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レガリア英雄記  作者: 27サグマル
邂逅~「蒼神」再起~
83/213

潜界蛇戦、決着

「マリス……リアラ……ッ、無事か!?」

 無防備に駆け寄ろうとするクレスを、位置取りを変えたナベリウスがさりげなく阻む。

「あー、まあよりによって識別できる能力持ちが囚われてた側なんだから疑うのも無理ないかぁ……」

「え、ちょっと――?」

 ナベリウスの疑惑を察し、小脇にリアラを抱えたマリスは一度クレスたちと距離を取る。

「さっきの結界を編んでたのはリアラ。彼女の魔力量は凄いね、おかげでかなり楽ができた」

「信じない訳じゃないんれすが、今は状況が状況れすから……」


 ナベリウスが示す先では、氷竜の拘束を振り払った大蛇が再び動き出していた。

 未だ墨色のガスが漏れているものの、あれ程の傷さえ塞がり始めている。

「まあそうだよね。じゃあ、後はボクが引き受けるよ」

 消耗しきったクレスとティルナの様子を見て、マリスはそう告げた。

 改めて大蛇の巨体を見上げ、その横顔に一筋の冷や汗が伝う。

「さて、どうしたものかな……」

 そう呟いた直後のこと。


「――ぐおらぁッ!」


 鎌首をもたげていた大蛇の身体が、不意に大きく仰け反った。

「……ぅあ」

 ナベリウスの上でティルナと共に休んでいたクレスが、小さく呻いた。


「なんだなんだ、デカいのは図体だけかぁ!?」

「ガルルァッ!」

 騒がしく大剣を振るっているのは、筋骨隆々という言葉を体現したかのような大男。

 同時に、目にも止まらぬ速度で大蛇の総身に斬線を刻んでいるのは、獣の毛皮をそのまま衣服に加工して身に纏った少年。

「ウルド、ラズハ! 傷口から出てくる墨色のガスには気をつけて!」

 なぜ彼らが此処にいるのかはさておき、マリスは警告する。

 返事こそ無いが、きちんと彼らには聞こえていることを理解していた。


 突然現れた二人。

 大男は「剛騎士」ウルド・ウルガム。

 少年は「猛騎士」ラズハ・レムクリフ。

 そして――

「く……クレスさん、ですか!?」

 こちらにやって来たと思いきや、クレスに気付いた瞬間全力で駆け出した女騎士は「誓騎士」ルトルウォーナ・レカガデリ。

「あ~、人違いじゃねえか? うん、きっとそうだ」

 静かに臨戦態勢を取ったナベリウスだが、そのクレスの反応に構えを解く。

 帯でぐるぐる巻きにして差し出すおまけつきで。

「ちょっ……ナベリウス!? 後生の頼みだ、これを解けっ……!」

「――ク・レ・ス・さん?」

 一音ごとに区切られた呼びかけに、クレスの動きがピタリと止まる。

「話は後で聞きます。ナベリウス、さん? それまで彼を捕まえといてくださいね?」

「りょーかいれす~」

 そんなやり取りを交わした後、ルトルウォーナは決着が近い大蛇の元へ向かっていった。


 両の眼を潰され、全身の傷から墨色のガスを垂れ流し、それでもまだ大蛇は自由騎士三人を相手に猛っていた。

「良いねぇ、そう来ねぇとなあ! ――だが、これで終いだッ」

 大蛇の眉間に幾度もラズハが重ねた斬線の上に、マリスの矢が着弾して爆発する。

 巨体からは想像もつかない身軽さで飛び上がったウルドの斬撃に、ルトルウォーナも斧槍ハルバードの一撃を重ねた。


 この二人は相手がどれだけ巨大だろうと、その総身にダメージを行き渡らせる技術を持っている。

 ラズハとマリスが弱らせた眉間への一撃は、大蛇へのトドメに十分だった。


 全員が素早く大蛇から距離を取った直後、大蛇はその巨体を爆発するように墨色のガスに変えて消滅した。

 すかさずルトルウォーナが魔法で薙ぎ払い、周囲のガスを浄化する。

「……驚きましたね。ここまで魔力を持っていかれるとは」

 思わずといった調子で呟いた彼女は、他の騎士たちと共にクレスの元へ向かった。

 ちなみにナベはマリスの戦いを見て疑惑を解いてます。。

 元々そんなに本気で疑ってたわけでもないので……


 というか……本当はこの蛇、中の異空間に潜り込んで核を探して破壊するのが本来の倒し方のはずだったんですよ……

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