第39話 薬草採取
数日後の朝。
俺たちはテーブルを囲んでリエルの作った朝ご飯を食べていた。
俺の対面にガゼフさん、俺の右側にリエル、そして左側にはガジュウが腰を下ろしていた。
「で、なんでお前がまだいるんだ? ガジュウ。頭の怪我はもうほとんど治っただろ」
「ガゼフがまだいていいと言ってくれたんでな」
「ガゼフさんて言えよ」
村長の俺でもガゼフさんと呼んでいるのだから。年長者を敬え。
「まあまあバランどの、ガジュウは若い男のおらんこの村には必要な男手ですじゃ。行くところもなさそうじゃしおいてやってもらえんじゃろうかのう?」
どういうわけか数日の間にガジュウはガゼフさんと仲良くなっていた。
「別にガゼフさんがいいならいいですけど……そもそも俺も居候の身ですし」
この村の村長は俺だが俺の家はない。
ガゼフさんとリエルのお世話になっているだけだ。
「それはありがたいですじゃ、ほれガジュウもバランどのに礼を言わんか」
「お、おう。サンキューバラン」
盗賊団のリーダーだったガジュウが今ではお年寄りの言うことを素直に聞いているとはな。
「ガジュウ、もめごとは起こすなよ」
「わかってら、オレ様に指図すんな」
「あっ、ガジュウさん今ご飯粒が飛びましたよ」
「おっと、わりぃわりぃ」
リエルももうガジュウのことを怖がってはいないようなのでそれに関しては一安心だ。
「バランさん、今日は裏山に薬草を採りに行きたいのですけれどバランさんもついてきてくれませんか? たくさん採れるので一人だと重くて……」
「ああ、別に構わないけど」
「リエルちゃん、それならオレ様も一緒に行ってやってもいいぜ」
「これ、お主はわしと一緒に畑の草むしりじゃろうが」
「お、おう、わかってるぜ」
ガジュウは俺に対してはまだ若干の敵対心が残っているようだがガゼフさんとリエルに対しては素直なので俺はガジュウをとりあえず見守ることにした。
朝ご飯の後片づけを済ますと、
「お待たせしました。では行きましょうか」
リエルがエプロンを外しながら言ってくる。
「かごは俺が持つよ」
「ありがとうございます」
家をあとにして裏山へと向かう俺とリエル。
空を飛んでいくなりテレポートするなりした方が早いのだが今日は歩いていく。
裏山はすぐ近くだしこの方が健康的だ。
いつもいつも飛んだりワープばかりしていたら運動不足になってしまう。
こういう時こそ歩かなくてはな。
☆ ☆ ☆
山に分け入ると早速、
「ありました! ムカデ草です」
リエルが薬草をみつけてその場にしゃがみ込む。
「この薬草は足のしびれに効果があるんですよ」
と嬉しそうに教えてくれる。
「あっ、あそこにあるのはギザ植物かもしれません。ちょっと見てきますね」
そう言って俺を残し一人茂みの中に入っていくリエル。
しばらくして戻ってくるとリエルは両手に沢山の球根のついた植物を持っていた。
「これはギザ植物といって葉の部分は傷薬に使えますし、根っこの部分は食べられるんです」
「へー、そうなのか」
俺は薬草の知識はからきしなので薬草採取はリエルに任せて荷物持ちに専念する。
それから二時間ほどでリエルはかごいっぱいの薬草を採った。
俺はずしりと重いかごを背中に背負ってリエルの後に続いて山道を歩く。
「バランさん、一度村に戻りましょうか」
「そうだな。かなりたくさんの薬草が採れたしな」
「家に着いたらお昼ご飯にしましょうね。さっき採ったギザ植物の根っこをお料理しますからぜひ食べてみてください」
「ああ、それは楽しみだ」
リエルは料理が上手だから自生していた植物の根っこでも充分期待できる。
待ち遠しいのかお腹の虫もぎゅるるるる~と鳴り出した。
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