318.ミヤコ君と見てはいけない何か
井戸の中に入るのはとても危険なので、一般の方は入らないでください。
入って良いのは横手五郎ちゃんと加藤清正様くらいのもんです。
ミヤコが指さす井戸は、四角くコンクリートで補強され、重い鉄の格子の蓋がはめられている。
穴のサイズは相撲取りは入るかどうか、プロレスラーくらいならば入ってしまいそうなサイズだ。
伝説の男横手五郎も大男だったとされているので、そうした大柄な男性でも入る事のあるような井戸なのだろう。
「井戸の中? そう……」
ツカサがさりげなくミヤコを自分の後ろに引かせる。
井戸の格子から覗くように下を見る。
まだ時間帯的に少し陽が低いのか、太陽光はまっすぐは降ってきていないので、深い井戸の底までは見通せない。
それでも、井戸の深さは建物の二階から地上を覗くよりも遠く見えた。
「暗いね」
ツカサは見通せないと首を横に振る。
ミヤコはだったら自分なら見えると、進み出ようとするのをユカリが肩を掴んで止めた。
「でも」
見える人が見た方がいいとミヤコは思ったが、何故かツカサとユカリはミヤコに井戸の中を覗かせたくないようだ。
「ちょっと強いライトあるよー」
ミヤコを押し留めながら、ユカリは持って来ていた鞄の中から十五センチほどのライトを取り出す。
「あるんだ……」
井戸の中を覗いて人探しをする予定だったので、持ってきていることは十分想定内だったが、ミヤコにとっては自分の異能が役に立たなかったかのような寂しさを覚えた。
ユカリからライトを受け取り中を照らしたツカサは、直ぐに前に倒していた上半身をすぐに起して、よく見る何時もの作り笑いを浮かべてライトを消す。
「ああやっぱりね、いたいたいた」
「通報しなきゃね」
ツカサの作り笑いに何を察したか、ユカリは少し離れてスマホを取り出す。
ミヤコが井戸に近づかないようにカンナに託すのも忘れない。
通報する先はまず最初に警察、次いで市役所、最期に救急のようだ。
通報が済むと、ユカリはミヤコに向かって告げる。
「とりあえず目的の人物かはわからないけど人が見つかっちゃった以上、ミヤコ君は帰宅で。カンナちゃんよろしく」
「あ、はーい」
そのよろしくの意味をすぐに理解するあたり、何か事前に打ち合わせがあったのだろう。
カンナはミヤコの肩を掴んで、帰ろうかと促す。
「え、でも」
帰宅を促されているのはミヤコのみ。
護衛役であるサユキもだが、シオリもルイもこの場に残るようだ。
ミヤコの問うような視線にシオリとルイが答える。
「ごめんねミヤコ君、私は治療のためにここにいる必要があるから」
「私は通訳」
二人にはこれから役割があるらしい。
だがミヤコにはそれが無いので帰れと言われている。
それは分かるが、自分だって聖女エーデルの幽霊の発見者なのだから、救助を見届けてもいいではないかと、ミヤコは抵抗する。
この一月我儘を言わなかったミヤコにしては、かなり頑張った自己主張だった。
「だったら俺も……」
しかし、ここに残りたいとミヤコが言い切る前に、ツカサが声を被せる。
「うーん、でもねえ……」
低く沈んだ声とは裏腹に、ツカサはとても綺麗な作り笑いを浮かべている。
「エーデルさん、五体満足じゃなさそうなんだよね」
ツカサが見たのは遠く井戸の底にいるだろう人影のはず。
しかしそれでもツカサは曖昧な人影を見ながら、五体満足では無いと言う。
「本当だったらシオリさんとルイちゃんにも見せたくはないんだけど……」
ツカサとしては治療のためにここにシオリを残すことも不満らしい。
それでもシオリに頼らなければエーデルは助けられないかもしれない。
そう言うツカサは、何かを我慢するような笑みを浮かべ続けていた。
本日の更新もこれだけ。
明日も一回更新です。
三月! 春です! 浮かれポンチの季節です!
森野はのぼせもん(浮かれやすい者)な熊なので、冬眠から目覚めながら山野をローリングします!
具体的には江津湖でクレソン採り(外来の山菜みたいなもん)したいです。
水が温んだら葉が固くなるし虫も増えるので今がギリギリです。
タンポポやドクダミの根っこも今が美味しいです。
みんな野草を食おう!健康にも良いよ!
それに野生に帰れます。
でも文明人は初餅で健康祈願が良いかもしれませんね。
一緒に野生に帰る人は野草食べよ♥️




