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11話 隠




「あっ、ち、違うの。これは……」


 彼女がうろたえ、さっと、携帯を素早くポケットに入れようとする。だが、手元が滑って、それは床に落ち、ガタッ!と音を立てた。


「何でそんなに慌ててるんだよ。どうかしたか?」


 座った状態から手を伸ばし、携帯を拾う。見た所、目立った傷は付いていないようだ。良かった。


「ほらよ」


 彼女の前に携帯を差し出すと、何故か彼女はきょとんと、気抜けした顔になり、無言で受け取った。


「ひ……いの……」


 今度は俯き、ボソボソと小さな声で喋る。何か俺に言ってるようだが、全く聞こえない。


「え?」


「だから…………引かないのかって! 私が携帯の画像こんなのにして引かないのかって聞いてんのよ!!」


 怒りと恥ずかしさのハーフ&ハーフの口調で叫ぶ彼女。表情は、頬を赤くして、泣きそうな顔をしていた。


 なるほど。こんな二次元の女の子をホーム画像にして、あ、コイツオタクだ。って、引かれると思ってるのか。まぁ、そりゃ恥ずかしいよな。

 俺だって、眞城也にオタクだって女にバラされ、軽蔑の目で見られたあの時は今でも……いかん。昔の事を思い出すのは辞めよう。余計悲しくなるだけだ。


「引くわけねえだろ。個人で好きな物は違うし、俺はそんな事だけで引くほどチマチマした奴じゃ無いからな。」


 俺、今すげぇかっこいいこと言った! ラノベの主人公並にイケメンだぞこれは! これで俺の印象はめっちゃ良くーー


「……あっそ」


 えぇえええ、そっけな! もっと良い反応してくれると思ったのに……


「はい。んなわけで、俺は引いたりしない」


 きっぱり言うと、少し黙り込み、彼女は口を開いた。


「……題名知ってるって事は、アンタももしかしてラノベとか好きなの?」


「ああ、大好きだ。俺には妹がいるが、その次にラノベが大好きだぞ俺は! もはやラノベに恋してるまである! この世界にもしラノベが無くなったら俺は死ねる覚悟がある!」


 堂々と熱血に言い終わった後で、我に帰った。


「ハッ、すまん。つい……」


「妹の次にラノベが好きって……アンタって変わってるわね」


 あ、完全に引かれたわ。死にたい。


「そうだな」


 自分でも思った。改めて、どんだけラノベ好きなんだよ俺。ラノベ依存症だな。


「私はそこまでじゃないけどラノベは大好きよ。趣味の中では1番好きかも」


「じゃあ俺の方がラノベが好きだな」


「そうね。アンタは見た目からオタクっぽいし、それでいいんじゃない」


「……そっすか」


 別に見た目からオタクっぽいですよ! 何回も言われてるし、別に全然気にしてないから!




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