6-3 叶えられない願いを抱いた場合の挙動
本節では、
通常運用とは異なる例外条件として、
「実現不能な願い」が提示された場合の
能力拡張挙動を整理する。
前節までで示した通り、
通常の願いに対しては、
能力拡張と浄化工程が並行して進行し、
濃度の均衡点において
能力は有限領域に収束する。
しかし、
願いの内容そのものが
構造的に実現不能である場合、
この均衡構造は成立しない。
実現不能な願いとは、
達成条件が時間・空間・対象範囲のいずれにおいても
有限に定義できない要求である。
この場合、
目的関数は完了状態を持たず、
システムは達成失敗を検出できない。
その結果として、
魔法少女システムは
不足している能力を補うために
自動拡張を継続する。
この拡張には、
・到達すべき目標点が存在しない
・完了条件が定義されない
・拡張停止の判断材料がない
という特徴がある。
したがって、
能力拡張は天井なく継続し、
通常運用で成立していた
有限上限モデルは適用されなくなる。
重要な点として、
キュゥべえはこの拡張工程を制限しない。
これは制御不能や放置ではなく、
同意に基づく正規運用として
処理されているためである。
また、
この工程において
「拒否された願い」は存在しない。
契約時点で同意が成立している以上、
願いは常に正当な入力として扱われる。
以上より、
実現不能な願いを抱いた場合でも、
魔法少女システムそのものは破綻しない。
能力拡張は継続し、
その結果として
例外的な能力規模を持つ個体が生成される。
次節では、
この例外的拡張と
魔女化という容量破綻現象との関係を
切り分けて解析する。




