↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/102

第61話 真の覇者

旧ミレイア王都に2つの旗がたなびく。

ほんの少し前まではもうひとつ旗があったのだが、つい先日に降ろされたばかりだ。

エレナリオのエリオス王が、会談への参加を拒否したからである。

これにはアシュレイルとアルフェリアも大いに怒り、返答を聞き次第に同盟を打ち切ったのだ。


故に会談もとうとう2人だけとなった。

わずか1年足らずで世界の主導者が半減したのだが、彼らに焦りは感じられない。



「エリオスめ……。我らに牙を剥こうとは、愚かな男よ」


「アルフェ王。あやつに使者は送ったのだろう。返事はないのか?」


「話にならんわ。一方的な拒絶。よほどに新興国が恐ろしいと見える」


「ならば我らの方が強大であり、絶対者であることを教えてやらねばならぬ」



この2人の王の戦略は一致している。

大陸中北部に位置する、世界一の穀倉地帯を手中におさめようというのだ。

特にアシュレイルは土壌が豊かでないため、エレナリオとの国交が途絶えると窮地に陥ってしまう。

そのため、一刻も早い制圧が望まれるのだった。



「貴国の戦力は骨身にしみておるが、油断は禁物じゃ。あちらには千本槍のグランドだけでなく、大魔獣まで擁し、さらには謎の力をふるう小僧までもが控えておる。エレナリオの討伐戦と考えていては足元を掬(すく)われよう」


「物の数ではない。我らだけでカタがつく。更には貴様の機工師団までもが味方なのだ。負ける道理が無い」


「ふむ……そうじゃろうな。歳を重ねると気が小さくなって参るわ。今のは忘れてくれい」



アルフェ王が嗄(しわが)れた声で笑う。

対するレアルは眉ひとつ動かさずに居る。



「それはそうと、レジーヌの行方は?」


「確信できるほどの情報は届いておらん。貴殿こそどうなのだ?」


「近隣を捜索させたが、手がかりすらない。北方山脈もしかり、帰らずの森しかり」


「ふむ。となると、やはり新興国の支配下に居ることじゃろう。エレナリオに違いあるまい」


「なぜそう思う?」


「考えてもみよ。ディスティナは首都壊滅、東南は魔獣が跋扈(ばっこ)する未開の地。高貴な者を匿うとしたら、無傷のエレナリオ以外にあるまい」


「では、エレナリオの離反もレジーヌが原因か? 豊穣の加護を独占するために?」


「その線が濃厚じゃ。エリオスは油断のならぬコウモリ男じゃからな」


「おのれ……もしそうであったなら八つ裂きにしてくれる!」



突如室内に、レアルの殺気が充満した。

純粋で、明確な殺意だ。

これには武道の心得のないアルフェ王ですら、額にジワリと汗をかく。



「レアル王よ、期待しておるぞ。この前拾った小娘の力も楽しみじゃわい」


「……なぜそれを知っている?」


「我が国の情報収集力を侮ってもらっては困る。帰らずの森から連れてきたのだろう? 確か名前はメイ……メイ……」


「メイファンだ。女の身にも関わらず、なかなかに遣える」


「そうじゃそうじゃ。かなりの剛のものと聞いておるぞ。それで、手は出したのか?」


「何だと!?」



レアルが椅子から立ち上がった。

これも怒りには違いないが、これまでに見せたものとは全く別物であった。

一握の冷静さすら残さぬものであり、これにはアルフェ王も内心驚く。

深い意味のない軽口のつもりだったからだ。



「そう角を立てるでない。些細な冗談ではないか」


「あの小娘は拒んだ、夫に操を立てているからとほざきおったわ」


「そうか、そうか。では力づくか?」


「侮るな! このレアルこそ最も優れた男だと知れば、向こうから寄ってくる。あの小娘を虜にするのも遠い未来の話ではない!」


「わかった、わかった」


「ともかく、これよりエレナリオを攻める。貴様も遅れるなよ」


「任されよ。大船に乗ったつもりでな」



レアルが退室した。

室内にはアルフェ王と、彼に付き従う近侍(きんじ)のみだ。



「まさか龍人王レアルが、女ごときに心酔しようとは……随分と可愛いげのある男になったものよ」



その言葉に返事はない。

アルフェ王は傍の者に発言を許していないからだ。

必要最低限のものを除いては。



「たわけが。共倒れになって滅ぶが良い」



重く、冷たい声が漏れる。

その言葉についても、やはり誰も応じる事はなかった。


面白いなと思ったら、評価点感想にブクマお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。