ことの始まり
あの日だっていつもと同じ一日になるはずだった。
俺は高校3年で普通の家庭に生まれて、したいことも無くこのまま適当に入れる大学に行くつもりだった、ただ就職するまでの期間を延ばすために。隣の家の幼なじみの宮は同じ高校3年で、小学生の頃からタイミングがあえば、いつも一緒に帰るどこぞの企業の社長の娘でいわゆるお嬢様だったが人懐っこくて、クラスの人気者。
高校から俺の家までは30分もある、いつもバス通学だけどちょうどバスが行ってしまって俺も宮も仕方なく歩いて帰ることにした。
「そうちゃんは進路どうするの?」
「まだ決まっていない。」
「えー。もう3年だよ、夏休みに入るし。」
「いいんだよ。宮はどうするんだ?」
「私は、あっ雨だ。やっぱり降ってきたねー。」
宮がそう言うと雨はざーっと強く降り始め、俺たちは近くにある公園で雨宿りをするはめになった。空は明るいので雨はすぐにやむだろう、つい最近夏服になった俺たちは上から下までびしょびしょだ。俺は体育の時に使ったスポーツタオルを宮に差し出す。
「えーこれそうちゃんが汗ふいたタオルでしょー。」
と言いながら体を拭いている。
「嫌なら返せよ。」
「嘘です、蒼真様ありがとうございます。雨が弱まりましたよ、かえりましょう。」
ふざけていると小雨になりすぐにやんだ。その時、歩き出した宮が目の前から消えた、と思ったらこけたのか地面に座り込んでいる。そのまま立つ気配がないので不思議に思っていると。宮が震える声で振り返りながら呟く。
「そうちゃん足の感覚が急になくなったの、立てない。ねえどうなってる私の足、怖くて見られない。」
「何をふざけ……」
先に靴が目に入った、こけたときにぬげたのだろう、靴がころがっていてそのそばに宮は座り込んでいるのだが、足の先、靴下のくるぶしから先にふくらみがない、靴下がぺたりと地面についている。急いで靴下を脱がすとやはりくるぶしから先がなくなっている。宮にその事実を見せる前に抱きかかえ家までとにかく走った。




