第63話 ウラル山
その後俺たちはウラル山へと向かって歩みを進めた。
途中野宿を挟みながら三十六歳のおっさんと十五歳の少女は並んで山を越える。
そして歩くこと一日半、ようやくウラル山が見えてきた。
「あっ、あれがウラル山ですよっ。バランさん急いでくださいっ」
いつの間にかすいすいと先を歩いていたマリアが声を上げた。
「……ああ、わかってる……はあっ」
ずっと山を上ったり下りたりでさすがに俺は息が切れている。
レベルが150になっているとはいえ運動不足のおっさんの体力ではレベル300台の若いマリアには遠く及ばない。
結局ウラル山をみつけてからそこにたどり着くまでにはさらに二時間近くを要した。
「はあっ、はあっ……着いたぁっ、はあっ、はあっ、はあっ……」
俺は山の地肌に仰向けに寝そべった。
ウラル山には木々は一本も生えてなく赤茶色の土が延々広がっているだけだった。
『あんた大丈夫? 死ぬ前みたいな呼吸の仕方だけど』
エクスカリバーが言ってくるが答えるのもしんどい。
マリアはというと一足早く到着していたため既にマジウム鉱石を掘り当てていたようだった。
「バランさーん、わたしマジウム鉱石っぽい石をみつけましたよー!」
石を片手に向こうの方から駆けてくる。
……若いっていいなぁ。
「……って大丈夫ですか? バランさん」
「はあっ、ああ……全然大丈夫、はあっ」
「その割には顔色が悪いですけど……」
マリアが心配そうに見下ろしている。
「あっ、わたし水持ってるんで飲みますか?」
そう言うとマリアはバッグから水筒を取り出して蓋に水を注いでくれた。
「どうぞ」
「あ、ああ。悪いな……」
俺は起き上がるとこくこくっと喉を鳴らしながらもらった水を飲み干した。
「ついでだからわたしももらっていいですか」
俺が返した蓋に再度水を注ぎ今度は自分で飲むマリア。
あ、間接キスだ。とか思ってしまうのは俺が年を取っているせいだろうか、マリアはそんなこと気にも留めずに飲んでいる。
これがジェネレーションギャップというやつかもな。
水を飲み終えたマリアは持っていた黒い石を太陽に照らしつつ、
「これ、向こうにあった岩を砕いたら中から出てきたんですけどマジウム鉱石でしょうか?」
俺に訊いてきた。
薬草のことはまったくわからない俺だが伊達に鍛冶職人をやっているわけではない。
鉱石ならそれなりに詳しい。
「どれどれ……」
俺はマリアの持つ黒い石を入念に見定めた。
太陽に照らされ石の中心が鈍く輝いて見える。
「ああ。マジウム鉱石だ。やったな、マリア」
「わあっ、ありがとうございますっ」
満面の笑みで返すマリア。
これでマリアとの仕事は終わりだ。
『どうでもいいけどあんた今回マジでなんにもやってないわよ』
それは自分が一番よくわかってるよ。
とその時だった。
『グガアアアァァァ!!』
けたたましい叫び声が山中に響き渡った。
と同時にドスーン! と大きく地面が揺れる。
「なんだっ?」
「バランさん、あれっ!」
マリアが指差す先には山のように大きなモンスター、ダイダラボッチが天に向かって咆哮を上げていた。
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