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38. 魔石購入

 採掘をする道具の作成など、鉱石はジュナンにまかせる。

 町で買った生活必需品、お土産などを、ルマールさんたち獣人に渡しにいった。


 ついでに近くの村に魔動タンクが出現していることや、それを倒すために鉱石を得る必要があることを話す。


「ほほう、採掘ならば鉱山で働いたことがある者がおります。我々もお手伝いできますぞ!」


 おおっ。


「それは助かりますね!」


 鉱員としての知識がある獣人がいたのは、ラッキーだ。

 彼らをジュナン達の元へと連れて行った。


 翌日――


 今日は、冒険者ギルドへ行く。

 ジュナンが必要と言っていた宝石は、『地下鉱石採取所』で採取できている。

 必要なのは魔石だ。


 ちなみに、ルマールさんたち獣人は、デミル鉱石の採掘。

 ドワーフの職人、ジュナンは、唐辛子の霊薬を作るそうだ。


 唐辛子の霊薬は、調理場に『一味唐辛子』という調味料があり、そいつから作るそうだ。

 これを濃縮機にかければ、例の大炎上する霊薬になる。


 俺は、イェタやルマールさん達に見送られ、城を出発。

 途中、ゴブリン三体とイノシシの魔物を倒し、冒険者ギルドへとついた。


「あれ? 二日連続とは、珍しいですね」


 受付嬢のサリーさんに、そんなことを言われ、個室へと案内された。


「今日は魔石を買いに来ました」


 彼女にお金を渡す。


「王金貨二枚、二千万エーナ分の魔石が欲しいのですが」


「ま、また、ずいぶんな量ですね」


 テストで失敗するかもしれないから、これぐらい欲しいと、ジュナンに言われた。

 少し高めの魔石を買うから、多分、俺が持ち運べる重さにおさまるはずだが……


 サリーさんと相談しながら、どのぐらいの大きさのものを、どのぐらい買うのか決める。

 それらの魔石を背嚢につめ、背負ったのだが……


 重い……


 大きなリュックに、ぎっしりと魔石が詰まっているからだ。


「だ、大丈夫ですか? それ、私の体重くらいありますけど……」


 サリーさんの体重ぐらいあるのか……

 『重いです』って答えたら、怒られそうだな。


「全然、大丈夫ですよ。今日は、ありがとうございました」


 森の中とか、人目につかないところに行けば『倉庫』にしまえる。

 それまでのガマンだ。そう自らを鼓舞しながら町を出た。


 森の中に入り、魔石を『倉庫』にしまう。

 身軽になった体で、魔物を倒しながら、城まで帰ってきた。


「トーマ、お帰りー!」


 イェタが迎えてくれた。


「ジュナンちゃんが、例の『爆弾』作ったってー!」


 仕事が速いな。


 魔石から作る、『魔動タンク』を倒す爆弾をもう作ったらしい。


 町で買った魔石は、『倉庫』に入れていた。それを城で取り出し、原材料としたのだろう。


「爆弾は、うまくできたのかな?」


「なんか首をひねっていたよ!」


 ダメだったのか……?


「直接、聞きに行くか」


 イェタと一緒に、ジュナンの工房へと向かった。


「例の『爆弾』ができたって聞いたんだけど」


「いや、できることはできたんだけど、ちょっと様子がおかしいんだよな」


 様子がおかしい……?


「爆発があって、そのときに魔力をかき乱す、目に見えない波のようなものが発生するんだけどさ。どうも爆発の威力が、聞いていたものと違って、小さいんだ」


 そうなのか。


「何個作っても、同じ感じになるから、これで良いのか迷っていて」


 なるほど。


「でも、魔力をかき乱す力は、うまく出ていると思う! 魔動タンクを止めたり、ダメージを与える力もあると思うけど……、念のため、カミナリを落とす矢を用意しておくよ!」


 ……まあ、イカヅチ系の魔法なんかを、魔動タンクの弱点となる場所に当てるのが普通の倒し方だしな。


「わかった。カミナリの矢の作成も、よろしく頼むよ」


「うん!」


 彼女が胸を叩いた。


「あっ、そんで、ものは相談なんだけどさ……」


 なんだ……?


「『魔動タンク』なんだけどさ。どんな風に動くか知りたくって……。討伐証明に使う部分はしかたないけど、できるだけ分解したりしないで、持ち帰って欲しいんだ……」


 あー、最小限の破壊にとどめて……、ついでに冒険者ギルドにも売らないで欲しいってことか。


「それは、かまわないけど、城に持ち帰る手段がないかもな」


 彼女に説明する。


「『倉庫』に入ればいいんだけど、小屋ぐらいの大きさがあるゴーレムって聞いたから……俺の魔力が足りなくて入んないんだよ」


 大きいもの、重いものを収納するとき、たくさんの魔力が必要になる。

 俺の魔力では、『魔動タンク』を『倉庫』を入れられないだろう。


「そうなのか……」


 思った以上に、がっくりする彼女。


 どうするかな……

 小屋ぐらいあるゴーレムだから、森の中を引っ張って帰るってわけにもいかないし……


 逃亡奴隷だとバレると、けっこう問題になりそうだが、魔動タンクが出た村にジュナンもついてきてもらうか? 

 彼女なら『魔動タンク』を、うまく分解できるかもしれない。


 魔力を回復する霊薬を飲みながら、部品を一個ずつ『倉庫』に入れていけば、どうにかなる気もするが。

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