リーネの報告
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「私を下級生と侮っていた為、魔術が使えましたので、問題ありませんでした。そこで、重要な話を耳に致しましたので、システィーナ様にお伝えします」
行方不明だったリーネが戻って来てから、息付く暇もなく、真剣な顔でこう告げた。
「一体何を聞いたの?」
「先ず、私が拐われた場所に、ウォーリック様も捕まっています。二人で逃げることが叶いませんでしたので、必ず助ける事を約束し、私だけ先に抜け出しました」
「ウォーリック様まで…直ぐに助けに行きましょう」
「システィーナ様、お待ち下さい。昼休み迄は無事ですので、もう少し私の話を聞いてください」
…焦ってごめん
「そうね。ごめんなさい。先を続けて頂戴」
「はい。私は見知らぬ上級生に呼び止められ、『ベレナルフから来た王族を知らないか』と尋ねられました。マカリスター様の事を告げ、よく知らぬと答えると、女子生徒で知らないかと言われました。咄嗟に知らぬと答えましたが、何かを感じ取ったのか、魔術で眠らされました」
私は青褪める
…確実に私の事を探してるよね
「目を覚ますと、倉庫のような所に手足を縛られた状態で、床に転がされていました」
「床にそのままなんて、酷い!」「床にですって?!まるで人扱いしていないですわ!」「床に?!なんて奴らだ」
―あ、キレるとこそこなんだ。縛られてたり、眠らされた事じゃないんだ。本当にこの世界の人、床嫌いだよね
「まさか私が無属性の高位魔術を使えるとは考えていなかった様です。攻撃魔術は流石に使えませんでしたが。それで縛りを解き、ウォーリック様を見つけました。気を失っておられましたが、癒しの魔術で目を覚まされました。ウォーリック様は、自分が居ると足手まといだろうから、と、再び縛るよう仰り、助けを呼ぶようにと…」
―あの子中々肝が座ってるのね。状況判断して、無理やり逃げる事を選ばなかったんだ。見直したわ
「扉の鍵も解錠の魔術が使えましたので問題なく抜け出しました。影変化で出口を探していたら、話し声が聞こえました。そこで一連の誘拐犯がガラファド公爵の子息、アドルフォス様と判明しました。勿論、指示したのは父である、ガラファド公爵です。何でも、王族となった、『混じり物』を探しているようです」
―!!それって…私の事?私が平民だと知っているの??
私は顔色を無くし、テスを見た。テスも青褪めた顔で頷いた。
「システィーナ様、如何されましたか?」
リーネが怪訝な様子で尋ねた。
テス以外の従者は私の本当の出世を知らない。
「何でも無いわ。ありませんわ。続けて」
「はい。何でも、ガラファド家はスペロニル子爵しか使えない『シュウマの術』と云うもから、何らかの利益を得ている様です。そこに、最近アトワジール公爵も手を伸ばして来たらしく、抜け駆けさせぬ様、焦っている様子でした。その、混じり物の王族をどう使うかは分かりませんでしたが、そこ迄高位の王族では無いだろうと話していました」
―翼の色から王族になっただろうと推測したものの、まさか、高位王族になってると思っていないのか。シュウマの術って、なんだろう。セレスティナ母様とアルベティウス様に相談しないと。
「拐われて恐かったでしょうに、よくやりました。リーネ。でも、貴女の無事が一番大切よ。無理は絶対しないで頂戴」
「心得ました」
私は、送信板に緊急とし、セレスティナ母様と共に来るように書いて送信した。
暫くすると、『すぐ行く』と返信が来た。
「それにしても、昼休み迄ウォーリック様が無事だと、どうして知っているの?」
「アドルフォス様とガラファド公爵との会話の中で、自白剤を飲ませ、聞きたいことを聞いたら忘却の魔術で忘れさせたら問題ないと、話していました」
「酷いですわね。どうりで今まで捕まって助かっていた人達の記憶が曖昧な訳ね」
「その時、昼休みに実行すると告げていましたので」
「なるほどね。昼休み迄後1時間位しか無いわ。先生達と話をしたら、直ぐに助けに行きましょう」
そうしてる間に、セレスティナ母様とアルベティウス様が、私室にやって来た。
「ああ、カロリーネ。無事な顔が見られてよかったわ」
セレスティナ母様が、リーネを抱き締める。
「ご心配おかけしました」
「無事で良かったね」
「アルベティウス先生も、有難うございました」
「それで、何があったの?」
リーネは、私達に話した事と同じ話を、二人にした。
「…困ったわね」
珍しくセレスティナ母様が考え込んでいる。アルベティウス様も難しい顔だ。
「取り敢えず、ウォーリックを危ない目に合わせるわけにいかないから、助けに行こう。ただ、知らぬとしらばっくれられる可能性があるので、ガラファド親子を逮捕は出来ないな」
…話を聞いたってだけじゃ無理だよねぇ
「仕方ありませんわ。ですが、我々は知っていると示せば、今後拐かす事は無くなるでしよう。ただし…」
「ただし何ですか?」
「違う方法で『混じり物』を探すでしょうね」
…脅威は続くか…
「よし、ウォーリックを迎えに行こうか。リーネ疲れているのに、悪いが道案内頼めるかな?」
「勿論です」
「フェリオルフと院長が貴族院内を回っているから、合流しよう」
「バルドに塔の前に二人を連れてくるように言付けましたわ。もう、待っているでしょう」
「よし!行きましょう!」
私は張り切って飛び上がった。
「ティーナは此処で待つんだよ」
「え?」
「当たり前です」
アルベティウス様とセレスティナ母様に制された。
―ウォーリック助けに行く気満々だったのに
「…お気をつけて」
私は渋々3人を見送った。
―私だって役に立つのに…
がっかりだ。
補足までに。リーネが戻る直前、フェリオルフと院長はリーネを探しに行きました。院長からは大した話は聞けてません。




