発生源
「トドメだ……ッ、『狼牙連襲』!」
「グギャッ!?」
二刀の連斬をまともに受けた大猿の妖魔が瘴気を放って消滅する。
集落で聞いた話に従い、首都ハザルクスのあった東へ向かって早一日が過ぎようとしていた。
妖魔の群れと出くわすのはこれで四回目。
確かに移動するにつれ手強くなっていき、より濃くなって漂う瘴気と合わせてもう魔法で殲滅できる相手ではなくなっている。
クレスの索敵の精度もだいぶ悪くなってきた。
「……ふむ?」
声を上げたのはクレイン。
魔法と相性の悪いこの環境で、霊魂を使い周囲の探索をしていた。
「どうしたんですか?」
「なんだろうな……巨大クラゲみたいなのが大量に地面から湧いてるんだ」
「クラゲ、ですか?」
「色からして瘴気絡みだな。街の跡を埋め尽くすレベルで発生してる」
「間違いなく何かあるだろ……。じゃあアレか? 他の妖魔が巡回してたりするのか?」
「いや、そこから離れていく妖魔こそいても、積極的に近づくような妖魔はいないな。あ……」
「ど~したんれすかぁ?」
「クラゲというか……繭だな。中から妖魔が出てきた」
「それって……不味いんじゃ」
黙って話を聞いていたティルナが口を開いた。
「聞いた話だと、妖魔がだんだん強くなってるって事は……」
「発生する妖魔がどんどん強くなってるってか」
言葉を継いだクレスに頷くティルナ。
「あからさまにボス戦の匂いれすね~」
「一応、本部の方に報告をしておこう」
クレインが通信を保護するため霊魂で結界を張ったのを合図に、一行は簡易な休息を取った。
「ボスが居座りそうな場所に心当たりはないれすか~?」
「…………いえ。確実にここだという場所は、ありませんね」
逡巡するような間を置いて答えたリアラ。
背中に回した手が、ぎゅっと握りしめられた。




