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回想、しえるコラボと案件後

 ◇


 そのあとはうららさんともコラボすることになって……?

 あれ、どうなったんだっけ……なんか特にこれといった事件は起きなかった気がするな?

 普通に雑談して終わった気がする……平和だなぁ。

 ……その時のうららさんを見て『もっと頑張らなきゃ』って思ったのを覚えてる。

 あぁいや、入院前みたいな無茶をしようって話じゃなくて……。

 漠然とした『このままでいいのか?』みたいな焦りは確かにあったんだ。


 ◇


 それで……って言うと聞こえが悪いけど、ちょうどいいタイミングでしえるが『コラボしたい』と言ってきたんだ。

 ……初手でいきなり挨拶忘れてもぐもぐしてるのは流石に笑ったな。

 ……うっ、パワハラ警察を思い出して胃が……!

 違うんですそんなつもりじゃなかったんです……!


「……もぐ」

「今なんで食べた……?」

「もぐ、もぐもぐ……もぐ?」

「食べながら喋るんじゃありません」

 

 ……しえるがおやつを食べ始めて空気が変わって。

 ……いや、あれはあれでどうかと思うけど。


 ——そんな『いつも通り』が……俺を支えていてくれるって、気付いたから。

 ……俺はこれからも、『いつも通り』の毎日を、みんなと一緒に生きていきたいんだ——。


 ◇


 ……その数日後、いきなり『いつも通り』とは違うことが起きたんだったな。

 超有名化粧品ブランド『コーセイ堂』からの案件である。


「今でもなんで俺? って思うことはあるけど……」


 ……俺だからできることがきっとあったんだと、今なら思えるから。


 ◇


 そこで出会ったコーセイ堂の『堂田社長』は……人として尊敬に値する、そんな人物だった。

 初対面の印象は『優雅なクマ』だったが……その考えや理念を知って、凄い人だと思って。

 ……その理念を口だけじゃなく、本当に形にしている人だと知ったから。

 本当に凄い人ってのは、あぁいう人を言うんだろうなって、今でも思ってる。


 ◇


『需要がないなら作ればいい』『隣の芝を青く見せるんじゃなく、全ての芝を青くする』。

 それは……口で言うだけなら簡単だと思う。

 案件を受けた当初、俺は化粧品に興味なんて一切なかった。

 せいぜい毎日風呂で洗顔するくらいで、乳液だとか化粧水なんて気にしたこともなかった。

 そんな俺でも、案件で使った化粧品『ビューティーメンズ』を『なくなったら買い足そう』と思わされた。

 有言実行……堂田社長は俺に、身を持ってその意味を教えてくれたんだ——。


 ◆


 ちなみに、『ビューティーメンズ』を使い始めたマホロの肌は……それはもう、見るからに変わっていた。

 マホロは気付いていないが……買い物などに出かけた際、他人から見られる事が多くなっている。

 現に事務所のおばちゃんなんかは良く『マホロくん肌綺麗ねー』なんて言っているが、マホロは本気にしていないのである。

 そして、たまたま事務所に来ていたマホロを見てしまったとあるガチ勢さんは——。


(マホロさん肌綺麗になってる!)

(えーすごい……綺麗……)

(それにしたって変わり過ぎでは……?)

(あれがビューティーメンズの効果、なのかな……?)

(はっ、でもあんなにイケメンになっちゃったら他の人がほっとかないのでは?)

(……うぅん、そうだとしても私が口を出すことじゃないよね)

(私はただの親友枠で、幼馴染なだけだし……)


「…………………………むー」


 脳内会議と現実が大忙しなのであった……。

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