エピローグ2
ふんぬ
「月夜は結構適当だからああいう所に何か隠してそう……」
幼なじみの勘だ。ずっと一緒に過ごしてきたからこそ、月夜のすることはなんとなく分かってしまう。
月夜が隠すようなものは何だろう、と私は考えてみる。実はあるアイドルのメンバーの1人がとてつもなく好きで、グッズをいっぱい集めてる……とか? 他にも色々と悩んでみたが、全くと言っていいほど何も浮かばなかった。
思えば、私は月夜と何年もの付き合いをしているけど、彼の核心を知らないのかもしれない。それならば、月夜をもっと知る必要がある。
「お邪魔します……」
静かに、ゆっくり襖を横にずらす。息を呑んで恐る恐る見たその中はーー
「ーー本?」
視界が本で埋まっていた。木でできた格子状の棚にもう入らないというぐらいにびっしりと敷き詰められたそれは、まるで小さな本屋かと思ってしまうほどだった。
「部屋はあんなに汚いのに、ここだけ凄く綺麗……」
どうやらその本は文庫分けされていて、その中でまたジャンル別になっているようだ。
なんとなく目に入った真ん中の本を1冊取り出してみる。タイトルは『あの時の君に会うまで、僕は今日も同じ日を過ごす』。今まで見てきた本の中でもかなり長いタイトルだ。表紙には黒髪の真面目そうな顔つきをした少女と、なんだか暗い顔をした少年の2人が描かれていた。
「どんな話なんだろう……」
少年の沈んだ顔を疑問に思い、一ページ捲ってみた。すると私は吸い込まれるようにその物語に引き込まれ、夢中で一文一文に目を通した。
「ーーふぅ。読み終わっちゃった」
小説なんて大体数十ページで飽きてしまっていたのに、この作品は一気に読了してしまった。何故なら、圧倒的に読みやすかったから。
セリフや現代的な言葉遣いが多く、主人公とは年齢が近いためか共感しやすかった。それに地の文や情景描写は想像しやすくて、まるで自分がその世界にいるかのような気分になれた。この後の主人公の行動も気になる。すぐに続きが読みたくなった。
「あっ」
2巻がある。よし、このまま2巻もーー
「って、私は何をしに来たんだ」
物語に夢中になっていた頭がようやく離れ、我に返る。私は月夜の秘密を暴きに来たのだ。読書に勤しんでる場合じゃない。
「2巻は借りとこう……」
借りても大丈夫だよね、多分。
今度は他の本も見てみる。異世界に転生して魔王を倒す物語や、妹に恋をしてしまった兄が妹に好かれようと努力する物語、突然時を止める能力が使えるようになった主人公が黒幕を倒す物語など、十人十色の小説があった。でも全部に言える共通点があった。それはイラストが少し過激なこと。まあ、別にいいか。
本はどれも透明なカバーがしてあり、折れ1つ無かった。月夜がどれだけ大切に扱っていたのかが分かる。
「月夜は本が好きだったんだ……」
のわあああああ




