29話 苦いみかんに甘いパンケーキ
……久しぶりの投稿です。更新遅すぎて叩かれそうだ…
「アンタ凄いわね。あの『美栞蜜柑』先生と知り合いなんて。羨ましい限りだわ」
「あ、そうか。普通はそう呼ばれてんのか」
ーー『美栞蜜柑』。普通考えて本名ではないと分かるが、なかなかに珍しい名前だ。言いづらい事この上ない。それに、この名前の由来もまあ、あいつらしいというか、ぴったりというか……。
「本名知ってるの?」
ポロッと出た言葉を見逃さず、柊が追求する。
「知ってるぞ」
「教えて!」
「やだ」
「なんでよ!」
教えてくれると思っていたのか、柊は驚きながらも怒声を浴びせた。
「本人に許可を得てないから」
「別にいいじゃない、バカ!」
「個人情報は無闇に晒さない方がいいんだよ。作家なら尚更」
「じゃあ今度会わせて!」
柊がこれならと放った言葉に、俺は苦虫を噛み潰したような顔をついしてしまった。
「…………それは勘弁してくれ」
「何か理由でもあるの?」
俺の反応に疑問を感じ、柊が問う。
「アイツには会わない方が良いぞ。イメージをぶち壊されたく無かったら」
「どういうこと?」
……ここまで言っても分からねえか。察してくれよ。
「とにかくアイツには会えないってことだ。諦めろ」
「……」
柊は決まりが悪そうに頬をぷう、と膨らませた。悪いな柊。こっちにはちょっとした理由があるんだ。許してくれ。
「ま、アイツは色々とぶっ飛んでるからなぁ……だから作家になれたんだろうが」
「あそこまでの変わり者は初めて見ましたよ。もう慣れて来ましたけど」
「……作家は変わってるから、馴染めないことが多いと言われてるしな」
星野さんがタバコの煙を吐き出す。その顔はどこか寂しそうにも見える。
「悪いヤツじゃ無いんですけどね……俺は別にいいと思います。アイツの作品が凄いことは事実だし」
柊は首を傾げている。玲紋のことは知らないし、当然の反応だ。
「今は、な。大人になったら多分、どこかでつまずくぞ。アイツはそれも承知でいるらしいが」
「本人も認めてるんならいいんじゃないっすか? 強制させたところで、上手くいく保証なんて無いんですから」
「……それもそうだな」
「お待たせしました」
「あ、来た来た!」
重苦しい空気を壊すように、柊が「わぁ〜!」と歓喜の声を上げた。
「……そういえば頼んでたな」
色々な話があってすっかり忘れていた。確かに頼んでたな、パンケーキ。
店員が丁寧に、俺の席と柊の席へパンケーキを置く。積み上げられたパンケーキの上には苺にバナナ、ブルーベリーがふんだんに添えてある。皿の端には生クリームと赤色のソースが置いてあった。
「これはうまそうだなぁ」
星野さんも「お〜」と声を上げる。ここのパンケーキは美味しいと言われているだけあって、なかなかのクオリティだ。
柊がソースをかけ、生クリームをいっぱいに付けて、苺と一緒に切ったパンケーキ口に入れる。すると、声にならない叫びを上げ、とろけるような顔をした。
「はわぁ〜……美味しすぎてほっぺたが落ちそう……」
ほんと美味そうに食うなコイツ。急に食いたくなってきた。
「そんなに美味いのか……」
「食べればどれだけの凄さか分かるわよ」
柊の誘惑するような言葉に耐えられず、素早くパンケーキを切り、俺も口に入れる。
「……これは…………」
まずパンケーキのしっとりとした食感に、ほんのりとしたバターの甘さが広がる。その直後に、苺とソースの甘さがぶつかり合い、絶妙なバランスを取る。そしてこれでもかというくらいに生クリームが最後にとどめを刺す。
「確かに美味い……こんなに美味いパンケーキは初めてかもしれない」
なんで俺は今までこんなに美味いものがあったなのに知らなかったんだ! 悔しい!
こんなダメな人ですいません!お詫びに
おパンツ!おパンツ!おパンツ!おパンツ!おパンツ!




