第41話 お金がないっ
「バランさん、ガジュウ、おはようさん」
「おじさんとおっきいおじさん、おはよう」
「やあバランさん。ようガジュウ、今日もでかいねぇ」
元紅蓮の牙のリーダーであるガジュウは今ではすっかりバラン村の住人と化していた。
「お前つい最近まで盗賊団のリーダーやってたとは思えないな」
「オレ様にはこういう田舎ののんびりとした暮らしの方が性に合っているのかもしれんぜ。毎日いい気分だ」
口調こそ以前のままだが丸くなったガジュウは男手の少ないバラン村では意外とすんなり受け入れられていた。
「そういえば頭の傷はどうなった?」
ガジュウを見上げながら訊く。
頭の傷というのは斧が刺さって出来た傷のことだ。
ガジュウの自業自得といえばそれまでなのだが、それでも俺がやったことなので多少の罪悪感がないわけではない。
「傷自体はふさがったし痛みもねぇぜ。ただよお、触るとでこぼこしてんだよなー」
「ふーん、そうか」
謝ってほしいのだろうか髪の毛をかき分け傷を見せてくる。
「わ、悪いな……」
「何がだ?」
「それ、一応俺のせいだろ」
「はっ、そんなこと気にしてたのか貴様は。がっはっは、バカかよっ」
一笑に付されてしまった。
謝って損した。
「んなことよりバランはガゼフとリエルちゃんに毎月いくら渡してるんだ?」
ガジュウが突然変な質問をしてきた。
「なんだよ渡してるって?」
「はあ? 生活費に決まってるだろ」
「え……」
生活費ってどういうことだ?
うちの村は自給自足だからお金なんて別に必要ないんじゃ――。
「水道代とか燃料代とかあるだろ。バランはいくら渡してるんだよ」
ガジュウに言われてハッとした。
確かにこの村は自給自足だが水は通っている。
ということは当然お金がかかっているわけだ。すっかり失念していた。
「なんだ、もしかして生活費渡してなかったのかよ。貴様意外と抜けてやがるな」
ガジュウに言われるとは。
「食費だってそうだぜ。全部が全部村で作った物ばかりじゃないだろ」
言われてみればその通りだ。
まいったな……今さらだが生活費を入れないとまずいぞ。
『こいつ筋肉バカかと思ってたけどあんたより賢いんじゃないの?』
うるさい。
やばいぞ。俺は今所持金ゼロだ。
とにかく、とにかくお金を稼がないと!
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