解体した木材を、魔法陣まで運ぶ。

 ポンッ――

 光と共に現れたのは――

 “5000”と刻まれたメダル。

 それをギルドに持っていけば、そのまま換金される仕組みだ。

「五千セインか……」

 ロックはメダルをポケットにしまい、木材を持ち上げる。

「これを家まで持っていくのか……めんどくさいな」

 一度、自分の家へと戻ることにした。

「何で……神の俺が……こんなこと……」

 ぶつぶつと文句を言いながら――

「セラのやつ…………天界に戻ったら…………覚えとけよ…………」

 木材を背負いながら、ロックはボロ屋へと帰っていった。

 ――その頃。

 ロックが木材を抱えて歩いていた、その時――

 エリシアもまた、街の外へと出ていた。

 向かう先は、西。

 その周囲には、数名の騎士たちの姿がある。

 その重々しい雰囲気が、エリシアを不安にさせていた。

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