黒一色
目の前にいる男を見た正直な印象は「こんな奴が戦えるのか」だった。
いくら変身ができるからといってもこんなガリガリの陽の光を浴びただけで消え去ってしまいそうであり敵のパンチを1発でも受けたら確実に死ぬようなそんな体格である。
「君はどんな能力を持っているんだい?」
発してから失言だったと気づいたが目の前の男から笑いは消えていた。
「てめぇも見かけだけで俺が戦えないと思ってんのか?鈴木のオッサンが来る前にお前を殺してやってもいいんだぞ。」
そういった男からは禍々しい黒いオーラの様なモノが湧き出していた。本能的にこの手合いには関わってはいけないと判断しそんな意図はないことを説明し不快にさせたのなら申し訳ないと謝罪をしてどうにかその場は落ち着いた。
暫くして意気揚々と寸胴鍋いっぱいにイカスミカレーを作ってきた黄色の男こと鈴木のおっさんがやって来た。
「よぉ!目が覚めたか。腹減ってるだろ?カレー食べて行けよ」
そう言って何処から取り出したのか業務用炊飯器から米を皿によそいイカスミの黒いカレーを一つ一つ並々とかけていく。最後の一皿ひときわ米の多い皿にカレーをかけようとした時黒い男が大きな声で叫び出した。
「オレは白米だけでいいっていつも言ってるだろぉがああああああああああ」
そう言って鈴木のおっさんに駆け寄り白米だけの皿を奪い取り白米だけを幸せそうに食べていた。
「いやぁマタタキ君黒いから黒いカレーなら食べるかなぁと思って作ったんだけどやっぱりダメだったか」
「あのー鈴木・・・さん?で間違えてないですよね?」
「ん?ああ、まだ名乗ってなかったなオレは確かに鈴木だ。下の名前はあまり好きじゃ無いから聞かないでくれ。んでこの黒いのは・・・まぁマタタキ君って呼んでやってくれ。本当の名前言うと発狂するんだわ。」
「さっきも発狂してましたけど・・・」
「彼は宗教上の理由で白米以外は食べられない設定なんだ。生暖かい目で見てあげてくれ。」
そう言ってイカスミカレーを手渡してきたのでそれを頬張って気づいた事があった。
「あの、このイカスミって・・・」
「ああ、こないだの怪人のだよ。アレでも一応以下イカだからな。食べ物は粗末にしたらいけない。」
それを聞いた瞬間食欲が何処か遠くへ消えていく感じがした。




