表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/89

12. 城レベルアップ

 町の中をあまりうろつかなかったおかげだろう。

 途中、イノシシや鹿の魔物を仕留め、日の出ているうちに城まで帰り着く。


 いつもの見慣れた石造りの城だが……

 なんか、城の外で迎えてくれているイェタが手をパタパタさせて興奮しているな。


「トーマ! トーマ! あの、おっきい魔物すごかった! 四十ポイント! あと狼で五! イノシシで五! 鹿で五! 六十ポイントになったーっ!」


 なるほど……

 俺が倒して倉庫に入れた魔物が、なかなかのポイントになったのか。


 行きに倒したオーガが四十ポイントで、それ以外の三体の魔物が全部で十五ポイント。

 合計五十五ポイントだが、前回未使用分の五ポイントがあり、総計六十ポイントとなったみたいだ。


「五十ポイントで、今は鍛冶工房や布革工房、木工工房が作れる! 六十ポイントで城レベルアップもできちゃうよーっ!」


 おお……


「いっぱいあるな。城レベルアップっていうのが、よくわかんないけど」


「なんか、お城が立派になるって書いてあるよ!」


 へー……


「……ちなみに、もう一個『薬草園』を作るとかは無理なのかな」


 今、町で必要とされているものだが。


「うん! 『薬草園』は中庭にしか作れなかったし、調理場や倉庫も二つ目作れないから……」


 複数の『薬草園』を作るのも無理かもしれないのか。 

 ……しかし、そうすると四つのうち何を選んだら良いかわからない。


「イェタは、何か作りたいのとかあるのか?」


「ん? んふふー、どーかなー。当ててみて……」


 ……どうも選びたいものがあるようだ。

 何だろうな……

 ずいぶんワクワクしているようだし、間違いたくないぞ。


 俺は、おそるおそる考えを口にする。


「えっと……、きれいな服とかが作れそうな、布革工房なんかは」


 あっ、イェタの口が『へ』の字になった! ちょっと涙目だし、これは違う!


「――良さそうなんだけど、イマイチかな? じゃ、じゃあ、鍛冶工房もあるのかー」


 無意識にだろう、首がイヤイヤというように横に振られているから、これも違う、と。


「木工工房のほうは」


 絶望している彼女の目から、一筋の涙が流れた。


「木工工房もあんまり役に立たなさそうだよな! でも、この城レベルアップは……」


 ぺかー、と期待に輝くイェタの顔。


「けっこう良さそうな気がする!」

「うん! うん! そうだよね! わたしが立派なお城になったらトーマもうれしいよね! しかたないなー、トーマもそれ選びたいんならしかたないなー。じゃあ、お城レベルアップ選んじゃおっかなー!」


 ど、どうにか正解できた。


 そういえば、イェタは前に『立派なお城になりたい』とか言ってたからな。

 あせらなければ、当てられる問題だった。


「じゃあ、イェタ。その城レベルアップ、頼むよ!」

「うん!」


 彼女が手を挙げる。

 城を淡い光が包み、それが消えた。


「おお、これは……」

「やったー! お城、きれいになったー!」


 イェタがはしゃいでいる。


 窓が割れていたり、建物の一部が崩れていた場所などが修復されている。

 くすんでいた色も全体的に白くなっていて、ちいさな白亜の城……『宮殿』って感じだ。


 森の中で、ちょっと目立っている気はするが……


「なんか新しい設備もできたみたい! 来て!」


 彼女に引っ張られて、きれいになった城の中へ。

 いつも俺達が一緒に寝ている部屋へと連れてこられた。


「たぶん、トーマに嬉しいのは、この寝室かなー。わたしのお城以外では使えないけど、ベッドが魔法のベッドになった! 寝ていると傷や体力、魔力なんかが早く回復するって!」


 何それスゴい……


「あと、あっちに小さい部屋があって、そこはトイレ。使った後、魔力を流すとキレイになる!」


 へー、『浄化』の魔法みたいなのがかかってるのかな?

 大きいほうや小さいほうをした後、そこに『浄化』をかけると、大きいのなどが消えるらしい。

 するときに城の外へ出て行かなくて良いのは楽だ。


「あと客間とか、住人用の仮眠室、住人用のトイレなんかがあるよ!」


 イェタが、それらの部屋を案内してくれる。

『城の住人用の仮眠室』というのは、ちょっと狭い感じだ。二段ベッドが並んでいる。

 トイレには手を洗うための水場があった。調理場にもあった『蛇口』という魔道具がついている。


「あと、トーマ! ここが、すごいんだよ! じゃじゃーん! だいよくじょーう!」


 イェタが最後に案内したのは、でっかい浴場……風呂場だった。


「他に遊戯室とか会議室とかいくつかあるみたいだけど、どうでもいいよね! お風呂入ろう!」


 ぽんぽーん、と服を脱いだイェタ。

 止める間もなくお湯にバシャーンと飛び込んだ。


「トーマも一緒に入ろうよーっ!」


 いや、良いけどさ……

 できれば全部の説明を終えてからにして欲しかった……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