7-6 本章の整理
本章では、
作中で観測される時間遡行的な挙動について、
感情や意志といった主観的概念を用いず、
世界状態の再配置という観点から整理を行った。
作中の世界は、
ある時点における一体の状態として扱うことができ、
通常の時間進行では、
その状態は一方向に更新され続ける。
一方で、作中では、
進行していた世界状態が破棄され、
過去の配置が再び採用される挙動が
繰り返し確認される。
この再配置において、
世界全体の構成は過去の状態へ戻されるが、
特定主体に属する記憶のみが保持されている。
この情報保存の偏りにより、
世界と観測主体の間に
非対称な状態が形成される。
さらに、
再配置が反復されることで、
保存される情報は一方向に蓄積され、
世界側の状態との差は拡大していく。
この非対称性は、
作中で描かれる行動や判断の変化を、
構造的に説明する基盤となる。
また、
再配置は無制限に実行可能な操作ではなく、
回数や継続に伴う負荷や制限が示唆されている。
これは、
世界状態の再配置が
何らかのコストを伴う現象であることを示している。
以上より、
作中の時間遡行的挙動は、
時間を移動する現象でも、
過去を直接改変する行為でもなく、
世界状態を過去の配置へ戻す操作として
一貫して整理することができる。
本章では、この立場を採用し、
以後の解析における前提とする。




