第30話 オークキング
『貴様、ただの人間じゃないな』
魔法を吸収するという特殊なスキルを持ったオークキングが俺を見ながら言う。
よりによってエクスカリバーの光が魔法扱いだったなんて。
エクスカリバーの光があれば最終的にはどうにかなるとタカをくくっていたのが仇になった。
オークキングに勝つ方法が見つからない。
『逃げれば?』
さっきまで寝ていたエクスカリバーが喋りかけてくる。
『あんたなら空飛べるから逃げ切れるでしょ』
「村のみんなはどうするんだよ」
『あんたがあの世に行った時にでも謝ればいいんじゃない?』
話にならない。
逃げるなんて……。
だが、
「……逃げる、か」
俺はあることを思いつき空に飛び上がった。
『貴様、どこに行く気だっ』
『あら? ほんとに逃げるわけ?』
「……」
エクスカリバーの声を無視して俺はバラン村に向かって全速力で飛行する。
ここから村まで全力で飛べばオークキングが村に到達するまでに少しだけだが時間が出来る。
☆ ☆ ☆
「あっおじさんだ!」
ザジーが俺を見て声を上げた。
俺は村に着くとすぐに鍛冶場に向かう。
「バランどの、どうされたのですか?」
「バランさん?」
ガゼフさんとリエルがみつめる中俺は短時間で装飾品を作り上げていく。
時間との勝負だ。
ガゼフさんたちに説明する時間も惜しんで装飾品作りに没頭する。
と、
『さっきの人間はどこだっ!』
怒鳴り声が村中に響いた。
オークキングが追いついてきたのだ。
あと少し。もう少しで出来上がるっていうのに……。
その時だった。
「ぼ、僕が相手だ!」
レオがオークキングに立ち向かっていった。
弓を構えオークキングの前に立ちふさがる。
『貴様、エルフだな。生き残りか』
「そ、そうだ。お前にやられた友の恨みだっ!」
オークキングめがけ弓を引くレオ。
しかし矢がオークキングの体に命中する前に簡単にはたき落されてしまった。
『ふん。エルフごときがオレにかなうわけなかろう』
「くっ……」
『貴様も友とやらのもとへ行くがいい』
オークキングが腕を振りかぶる。
とここでようやく完成した。
俺はすぐさま出来上がった腕輪を右腕にはめると「テレポート!」と唱える。
その刹那、俺は瞬間移動してレオに覆いかぶさった。
俺はオークキングのパンチをまともに背中に受けレオもろとも二人して吹っ飛ぶ。
家の壁に激突する俺とレオ。
「「ぐあっ……!」」
立ち上がって、
「大丈夫か? レオ」
「……は、はい」
「よく頑張ってくれた。おかげであいつを倒せるぞ」
俺はレオの肩に手をやるとオークキングに向き直った。
『貴様か、人間。逃げたのかと思ったぞ』
「お前を倒す道具を作ってたんだ」
『オレを倒す道具だと? ぐっはっは。どこにあるのだそんなもの』
「これさ」
俺は右腕にはめた腕輪を指差す。
『ただの腕輪じゃないか』
「いや、ただの腕輪じゃないぞ」
これはテレポートリング。これを装着してテレポートと唱えると目に見える範囲ならどこにでもワープが出来るという優れものだ。
鍛冶職人のスキルを活かしてたった五分で作り上げた力作である。
「テレポートっ!」
早速俺はオークキングの後ろにワープすると腕を掴み空を見上げた。
『き、貴様っ――』
ここからさらに、
「テレポートっ!」
オークキングと雲の上に一瞬で移動する。
『ぐっ、な、何をっ!?』
上を見てさらに、
「テレポートっ!」
空気が薄い。
気付けば空が暗くなっている。
俺はオークキングを連れてもう少しで宇宙というところまでワープしてきたのだった。
そして、
ドンッ。
俺はオークキングを突き飛ばすと、
「この高さから落ちればさすがのお前でも無事じゃ済まないだろ」
笑って見下ろした。
『き、貴様っ……!!』
落下していくオークキング。
そのスピードはどんどん増していく。
息が苦しいので俺はまたもテレポートを使い地上に戻る。
そして俺はオークキングより早く地上に着くと空を見上げた。
「おおー。落ちてきてる、落ちてきてる」
オークキングが何やら叫びながら落下してくる。
その勢いのまま目の前まで迫ってきて直後、
ドゴーーン!!!
クレーターが出来るほどの速さでオークキングが地面に叩きつけられた。
近寄って見るとクレーターの中心には穴が開いている。
「おーい、オークキング。生きてるかー?」
『……』
返事はない。
物音一つしない。
「ふぅ……なんとか勝てたか」
俺はテレポートリングのおかげでオークキングからからくも勝利を収めることが出来たのだった。
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