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第45話 カバラン・ラハール

「……ど、どうも。はじめまして。へ、へへっ……カバラン・ラハールです」

小太りの男は目を泳がせながら自己紹介をした。


俺はラインバッハさんに確認する。

「え、この人がカバラン・ラハール……さんですか?」

「はい。現当主のカバラン・ラハール様です」


俺の頭の中では可愛らしい少年をイメージしていたから実物との差に面食らってしまう。


「えっとはじめまして、俺はバランといいます。今回の依頼頑張らせていただきます」

「へ、へーきみバランて名前なんだ。ぼくちゃんとよく似た名前だね。し、親近感がわくなぁ……」

カバランは小さいタオルで顔の汗を拭いながら言う。


「さあ、カバラン様お席にお座りになってください。バラン様もどうぞお席に」

「うん」

「あ、どうも」

ラインバッハさんに促されカバランはソファにぼすんと腰を下ろした。

俺も対面の椅子に腰かける。


「では依頼についての詳細をお話ししたいと思います」

ラインバッハさんはカバランの隣に立ち、話し始めた。


「ラハール家は代々マイトノーベル家と幾度となく衝突を繰り返して……」


ラインバッハさんの説明の最中カバランは俺をちらちらと見て俺が見返すとすぐに目をそらすという挙動不審な行動をとっていた。


『ねえ、こいつなんかムカつくんだけど。殺してもいい?』

そんな理由で殺すな。


「……というわけで今回代理戦争で決着をつけるという運びになったわけでございます。ですのでバラン様にはぜひラハール家のため、カバラン様のために勝利していただきたいのです」

「はい、わかりました」

「マイトノーベル家も間違いなくSランクの冒険者を代理戦争の代表者として選んでくることでしょう」

とラインバッハさんが言う。


Sランクかぁ……。

さすがに一筋縄ではいきそうにないな。

でも金貨三百枚のためだ、頑張るか。


「ほ、報酬は成功報酬だからね……ぼ、ぼくちゃんのために、ぜ、絶対に勝ってよね」

『やっぱりこいつ殺してもいい?』

依頼主を殺すな。


「決戦は五日後、人気のない荒野でとなりますのでどうかそれまではここで英気を養ってくださいませ」

「はい、ありがとうございます」



さすが豪邸。

家の中にはプールがありその横にはサウナ室まで設置されていた。

専用の部屋も用意され常に執事が身の回りのお世話をしてくれる。

ご飯は毎食高そうな料理がテーブルいっぱいに並べられ食べ切れなかったものは捨てられていく。

お風呂や着替えといったことも執事が手伝ってくれようとしたがさすがにそれは断った。


うーん、あまり長いことここにいると駄目な人間になってしまいそうだ。

悪い見本が今まさに目の前にいるが……。


「ふう……暑いよ。エアコンかけて。それとぼくちゃん汗かいちゃったから着替えも持ってきて。もちろん着替えさせてね」

カバランが執事たちにあれやこれやと命令している。


『こいつのために戦うんだと思うとやる気が出ないわ』

気持ちはわからんでもないがそう言うなって。


エクスカリバーのご機嫌を取りつつ五日間を豪邸で過ごした。


そして俺たちは――

――決戦の日を迎えたのだった。

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