第34話 教え上手なドスケベ女子
緊急事態が発生しております。
なんと、俺の部屋にドスケベ美少女である名月さん、それにカーストトップの黒ギャル、槇原さん。そんな両手に華と呼ぶにふさわしい美女二人が、陰キャモブである俺の部屋に居ます。
なんということだ……。
天変地異でも起こったんか……。
「まさか並介が女の子、二人を連れてくるなんて……! しゅ、祝杯よおおおおお!」
テンションがおかしくなっている母さんがお菓子とジュースを用意してくれた。
母親参加で俺の部屋はカオス状態に突入。
「母さん、ややこしくなるから、もう出て行ってくれ」
「夏輝ちゃんは知っているけれど、そちらのギャルちゃんは初めましてね」
聞いちゃいねええ。
というか、ギャルに対して真正面からギャルって言うか、普通?
やっぱり、我がママンはどこかぶっ飛んでいる。
「槇原マキと言います。ひら……その並介君とはクラスメイトです」
俺にビンタをかましたカースト女王ギャルと、俺の母親が挨拶しているとか、どんな光景だよ、これ。
というか、槇原さん、普通に礼儀正しいんだな。
なんだか見直した。
こんなカオスな状況を作り出した元凶は、平然とすまし顔をしていた。
「ちょっと来て」
「ひゃん」
そんな呑気な元凶を引っ張り出した。
「どうして、俺の家なんだよ? ややこしくなっちゃうでしょ」
名月さんをトイレに連れ込み、問いただす。
「ごめんなさい、平谷君の家しか思いつかなくて……」
「なんで人の家しか候補にないんだよ」
「……というか平谷君。どうしてトイレなの? もしかして、ドスケベしたいの? 確かにトイレって興奮するものね」
「ち、違う! そういう意味でトイレにしたわけでは……!」
カオス空間から逃れられ手近な空間が、ここしかなかったから。
深い理由はありません!
「怒っているのかしら? ついノリで平谷君の家に行ってしまったことは反省しているわ。ごめんなさい」
珍しくシュンとしている名月さん。
そんな彼女は見たくない。
俺は楽しそうに面白いことをしている、いつもの彼女が見たい、ふと、そんなことを思ってしまった。
「まあ、でも、俺の部屋に集まって皆で勉強するっていうは、一つの夢だったし。こうなったものは仕方ないから、全力で楽しみつつ、勉強頑張ろうぜ」
「ありがとう。平谷君は優しいのね」
そんなことを面と向かって言われると、照れてしまうではないか。
陰キャモブは人からほとんど褒められない人種なのだから。
「おい……二人でコソコソ、何やっていたんだ……?」
再び部屋に戻ると、槇原さんが俺たちのことを胡乱な目で見つめていた。
決して、やましいことなんてしていません!
「さ、さぁ、勉強始めようぜ」
こうして、俺の部屋で、俺、名月さん、槇原さんという、とんでもない面子で勉強会が始まるのだった。
「この who は、『だれ』を表す疑問詞ではなくて、関係代名詞。前の名詞を説明するために使われるものよ。だからこの【This is the boy who plays the guitar.】は、どういう意味でしょう?」
「えーと、だから【こいつはギターを弾いている男】って意味だから、これの答えは2番だな」
「ご名答よ。槇原さんは要領が良いわね」
「いや、名月ちゃんの教え方がうめえんだわ。今まで教えてもらった人の中で一番うまい。今度、うちの連れたちにも自慢しておく」
「買い被り過ぎよ。まあ、褒めてくれるなら、嬉しいわ。ありがとう」
槇原さんは勉強が苦手というよりは、やっていないだけで、普通にやればできるタイプなのか。
想像以上に名月さんの指導が上手ということもあるけど。
「それで、平谷君」
「はい、何でしょうか」
「見たところ、あなたは全然、進んでいないみたいだけど、大丈夫そうかしら?」
そう言って、グイッと俺の方に身を寄せる。
すっげえ、良い匂いがする……じゃなくて!
普通に集中できないよ!
クラスでも一、二を争う美女二人が、俺の部屋で勉強していのだから!




