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94 月影の草を植えてみる
夕暮れ時、村の畑は静けさに包まれ、少しずつ空がオレンジ色に染まっていく。僕は家の裏庭に出て、行商人から買った‘月影の草’の苗を手に取った。手のひらに乗るその小さな苗は、まだ不安定そうだが、どこか神秘的な雰囲気を醸し出している。
「これを、月明かりが届く場所に植えればいいんだよな。」
行商人から教わった通り、月影の草は昼間は普通の植物のように過ごし、夜になると月光を浴びて葉の色が変わるという。庭の中でも、月明かりがよく当たる場所を選び、僕は穴を掘り始めた。土は柔らかく、草が育つには最適だ。
「よし、こんな感じかな。」
苗を慎重に穴に入れ、周りの土を軽く押し固める。あとは水をやって、月の光が届くのを待つばかりだ。しばらくその場所に立って、空を見上げてみる。
「夜が待ち遠しいな。」
こうして、新しい植物を育てることがまた一つ、楽しみとなった。月影の草がどんな風に変わるのか、それを見守るのが楽しみで仕方ない。少しだけ空が暗くなるのを感じながら、僕は手を合わせて庭を一周した。
その晩、月影の草がどんな姿に変わるのか、楽しみにしながら、心地よい眠りに入った。




