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SEWのプレイヤー達。

すると、セイムは布団の中でもそもそと動いて、

「もうどうでも良いんです。あなただけでも逃げてください。ドロシー」

と、答えます。紛れもない、セイム本人の口から告げられた言葉を聞いて、ドロシーは急に、とても悲しくなってしまいました。思い出すのは、要らない。と言われてゴミ捨て場に放り投げられた時のこと。そして、セイムと初めて出会った時のことです。

「やだ!!わたしセイムとずっと一緒にいたい!ずっとずっと一緒にいたい!!」

ドロシーは、布団の中のセイムに向かって力いっぱいそう言いました。


 少しはなれた場所で、トーアの乾いた頬を涙が一つ伝いました。彼はひどく納得した様子でただ一言だけ。

そうか、そんなことが。と、言いました。

近くにいたタクも、そんな彼のことを不安そうに見つめます。

「おい。トーア・・・?お前」

ふっとタクの方に向き直った時、彼の顔はいつもと変わらない、人形のように物静かなものになっていました。

「タクト」

「あ、ああ」

「はじまるぞ」

「ああ!」

威勢よくそう答えたタクでしたが、内心では。ああ、マジになりやがった。と、不安に思いながらも、トーアの期待に応えるべく、いちだんと気を引き締めておりました。


 横を向いていた機械人形の頭がしゅっと前を向いて。ぎゅーんと光りました。それに続く様に、後ろの2体の頭も順番にぎゅーんぎゅーんと光ります。隠れているプレイヤーを見つけるためのレーダーです。

「全部で14人かぁ。めんどくさいなぁ。どーする?ダンチョー?」

『お前に任せる』

「りょーかい」

彼?または彼女でしょうか?大きな3機の機械人形たちは、一斉に歩き出して、まっすぐに酒場の方を目指します。途中にある広場の地下にはたくさんのプレイヤー達の反応がありましたので、ついでに、まとめて踏みつぶしてしまおうというねらいです。しかしながら、当然、そう簡単にはいきません。

「ヘル!&!ヘブン!!」

地面の下で誰かがそう唱えます。すると、広場の一部から部屋が丸々一つ地面から飛び出して、さらさらと崩れ落ちる壁の中から、この村に住むプレイヤー達が現れました。それと入れ替わるように、3体の機械人形がいる足元の土はサラサラになって、大きな体の半分ほどを飲み込んでしまいます。

「よくも私の作品を・・・!ガラクタめ!ゴミめ!」

まあ!なんて口の悪い人でしょう。どうやら、そう思ったのは皆さまだけではないようです。

「ちょっと!ジュリスさん!口悪すぎです!」

「いいから!!私が水をかけるから!あんたが凍らすの!わかった!?」

「はっはい!」

「ルーンキャスト。ベクターレール・・・!水よ!!」

「思いきり・・・やるんだ!フロストインパクトッ!!!」

マッドソリスト、ルーンキャスター、ウィンターウィッチによる見事な連携攻撃です。

特殊な環境効果、冬の凍気とうきのえいきょうで、その威力は何倍にも強くなっていました。はじめの内は泥沼から抜け出そうともがいていた機械人形たちでしたが、やがて、全身にきらきらと輝く霜がふりまして、指一本動かせなくなってしまいます。

「やりました!トーアさん!」

「ナイスオーダー!」

「くっ。私の頭に入って来るな・・・!しかし。醜い墓標だ。貴様らにふさわしい・・・ゆけっ!脳筋ども!!!止めをさせっ!〇せっ!皆〇しだ!!」

おそろしい掛け声の中、接近戦を得意とするプレイヤー達が、相手のふところ目がけて飛び出しました。

ですか。

「しょーへき。てんかい。エアレイド。きどー」

うっすらと張り付いた霜の奥で、機械人形たちの目がぎゅーんと光ります。彼らの体を覆うように丸い玉のような空間が広がり、それは、まとわりついた霜や氷や泥をバリバリと引きはがしてしまいます。

「動き出したか。だがもう遅い。すでにこちらの間合いだ」

「この瞬間を!待っていたんだ!!」

「ウホッウホッホウホホ!!」

彼らの強力な攻撃は、一瞬だけバリアによって止められてしまいます。それは、蝶が飛び立つときのようにほんの一瞬です。3体の機械人形はその隙に空中へと逃れます。

「なるほど、早いな」

そう言って剣をしまったソーディアンの足元に、何かが落ちてきて土煙をあげました。それは、機械でできた大きな足のつま先でした。

「やるねー!じゃ。つぎはこっちの番だね」

まん丸の二つの光の中に、赤い点がいくつも現れます。

それから間もなく、機械人形のそれぞれの指の根元から激しい炎が噴射されました。

『ロケット!!フィン・・!・・・え?』「・・・遅すぎる。まるでワルツだ」

なんと、驚くべき早業です。機械人形の指が力をためているほんのわずかな間に、土でできた足場が空高くまで伸びているではありませんか。見た所、高さが少しだけ足りないようですがどうかご安心ください。

「お前たちには決定的に欠けている。それは、例えば蠟燭の炎が燃え尽きるその最後の瞬間、舞い落ちる落ち葉が偶然重な・・・」「ウホウッホッホホ・・・!!ッホォッ!!!」

投げました!ゴリラ型のスレイブが装備の軽いデュアルタイフーンとブロウリストを足場から投げたのです。

投げ飛ばされた二人のプレイヤーは、矢のように機械人形へと向かいます。当然ですが、彼らはただ飛んでいるだけではありません。それぞれが自分の持ち得る最高の技の構えをとります。


「ドリル・・・!!!」

「バーニング・・・・」


『ナッコぉおおおおおお―――――!!!!!』


出ました!必殺のドリルナックルとバーニングナックルです!オリハルコン級ゴーレムをも粉砕すると言われるこの強力な攻撃を受けては、いくら機械人形と言えどひとたまりもありません。二人はそのまま分厚い装甲を突き抜けて反対側へと飛び出します。

「やったか!」

地上で見ていたタクが思わす声をあげました。戦況をじっと観察したまま、トーアが言います。

「いや、タク。まだだ」


 デュアルタイフーンとブロウリストの二人は空中で、残る一機の出方を伺います。地上では二人の着地をサポートするための準備がすすめられていました。

二人の体がゆっくりと、星の重力に引かれて落ち始めます。するとその時です。

『ぶっぶー。はずれー』

3体の機械人形の顔が一斉にぐるっと回って、空中の二人を捕えます。その目は、相変わらずぎゅーんと光っておりました。

つぎの瞬間。


ばんっ!!





オリハルコン級ゴーレム・土系統のエレメント操作から生み出される自律兵器。上から数えて2番目に大きくその大きさは60メートルほど。生み出された場所の地質の影響を受けて強度や質量、性質が変わる。ゴーレムの等級は単純にその大きさを表す(ミニ~アダマンタイト)。呼び出したプレイヤーの要求に忠実に従うが、大きくなればなるほど動きは鈍重になる為同種は攻撃には適さない。上部に複数名のプレイヤーを乗せて動く壁、動く前線、動く砦としての利用が主。

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