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84. 無敵の兵器

 魔動タンクの中央管理施設に乗り、俺たちは『城』までたどり着いた。


「『城』のバリアを中央管理施設のほうまで延長するよー!」


 こちらに向かっている魔物対策のため、この施設をバリアで包むようだ。


 ものすごい速度で、谷とかを跳び越えたりしながら魔物たちがせまっている。急がなくては。


「外に出るには……」


「こっちだよーっ!」


 制御室の隣の部屋に、転移用の魔法陣があったようだ。

 この中央管理施設の内部を移動するためのものだな。


 それで外に移動できるのだとか。

 転移用の魔法陣に乗る俺達。気がつけば、『城』の門の前にいた。


 直接、外に転移できるのか……


「トーマさま!」

「すごいな、あれ!」


 門のところでユイさんとジュナンや獣人、兵士たちが出迎えてくれる。


 ジュナンが中央管理施設を見て目をきらめかせているな。


「魔物たちへの対策は進んでいますか?」


『城壁』の上に移動しながらの、俺の質問にうなずくユイさん。


「はい。町の守りはゴーグ兵士長にかためてもらっています。村にも応援の兵士や獣人を派遣し、すでに守備についてもらいました。鉱山の人員にもトカゲの従魔を派遣。避難を完了しています!」


 さすがだ、早い。エルナーザさんから借りた鳥の従魔などで連絡を取ったのだろう。


 馬車などを引けるトカゲの従魔も、鉱山の人員の避難に役立ったようだな。

 それなりに数を借りていたし、あいつは馬よりも早く走れるから……


「『魔動投石機』などを操作できる権限を与えた獣人や兵士たちも……?」


『城壁』の上にたどり着いた俺は、念のために聞く。


「はい。彼らも町や村に移動し、すでに守備についています」


 彼らがいれば万全だ……。イェタの兵器は、命令を与えればゆっくりとだが動くこともできる。


 飛行ドローンで、ユイさんたちに事情を伝えていたのだが、じゅうぶんな対処をしてくれた。


「トーマ! この中央管理施設、『城』の施設にしていい!?」


 イェタの質問。


「そうすると、ポイント使って、城製の魔動タンクとか作れるようになるんだって! 城製のタンクは神力が入るから、魔法生物を破壊するアイテムや魔法の影響を受けなくなるって書いてあるよーっ!」


 おおっ、スゴい。


 魔動タンクを簡単に破壊できる爆弾の影響も受けないのか。


「それは頼もしいな! お願いするよ!」


 と、彼女にうなずく。


「わかったー!」


 元気に返事をしたイェタ。だが「あっ……」と言ったまま、その動きが止まってしまう。


「城と城壁の間に設置するタイプだから、少し時間がかかるって出た……。……良い?」


 上目(づか)いで聞いてくる彼女。


「『城』と『城壁』の間ってことは、『兵舎』とか『宿舎』と同じところに施設を移動させる感じなのかな?」


 中央管理施設は、カルアスの町と同じぐらいある巨大な施設だ。『城壁』の中におさまらないんだけど……


「いったん光に変換して、『城』に取り込むんだって!」


 そうすれば、小さな施設になるんだろうか。


「その間、ドローンとかへの命令はできるのかな?」


「うん! 『タブレット』を通して、ドローンとか魔動タンクへの命令は、そのままできるって書いてあるよ!」


 イェタが中央管理施設から持ってきた、映像がうつる不思議な板を見せてくれる。


 あれを使って命令はできるらしい。


 じゃあ、問題なさそうか……


「わかった、取り込んでくれ!」


「うん! えいっ!」


 イェタが『城壁』の上からも見える中央管理施設を指す。

 巨大な施設が、一瞬で光の粒子になった。


「早いな……」


 ジュナンのつぶやき。


 というか、あの内部、ダンジョン化して魔物とかもいたはずなんだけど……。そいつらは、どうなったんだろうか。


 光の粒子が飛んでいった『城』の方向を見つつ、そんな疑問を思う。


「施設化をしたよーっ! さっきも言ったけど、施設を使えるようになるまで、ちょっと時間がかかるーっ!」


 なるほど。


「あと領地の村、攻撃意図を持つ魔物の大群が近くにいるってメッセージで出てる! 襲われそうだよーっ!」


 タブレットというのを両手に持ったイェタが教えてくれる。


「村にバリアを展開してくれ!」


「わかったーっ!」


 離れていても問題なく操作できるようだ。


「今、村はどんな感じなんだ?」


 ジュナンがたずねてくる。


「様子がタブレットに映ってるよーっ!」


 四角い板を俺達に見せてくれる彼女。


「ゴブリンとかがたくさんいるな」


 ジュナンの感想。


「向こうには、あんまり強くなさそうな魔物が行っているみたいね! オーガや暴れ大岩グマ中心の主力部隊は、こっちの『城』の方向に進んでいるみたい!」


 映像を見る限り、村を攻めている魔物たちは、『大型魔動連弩』の槍のような矢で、次々とやられているようだ。


「バリアのところに来ちゃった魔物もいたみたいだけど問題なかったみたい! ダメージが入ってない!」


 あいかわらずのバリアの強さ。よくバリアのところまでたどり着けたなと、魔物に驚きもしたが。


 でも、村はほうっておいても大丈夫かとホッとする。 


「敵の主力部隊はどうなっているんだ?」


 こちらに向かっているやつだが。


「こんな感じ!」


 タブレットの映像が切り替わった。


「こちらに攻撃意図を持ってるみたい! もうすぐ『城壁』の上からも見えるよーっ!」


 イェタの発言どおり、『城壁』の上で周囲を見張る獣人達から声が上がった。


 続いて、カルアスの町からも、鐘を打ち鳴らす音が……


「ああ。あれが敵か……」


「大群だな」


 俺のつぶやきに、ジュナンがうなずく。


 戦争になれてないからかな?

 地平を埋め尽くすような、そんな錯覚を感じさせる敵の数だ。


 普通は怖がる状況なんだが……


「トーマさん、そろそろだぜ!」


「イェタ、バリアを展開してくれ!」

「わかったー!」


 敵は迂回したりせず、まっすぐこちらへと向かってくる様子。


 こちらは大昔に魔物の大群が襲来したという方向。

 イェタを楽しませるため、大量の兵器を配置してあった方向だ。


 黒い霧のようなものがまとわりついているあの魔物たちの移動速度は速い。

 町や『城』にバリアを展開した俺は、兵器たちに指令を出す――


「魔動兵器、第一陣、撃て!」


『魔動投石機』から爆発する石が射出され、『魔動大型連弩』からは一秒に四発の速度で槍のような大きさの矢が次々と射出される。


 遠くにいた魔物が投石の爆発で打ち上げられ、他の魔物も矢に貫かれ後ろに吹き飛んでいく。


 こちらの射程距離に入った途端、倒されていく魔物たち。


『城主』としての能力で、爆石や矢の補充もできるし。――正直、負ける気がしない。

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