6-2 上限到達の挙動
本節では、
願いの実行に伴って拡張される能力が、
どのような条件で上限に到達するのかを整理する。
前節で述べた通り、
魔法少女の能力は
願いという目的関数を達成するために
必要量が自動的に拡張される。
しかしこの拡張は無制限ではなく、
通常の運用においては
有限領域に収束する挙動を示す。
この有限性を成立させている要因が、
グリーフシードによる浄化工程である。
第4章および第5章で解析した通り、
呪いのエネルギーは
高濃度のソウルジェムから
低濃度のグリーフシードへと移動する。
この濃度差が存在する限り、
ソウルジェム内部のエネルギーは
外部へ排出され、
運用は継続可能な状態を保つ。
能力拡張は、
魔力運用OSの性能拡大として進行するが、
その過程で生成される呪いのエネルギーも
同時に蓄積される。
したがって、
能力拡張と浄化工程は
常に並行して進行する関係にある。
しかし、
グリーフシード側へ移動するエネルギー量が増加し、
両者の濃度が等しくなった時点で、
濃度差に基づく移動は停止する。
この状態では、
・浄化工程は成立しない
・呪いのエネルギーは内部に留まる
・それ以上の安定運用は不可能となる
という条件が揃う。
したがって本稿では、
ソウルジェムとグリーフシードの濃度が均衡する点を、
通常運用における
能力拡張の実質的な上限として定義する。
この上限は、
道徳的制限やシステムによる抑制ではなく、
濃度差という物理的条件によって
自然に成立するものである。
次節では、
この上限が成立しない
例外的な条件について解析する。




