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『宇宙警察L戦士~セルフで異世界構築してラスボスとして君臨してみた~』  作者: ミタラリアット


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十九話『ルールってもんは破ってからが本番だ。』


 実験室に連れてかれた江藤は、立ったまま鎖のついた手枷と足枷で拘束される。


 ダークマスターは、『お前もこんなものか』と呆れたような調子で江藤に吐き捨てる。


 江藤は、はぁはぁと息を整えながら、「許せない…」とダークマスターを睨む。


『憎悪か?』と少し喜んだような表情を見せるダークマスター。


『私と同じになってしまうぞ♡』と機嫌良さげなダークマスターに、江藤は「僕は…!スーパーレッド…ヒーローです…」と答えた。


「ヒーローは、こんな場所で死にません…。」


 震えた声で続ける江藤の股間を、ダークマスターは蹴り飛ばす。


「ぅ゛ぅ…」と悶える江藤に、『お前ら変身アイテムが無ければ生きていけないだろ』と笑うダークマスター。


『こっちは違うんだよ。こっちの力は本物。お前たちは戦士の力に依存してる偽物。』


 ダークマスターは江藤を小馬鹿にして楽しむ。江藤は、「ッ…絶望的だ…」と頭をガックリさげる。


『ようやく分かったか』とダークマスターは江藤の前髪を引っ張る。『お前は私相手に勝てない』ダークマスターは江藤の顔を仮面越しに見つめる。


 江藤は、「クッ…」と悔しがる。


「殺せ…!僕だけ殺せば満足するんだろ!?いいじゃないか、僕の首だ!僕の首さえあればお前らは満足するんだろ!!」


 命を差し出す選択をした江藤にダークマスターは、


『…立派なものだな。でも…そう上手くも行かない。お前はまだ私が求めている本当のものをわかっていないようだ』と冷たい口調で言う。


 江藤は、「火車…斬撃…」と言葉を発する。


『無理だ。武器もないお前にできるはずがない。』


ダークマスターはその江藤の悪あがきさえも認めなかった。


「……僕はどうなるんですか」と下を向きながら呟く江藤に、ダークマスターは『ここにしばらく缶詰めにされる』と説明する。


『救済を与えよう。スーパーレッド。スーパーピンク、ロイヤルブラックのうち誰かを見捨てろ。仲間を売れば、お前は解放してやる。だが、代わりに仲間がお前と同じ目に遭うけどな!ハーッハッハッハッ!!!』


 気持ちよさそうに笑うダークマスターに嫌悪感を覚える江藤。


「クッ…。嫌です…。絶対に…!」江藤は首を横に振る。


『お前が一生ここで拷問されるか、仲間を辛い目に遭わせて自分は助かるか…!さぁどうするスーパーレッド!!!』ダークマスターは声を張り上げて江藤に迫る。


 江藤は、「だったらここで死んでやる、僕は仲間を売るような真似はしない!」と心の底から叫んだ。


 ダークマスターは、『人のことしか考えていないのかお前は!誰かのために、誰かを守るために、そんなことしか考えないやつはただの無能だ…!正義なんて単語を掲げてもなんの役にも立たないんだよ!』と言い返す。


 江藤は、「ダークマスター…お前…やけに色々知ってるんだな…」と何かに勘づいたのかクスクス笑い出す。


「こんなに必死に僕の正義を否定するって…もしかして過去に何かあったのか?」


 ニヤリといたずらっ子な笑みを浮かべる江藤を見たダークマスターは、江藤の顔面を拳で殴る。


「がはッ……」


 口から大量の血を吐き出す江藤。


『よくそんなに私が不快になる態度を取れるな』


 ダークマスターはそう言うと、『ピンクが、ブラックが助けに来ると思うか?』と問いかけた。


 江藤は、「僕は…信じてます。光太郎さんを信じてます。」と答える。


ダークマスターはその答えを聞いて、『結局人任せ。自分でどうするか考えろよ。赤い戦士だろ?』と不気味にも優しい口調で言う。


疲労で江藤は頭をがっくり下げた。

     


 その頃、ハツネはフラフラと目眩に襲われながら、夜の喫茶キュアミラージュまで走る。


「光太郎!光太郎!光太郎!」


  寝室で眠る光太郎は、ハツネに叩き起こされる。「んだよ…」目を擦りながら夢から覚める光太郎は、少し寝ぼけた様子。


「江藤とクロウサギのアジトに乗り込んで江藤が捕らわれた!」


 ハツネの説明に光太郎は、「嘘つけよんなわけねーだろ。江藤に限ってそんなはずねえよ。だって名前が新一だぜ。サッカーボールぐらい持ってんだろ。」とテキトーに答え眠る。


