(8)
熱い……体が熱い。
なのに……寒い……。
どうなってる?
「おお、気が付いたか? 熱も引いたようだな。水持って来たぞ」
声の主は……東南アジア系と日本人を1:1でブレンドして、日焼けさせたような感じの顔である以外は……いかにもなナーロッパの農民の中年男だった。
そう言って、その男は……。
床と呼んでいいんだろうか?
屋内らしいけど……下に敷き詰められてるのは……藁。
そこに、水の入った木の皿を置いてくれた。
「あ……ありが……あれ?」
水の入った皿を取ろうとして……何かが変だと気付いた。
ビシィっ‼
「何やっとる? お前に人間みてえな真似ばする資格が有ると思っとっとか?」
違和感の正体に気付く前に鞭が飛んで来た。
「ひ……やめ……やめて……痛いの嫌ですぅ……」
意識を失なう直前に成り上がれるとか夢を見たら……意識を取り戻したら、家畜奴隷に逆戻……ああああああッ‼ ここ、家畜小屋かよッ‼
「家畜がやるよ〜に、四つん這いになって飲み食いせい。お前には、それがお似合いじゃ……いや、待て……お前の場合、三つん這いかの?」
「え……?」
そう言われて……改めて、自分の体を確認……無い……無い……付け根から無い……小学校高学年の頃に色気付いてから……何度も何度も何度も何度も……俺の@#$をしごいてきたモノが……。
お……おい……。
「どこ行ったぁ〜ッ⁉ 俺の右手ぇ〜ッ⁉」
「ウチん村ではな……刃物で誰かば攻撃すっ時、わざと、その刃物に泥ば塗るんじゃ」
「えっ? え……えっと……何の為に? それと俺の腕と何の関係が……?」
「決っとるじゃなかか……。ウチん村に喧嘩ば売った阿呆が生き残ったとしても……そいつは……傷1つでも負っとりゃ……破傷風になる」
おいっ⁉
どういう事だっ⁉
何で、ナーロッパが、そんな所だけリアルなんだっ⁉
「お前も右ん腕に負った傷で破傷風になって死にかけとったが……使い道が有ったんでな……。生かしとく事にした。ただ、命ば助くっとに……腕ば切り落とすしか無かったけんどな……」
「そ……そんな……」
「おい、早よ水ば飲め。お前には、まだ役目が有る」
ロクな役目じゃないのは判ってるけど……。
でも……。
俺は……現実主義者だ……。生きる為なら、豚にだって堕ちてやる。
クソ……俺は、これでも、前世ではSNSのインフルエンサーだったんだぞ……。せめて……豚の中の№1には成ってみせる……。




