内緒話
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筋肉痛に悩まされながらも、貴族院に向けて色々な指導を受けた。
「システィーナ様は、本当に優秀にございます」
メルはいつも褒めてくれる。
「メルやテスこそ、とても良い先生だわ」
「とんでもない事にございます。本来であれば、どの指導にも専門の教師を付けるべきなのですが、システィーナ様はそうは出来ない事情がございます。私共の様な者の指導でありながら、専門の教師から指導を受ける以上の成果を出されていらっしゃいます」
テスが力説してくれる。
「そんな事はないのよ。本当に有り難うね」
まだまだ、褒め足りなさそうだったが、恥ずか死ぬので、やめて貰いたい。
午後からはアルベティウス様から魔術の指導を受ける。王族の魔術指導なので、この時ばかりはテスも部屋から出され、防音の結界が施される。
「やぁ、ティーナ始めようか」
笑顔のアルベティウス様がやってきた。
「それでは私は失礼致します」
テスが下がり、二人きりになる。
「はぁ、良い人ばかりだけれど、お嬢様をするのも疲れるわ」
私が肩を回しながら、ソファーに座る。アルベティウス様と居るときが、本当の意味で素で居られるのだ。
「僕は二度目の人生も中々長くなったからね。慣れたよ。前世より若くなったし、最新機器は無くとも、魔術で色々解明できるし、最近は楽しいよ」
「私はまだ、13年しか経ってない上に、平民から王族よ?変化についていくのでいっぱいいっぱいよ」
はぁと溜息を吐いた。
「更に、これから学校に通うのよ?前世から考えたら何十年ぶりよ…」
「僕も貴族院は色々あったからなぁ。高位の王族で王太子候補だったから、色々人は寄って来たけど、魔力無しを疑われて、陰で色々やられたしね。ルサが知らない所で、第二王子派から命を狙われたりとかも、よくあったよ」
「…色々大変だったのね」
「まぁ、師匠がやって来て、大分楽になったよ。精神的にだけど。命が狙われていたけれど、ギュスが影として事前に防いでくれていたし、フェリオが守ってくれてたしね」
彰斗は肩を竦めて言った。
「…ギュスターブさんって、同い年よね?しかも侍従じゃなかった?学生なのに影だったの?」
「ギュスは侍従としても素晴らしかったけど、影として働く方が性に合っていたみたいだよ。今の検事の仕事にも色々役立っているみたいだしね」
気の良いメルの旦那さんとしか思っていなかったが、一気に敵に回してはいけない人No1に踊り出た。
「命を狙われると言えば、私の誘拐未遂で犯人が自爆してから、特に何も無かったけど、手引きした貴族は分かったのかな?」
「平民街で自爆とか、随分派手にやらかしたからね。今は熱りが覚めるのをまっているのかも。それか、ティナが死んだと思って諦めたか。君が貴族院に入学したら動き出すかもしれないから、くれぐれも注意してね」
彰斗が私の頭を心配そうに撫でる。
「流石に貴族院の中までは大丈夫じゃない?それに、今までは平民だったから拐かして利用しようと思ってたけど、高位王族の娘よ?そう簡単にはいかないでしょ?」
「楽観的に考えればそうだけど、君が元々平民だと知っていたらどうなる?例え高位王族として出て来ても、元々平民なのだから、何してもいいと考えるかもしれなない。用心に越したことはないよ」
「私が元々平民だと知っている人は高位の王族や貴族ばかりよ?情報が漏れることはないでしょう?」
「情報なんて空気みたいなもんだよ。漏れないと思っていても、ちょっとした所から漏れるもんだ。壁に耳あり障子に目ありでしょ?」
―彰斗の言うとおりだ。エリスみたいに、関係ない人を巻き込まないとも限らない。
「師匠が君に護衛を付けるって言ってたよ。明日になったらわかるんじゃない?」
「護衛?慣れない人が四六時中一緒に居るのは落ち着かないなぁ」
―護衛とか、勘弁して欲しい。そりゃ拐われるのは嫌だけど。
「師匠が考えているんだし、大丈夫でしょ」
「お母様だから心配なんだけど…」
「ま、そうとも言うね」
「そんな、笑顔で言わないでよ」
…彰斗のセレスティナ母様に対する、無条件の信頼は困ってしまう。セレスティナ母様はやり過ぎの傾向があるので、私はそこが心配なのだ。
私は、まだ見ぬ護衛に思いを馳せて、深いため息を吐いた。
ちょっと短めです。四章はここまでです。幕間を挟んで五章に入ります。