ハツネは、「この人でなしがぁぁぁ!!!」と光太郎にプロレスの技を決めてベッドから床へ叩き落とす。


光太郎は「はぁッ♡」と声をあげる。


 暫くしてから服に着替えハツネと外に出ていく光太郎。


「いてぇ…」と腰を摩る光太郎にハツネは、「早く江藤を助けに行くで」と片手に握り締めた金属バットをぶらぶらと揺らしながら歩く。


「にしてもよくクロウサギのアジトなんて特定できたな」と言う光太郎に、ハツネは「はぁ?アンタだって引退前行ったことあるんちゃうの?クロウサギと戦ってたんやろ?」と面倒くさそうな表情を向ける。


 光太郎は、「忘れた」と答えゆっくり前を歩いていく。

     


  クロウサギアジトの前に辿り着いては、ハツネが「気ぃつけてな。眠らせてくる女が出てくるで」と警告する。


「ユニバース・ランスロット!」と叫び、黒い光に包まれながら一瞬で変身するブラック。


ハツネも、「フレッシュピーチサンシャイン!」と叫び、ピンクの光に包まれながら一瞬でスーパーピンクに変身する。


「二度も同じ目には遭わへん!」と覚悟を決めた表情を浮かべるピンク。ピンクは既に空いている扉に注目し、正面からアジトに入る。後に続くブラック。


「誰も…おらん?」


 クロウサギのアジトの中はもぬけの殻。ブラックは、「警戒しろよピンク。罠かもしれないぞ」とピンクに釘を刺す。


 ピンク色の金属バットを片手に突き進むピンク。


「グァァァァァァァァァ!!!」


 実験室から江藤の痛々しい叫び声が聞こえると同時に、怪物(ラビット・フレーバー)が現れる。


「なに!?」各々の武器を構えるブラックとピンク。怪物はメガネに中学生のような私服と、どこか江藤を彷彿とさせるような風貌をしていた。


「イヤァァァァァァァァァァァァァ!!」


 実験室から悲鳴をあげる江藤。怪物は江藤の悲鳴と連動して、「グォォォォ!!!!」と低い呻き声を合わせる。


「おいおいちょっと待てよ……」と攻撃を躊躇うブラック。


ダークマスターが『ククッ…』と笑いながら二人の前に現れる。


『こいつとレッドの神経を接続させて貰った。お前らがこいつを攻撃すればレッドに攻撃した分のダメージが入る。最悪死ぬだろう。』


 ダークマスターはボイスチェンジャー越しに説明する。


『だが攻撃しなければ怪物が制御不能になりレッドに負荷がかかる上、お前らが死ぬ』


 ダークマスターは状況を楽しむように語った後、


『どうする?お前らが死ぬか、レッドが死ぬか。』と二人を試すように言った。


 ピンクは「なんでこんなことするんや……!!!」と憤りを禁じ得ない様子。


ブラックは、「殺意マシマシ覚悟ガンギマリかテメェ…」とダークマスターをスーツ越しに睨みつける。


「なんでレッドをそんなに恨んでるんだ、対して接点ねえだろ!!!」


 ブラックがそう言うとダークマスターは『実態が無いお前らに魂を注いでやったのは私だ。有難く思って欲しいぐらいだよ』と答えになっていない回答をする。


「テメェ…なんの回答にもなってねえんだよ!!!」


 ブラックはそう言うと剣をダークマスターに向けた。


 ダークマスターは手から出現させた悍ましい色の杖でブラックの腹を一突きする。


「ぐぁ!!!」吹き飛ばされるブラックに追い打ちをかけるように怪物がブラックに向け赤色のレーザービームを放つ。


「ぅわぁ!!!」反射的に避けるブラック。


「なんだこいつ…!!!ビームまで搭載かよ…!!!」


嘆くブラックに、ダークマスターは『お前らは初めから詰んでいるんだよロイヤルブラック。私の目的はお前らでは無い。レッドだ。レッドさえ死ねば私の勝ちだ!!!』と叫ぶ。


 だがその声色はどこか悲しい音色を奏でる。


それをすぐに察知したブラックは、「ははッ…馬鹿馬鹿しい…詰んでる…。ねえ???詰んでんのはお前さんじゃねえのか?こんな厨二病ごっこみてぇなコスプレまとってパーティーですかこの野郎、レッドが死ねばいいならさっさと殺せばいいだろ!?なんでそれが出来ねぇんだ~?」と馬鹿にしたように笑いながらダークマスターを煽る。



 だが、さっさと殺せばいいなんて発言に敏感になったピンクが、「ブラック何言うてるん!?!?」と声を張り上げて怒る。


「こちとらあのメガネに思い入れもクソもねぇんだよ。ただの居候でそれ以上でもそれ以下でもねえの。でもさ…テメェらみてぇな外道のくせに行動も出来ねえような連中にぎゃあぎゃあ言われたくねえんだよ」


 ブラックはそう言うと言葉とは裏腹に本気で怒ったような声色で、


「仮面外せクソ野郎、その汚ぇ面拝ませて貰おうか」とダークマスターを挑発する。

     


