幕間〜リーネの奮闘(3)
いいね&評価、ブックマーク更に誤字報告、有り難うございます!
倉庫を出ると、薄暗い廊下になっていた。影のままで廊下を進む。少し上がったところで、見覚えのある場所に出た。
―特別高位王族塔?いや、それにしては少し廊下が狭いし、装飾も控え目だ。ああ、恐らくここはお金を出せば借りられる貴族塔だろう。
出口を探していると、一つの扉から声が聞こえた。
…防音の結界もせずに話をするとは、本当に意識の低い人達だわ。私には有り難いけれど。
扉のギリギリまで近付くが、何を話しているか迄は聞き取れない。影変化のままで聞きたいが、私は影変化と集音の魔術を同時に行使出来ない。
…システィーナ様なら出来るんだろうな。修行が足りないな
こんな所で、改めてシスティーナ様の偉大さを思い知る。
仕方なく、一度影変化を解除して、集音の魔術を唱える。
「集音の術」
『…わかっています。少し噂が広まってしまいました。今連れてきた二人なら何か知っているでしょう』
―私に話し掛けた上級生ね。相手は誰かしら。
『この所、アトワジール公爵がスペロニル子爵にちょっかいを出している様だ。先を越される訳にいかぬ』
―大人の声ね。
『集魔の術を我々が扱えれば…』
―シュウマ?なんの事かしら
『スペロニル子爵が秘伝の魔術と決して明かさぬのだ。8年前に私の秘蔵の混じり物を失いよったにも関わらず…』
…混じり物って…まさか…
『父上、スペロニル子爵には思う所はございますが、彼が居なくては困るのも事実。アトワジール公爵に奪われぬ為にも、早急に混じり物の平民を探します。流石に高位王族となっている筈はないので、もう少し粘ります』
『頼むぞ。ガラファド家に名に恥じぬ様にな』
『はっ!心得ました』
―!!ガラファド公爵!私を拐ったのは、5年生のアドルフォス・アトワーフ・ガラファドだったのね!
『今から授業ですので、捕まえた二人は昼に尋問します。自白剤を飲ませて、忘却の魔術を掛ければ問題にはならないでしょう』
『抜かるなよ』
『お任せを』
アドルフォスが出て来そうな気がしたので、慌てて集音の魔術を解除して、影変化を掛ける。
―早くここから出なくては。システィーナ様にお話しないと!
塔から出ようとする、アドルフォスの後を影変化でついていく。
―やっと塔から出たわ!急いでシスティーナ様の私室に行かなくては
私は大急ぎで、特別高位王族へ向かった。
昼休み迄に、ウォーリック令息を助けなくてはいけない。
特別高位王族塔に入る前に、浄化の魔術で汚れを落とす。
システィーナ様の私室の前に着くと、中に人が居るのが分かる。魔石に魔力を通す。
『リーネ!無事だったのね!』
テスの声と共に扉が開いた。
中へ入ると、テスとラン、システィーナ様まで飛び付いて来た。
「心配したのよ」「何処にいたの?」「何かあったの?」
夢中で気が付かなかったが、こんなにも仲間を心配させていたのかと、反省する。
「ご心配おかけして、申し訳ございません。何者かに拐かされ、眠らされていました」
私がそう言うと、皆青褪めた。
「大丈夫?」「怪我はない?」「不覚だったな」
―ウルフが混ざったわね。ええ、不覚だったわよ。煩いわね
私はウルフを一瞥してから、システィーナ様に向き直った。
「私を下級生と侮っていた為、魔術が使えましたので、問題ありませんでした。そこで、重要な話を耳に致しましたので、システィーナ様にお伝えします」
システィーナ様は真剣な顔で頷いた。私は、登校してからさっき迄の話を順を追って話しだした。
リーネ編はここ迄。ちょっと短いです。




