第26話 太陽エネルギー
三日もすると盗賊にやられた怪我も癒えガゼフさんは元気に動けるようになっていた。
畑仕事に精を出すガゼフさん。
「もう大丈夫なんですか?」
「ええ、バランどのには心配かけてしもうて申し訳なかったのう」
「いえ、元気になられたなら何よりです」
リヤカーを引いているところを見るとつい昨日まで安静にしていた人とは思えない。
「ちょっとおじいちゃん、まだ寝てたほうがいいわよ」
「リエルや、わしはもうこの通り元気じゃ。ただ寝ているだけはもう飽きたんじゃ」
「何言ってるのよもう。バランさんからも言ってあげてください、まだ休んでないと駄目だって」
「え……」
「バランどの、わしは元気ですじゃ」
「バランさん、お願いします」
俺は二人に挟まれ、
「え……えっと、俺村の見回りしてきますっ」
逃げるようにその場をあとにした。
☆ ☆ ☆
「ふぅ~」
村の近くの森に入る。
『なっさけないわねー、あんた村長なんだからびしっと言ってやればいいのよ』
エクスカリバーの声が頭の中に聞こえてくる。
「そうはいっても俺は居候の身だからなぁ。あの二人には頭が上がらないんだよ」
『だっさ』
「別にださくはないだろ」
『あ、そうそう。そういえばずっと言い忘れてたことがあるんだけど』
エクスカリバーは言う。
「なんだよ」
『たまには太陽エネルギーを放出させてほしいのよね』
「太陽エネルギーってこのボタンか?」
俺はエクスカリバーの持ち手部分の金色のボタンに視線をやる。
『そうそれ。たまには押して。じゃないと溜まりに溜まった太陽エネルギーが暴発するかもしれないから』
「暴発? なんだそれ、怖いな」
『とりあえずここで一回出しときなさいよ』
「こんな森の中でか? 危なくないか?」
『真上に放てば被害なんて出ないわよ』
「……まあ、そうか」
俺はあの強力なエネルギーが暴発するのも嫌なのでエクスカリバーに言われた通り剣を真上に向けてボタンを押した。
ゴゴゴゴゴオッ!!
金色の光が天に向かって一直線に一気に伸びる。
その光は横にも膨れ上がる。
「なんか前よりもでかいぞ」
光に目をくらませながら俺は言う。
『それだけ太陽エネルギーが溜まってたってことでしょ』
「…………なあ、それよりこれいつ消えるんだ?」
いつもは敵に向かって放った後に勝手に消えていたが今は全然消えない。
もちろんもうボタンは放している。
「もう一回押せば消えるのか?」
『何かに当てないと消えないわよ』
「何かってなんだよ、さっき被害は出ないって言ったろ」
『しーらない』
「なんだそれっ」
何かに当てるったってここは森の中だぞ。
木に当てたら燃えたりしないだろうな?
森がなくなったら俺の責任になってしまうぞ。
俺は周りを見渡した。
すると遠くに切り立った断崖が見えた。
あの崖なら壊れてもまあいいだろう。
俺は森を抜け出るとエクスカリバーを遠くの崖に向かって振り下ろした。
ズズンッ。
エクスカリバーから伸びた光が崖に当たる。
すると、光に飲み込まれた部分の崖がきれいに消失した。
そして……金色の光が消えていく。
崖はごっそりなくなっていた。
『我ながらすごい威力ね~』
「こんなのが暴発したらどうなるんだよ、まったく」
『そうならないためにもたまには使いなさいよ』
「はいはい」
俺は村に帰ろうときびすを返す。
その時だった。
二人の若い男女が俺の前にざざっと現れた。
耳がやけにピンと尖ったその二人は俺を上から下まで無遠慮に見回す。
「……なんだ? お前たち」
俺は訝しく思い声をかける。
「……」
「……」
だがその二人は答えない。
ただ俺を観察しながら俺にはわからない言葉で会話を交わす。
「おーい。言葉が通じないのか?」
『殺っちゃえば』
物騒なこと言うな。
すると、二人の男女は突然地面に正座をして頭をつけた。
そして声を発した。
「あなたを一流の剣士と見込んで頼みます! 我々エルフを助けてくださいっ!」
「え……?」
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