↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生先は大空でした  作者: 高木 藍
第四章 平民ではない家族と王族ではない自分

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/124

幕間〜王妃と側妃〜

いいね&評価、ブックマーク有り難うございます!

 私はアトワーフ国王、アルサザール・アトワーフの妻、メルティアーナ・アトワーフと申します。

 私には息子が二人、娘が二人おります。次女は側妃のマリアレッタの娘でございます。マリアレッタは、ソフィアレッタを産んで間もなく儚くなりました。その時から、ソフィアレッタは他の子達と変わらぬ様に育てて参りました。


 マリアレッタは私の姪に当たります。プレストル公国の公王は私の兄。マリアレッタは第二王女でございました。私と公王は18歳が離れており、マリアレッタとは5歳しか離れておりませんでした。マリアレッタは姪と言うより、妹の様な存在でございました。


 マリアレッタは、幼い頃より許婚がおりました。成人して間もなく成婚の予定でございましたが、直前にお相手が儚くなってしまいました。本来であれば、直ぐに別のお相手と婚約して然るべきでございます。マリアレッタ本人が、望まなかったと云うのは建前でございました。長きに渡り婚約しておりましたので、許婚の急死はマリアレッタに良くない醜聞が生まれてしまいました。

王族や貴族は処女性を求めます。成婚はしていなかったにも関わらず、マリアレッタは未亡人の様な扱いを受けることとなりました。兄はそれを是としませんでした。


 結果的に、マリアレッタは婚期を逃してしまいました。もう、成婚は諦めてしまっておりました。マリアレッタがその様な状況になっている事は、風の便りで存じておりました。しかし、私は遠く離れたアトワーフの王子妃。何もして差し上げることが出来なかったのです。

 

 私は、第一王子である、アルベティウスを出産した折、根も葉もない醜聞を広められ、体を悪くしておりました。何とか持ち直し、第二王子のルサルジウスを産むことは出来ましたが、王子を産んだことで、アルベティウスの噂が再燃し、また、悪化してしまいました。その為、もう、子を産むことは出来なくなっておりました。


 夫は私を深く愛してくれております。しかし、一国の王である夫には子を成す義務がございます。まだまだ壮健でございましたので、私は側妃を召し上げる事を常々進言しておりました。

 成婚を諦め、引き篭もっていたマリアレッタを夫に薦めました。マリアレッタはプレストルから出た方がよいと考えておりました。私の側に来て欲しいとも思ったのでございます。

 夫は私の説得に渋々了承致しました。後は兄とマリアレッタの説得でございましたが、これは至極簡単でございました。婚期を逃した娘に後ろめたい兄と、プレストル公国から出たい姪。断る理由はございませんでした。


 マリアレッタを迎え、私の体調も持ち直し、とても楽しい毎日でございました。所が、マリアレッタには重責がのしかかっておりました。中々子宝に恵まれなかったのでございます。元々小柄で、何年も引き篭もっていた為でございましょうか。子が宿っても流れて仕舞うこともしばしばございました。


 もう、良いのです。気になさいますな。何度そう言いましたでしょうか。マリアレッタは、自分の事を価値の無い人間だと思うようになっておりました。私には、そこに居てくれるだけで価値のある存在でございましたのに。

 諦めかけた時、マリアレッタはソフィアレッタを身篭りました。私も夫も子供達も、国民も大層喜びました。しかし、お腹が大きくなるに連れ、マリアレッタは痩せてゆきました。

 ソフィアレッタが生まれた日、マリアレッタは涙を流して喜びました。母にのみ許された初乳を飲ませ、眠りにつきました。痩せた体は悪くなるばかり。起き上がることも出来ない日々が続きました。産んだ喜びを噛み締めたのも束の間、我が子を抱く力も無いと、さめざめと泣いておりました。


 来る日も来る日も、私や夫、子供達がソフィアレッタを連れて、マリアレッタの元を訪ねました。何度元気になったらソフィアレッタを連れて里帰りしようと励ました事でしょう。マリアレッタは笑顔で頷いておりましたが、我が身の死期を悟っている様でございました。

 マリアレッタが、シュラーリア様の元へ召される数日前、少し調子の良い日がございました。マリアレッタは人払いして、私に言いました。

 アトワーフへ呼んでくれて有り難う。私はソフィアレッタを授かることが出来ました。ソフィアはメルティの娘として育ててくれれば、思い残すことはありません。

 マリアレッタはそう言って微笑みました。痩せ細り、痩けた顔ではございましたが、とても美しい笑みでございました。消えてしまう前の、最後に一際明るく燃える蝋燭の様に。


 それから間もなく、マリアレッタはシュラーリア様の元に召されました。その顔は微笑んでおりました。私はマリアレッタに誓いました。ソフィアは必ず幸せにすると。


 ソフィアレッタは、母のマリアレッタの面影を残す、美しい姫に育ちました。少々可愛がり過ぎた為でございましょうか、甘えん坊に育ってしまいました。中々良い許婚が見つからず、成人を越えてしまいましたが、ソフィアレッタの想い人と婚約させてやる事ができました。

セレスティナの息子でしたら、ソフィアを大事にしてくれる事でしょう。夫が溺愛する妹の子ですからね。

 シュラーリア様の元で、きっとマリアレッタも喜んでくれていますわ。また、二人で色々な話をしたいですが、まだもう少し、シュラーリア様の元で待っていていて頂かなくては。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。