 ピンクは、金属バットを振り上げ「ダメガネ返せゴラァァァァ!!!」と叫びながらダークマスターに特攻する。


ダークマスターは、金属バットの戦端を掴み、ピンクの子宮を蹴り飛ばす。


「ピンク!!!」とピンクの名を呼ぶブラック。


怪物は、「グァァァァァァァァァ!!」と呻き声を上げながら、ブラックのほうへ再びレーザービームを放つ。


「ッ!????」館の外へ吹き飛ばされるブラック。


ピンクが「ブラック!!!」とブラックの名を呼ぶ。


 ピンクは、「フレッシュ!・ラブ・リー・チェーン!」と必殺技を叫びながら、怪物をピンク色の鎖で締め付ける。


ブラックは「バカ!!!レッドが…!!」と言うが、ピンクは「まずはこいつを仕留めてレッドを解放するしか戦う術がないやろ!!!」と金属バットを構え直し、戦う姿勢を取る。


 実験室から締め付けられた江藤の重たい呻き声が、『ォ゛ォォォォォ……』と地鳴りのように聞こえてくる。


「これで時間は稼げる……!!!ブラックはレッドのところに行って!!!」


 ピンクはそう言うと、躊躇うブラックに、「早く!!!!!」と怒鳴る。


 ブラックは「俺は足手まといか!!!」と吐き捨てた後、実験室へ向かう。


「クソッ、クソッ、クソッ、クソッ、」扉に体当たりをし、実験室の扉を突き破るブラック。


 するとそこには服がビリビリに裂かれた江藤がいた。「ブラック…」と遠のきそうな意識を保ちながら助けに来た先輩ヒーローの名前を呟く江藤。


「…僕を見捨てて逃げ…ッ…」と言いかける江藤に、ブラックは「んな事俺がする訳ねえだろ」と答える。


「じゃあ…どーや…ッァぁ…゛ァァァ゛ァ!!」涙を流す江藤。


「知らねぇよ、ここで全員くたばるんじゃねぇの。こっちに面倒事押し付けんの辞めてくんねお前ら。マジで一発解雇もんだぞテメェ」


怠そうに頭を掻きながらそう言った後、ブラックは「まあそこで馬鹿な格好して待ってろ江藤。」と微笑む。

     


 戻って来たブラックは、ピンク色の金属バットでダークマスターを追い詰めるピンクを前に、「降参だ」と武器を捨て両手をあげる。


 立ち止まるダークマスターとピンク。ピンクは「ブラック…?」と少し半笑い気味で目の前で起きている状況を疑う。地面に両膝をつくブラック。




「レッドを返してください」



 ブラックはダークマスターとピンクを狙って暴れ狂っていた怪物を前に土下座する。


ピンクは「…は?」とピンク色の金属バットを持つ手を震わせる。


 ダークマスターは『……二度目だなロイヤルブラック』と意味ありげに言った。拳を震わせるピンク。


『私が強すぎても何も面白く無いことに気づいた。下らない頭も見れたものだ。これ以上の戦いはなんの意味も成さない』


 ダークマスターはそう言うと、指を鳴らし怪物を消滅させる。『…じゃあな、負け犬』ダークマスターはブラックの頭を踵で踏みつけた後、指令室へと立ち去って行く。


「うぐッ」ブラックの呻き声が実験室に響いた。


だが、解決…した???


ブラックは変身を解いた後、「行くぞ」と再び実験室へ戻る。


ピンクも変身を解くが、何も言葉を返さない。


 実験室に戻ると、服を裂かれた江藤が、「…光太郎さ…」と名前を呼ぶ。


光太郎は、「いい一張羅じゃねえか」とボクサーパンツが丸見えになった江藤を見ながら優しく微笑み、江藤の手枷と足枷を外す。「これ着ろ」



 光太郎はそう言うと、自分の上着を江藤に渡そうとする。「でも下は…」と江藤がむずむずすると、光太郎は「ッチ」と舌打ちした後、実験室に置いてあった誰のものかも分からない学生服を渡す。


黒いジャケットに、赤いブレザーに、黒いパンツ(ズボン)。


「なんだこの制服。どこの学校のだ」と苦笑いを浮かべる光太郎。


江藤は学生服を身に纏い、「ちょっとキツイですね…」と笑った。


 ハツネは「帰るで」と低い声を出しながら二人の前を歩く。


「結局何も情報得られませんでした…」と辛そうな声で言う江藤に、ハツネは「ほんまにマナも何とかして欲しいわ、乗り込めとか言うんやから」と愚痴を吐く。


「おまけにあんなもん見せられるし」と光太郎を振り返りながら言うハツネに、江藤は「あんなもん?」と首を傾げる。


光太郎は頭の後ろで手を組みながら、「知ーらね」と適当に答えた。


「貸し、出来ちゃいましたね」と掠れた声で呟く江藤。


光太郎は、「しっかり返せよ~ダメガネ~」と答えた。


何がヒーローの正解で、何がヒーローの不正解なのだろうか。


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