12、愛妾とは何か
愛妾とは何か。
我が国の定義によると、本妻以外の愛する女性、ということになり。もっと詳しく述べるのならば、お気に入りの愛人、である。親密な関係ではあるが、法的な関係性はない。まあ、金や権力のある者が、家庭の外の囲う女性のことですねはい。
カーティア様のような側室とは違う。側室は一夫多妻制の婚姻制度における、正妻以外の正式な妻ですものね。
え、えーと?陛下はわたしに……その愛人に、なれ、と?
そういうのってふつう、ナイスバディの色気たっぷりで、一見嫋やかに見えるケド実は強かな美人がなるものではないの?
混乱。
脳の活動が停止しております。判断力も低下です。
しばしお待ちください……と、言いたいところだけど、陛下は待ってはくれなかった。呆けているわたしに、
「正式な婚約者にすると、おまえが王妃になってしまうから。ラウラ、お前、王妃になりたいか?権力持って、国政を動かしたいか?後継ぎになる王太子とか、産んでみたいと思うか?」
と、畳みかけてきたのだっ!!
ぶんぶんぶんぶんと、わたしは光の速度で首を横に振る。
む、無理無理無理ムリムリムリっ!わたしが王妃なんて務まるはずはないっ!
「ああ、知ってる。だから、愛妾にする。まあ、正式に結婚を結ぶと王位継承権とか面倒だろう?既に王太子はジーノと決まっているし。それ、覆すほどの権力に対する執着心などラウラにはないだろう?」
ぶんぶんぶんぶんと、今度は首を縦に振った。
「ああ、ただな、子を成すようなことは……しばらくは控えたいとは思うが、まあ、そこはそれ、若い男と女のことだ。控えようと思ったところでも無理だろう。寝台上で暴走した挙句、結果として子も出来るかもしれない。だから、俺とお前の子には王位継承権を持たせないということでいいな?」
い、いやいやいやいやお待ちくださいフラヴィオ陛下っ!こ、子が出来るとかなんなんですかあああああああっ!
わたしは「子が出来るための」行為のあれこれを、思わず空想……じゃなかった妄想してしまって。もうもうもうもう顔から何から真っ赤になって、もう何が何だかわからなかった。首を縦に振っていいのか横に振っていいのかもわからないいいいいいいいっ!
「ああ、そうそう。俺は王妃を娶るつもりはなく、一生結婚しないと正式に誓っているから。だから、愛妾と言っても、俺の妻は実質お前だけになる。その辺は安心しておけ。後から王妃なんて存在は出て来やしないから。名称はともあれ、俺が愛する女はお前だけだ」
真っすぐな視線にざわざわと胸の奥が、騒ぐ。
助けを求めてお父様やお兄様、ジュリアちゃんのほうを向いてもみんな口をぽかんと開けたまま。
エドアルド様ですら、唖然としたまま固まっている。
誰も助けてくれないこの状況。
無理矢理に首を振って、無理矢理に言葉を絞り出す。
「安心とか不安とかそうじゃなくてですね!そもそもの話として、わ、わわわわわたしが何故に!愛妾などにっ!!それにああああああ愛いいいいいいいいっ!何故、どうしてそんな話になるのですかああああああ!」
ほぼほぼ泣きそうになって、わたしは叫んだ。そうしたら……。
「惚れているからだが?」
フラヴィオ陛下から簡潔なお答えが。
だけど意味が分からない。
「は、い……?」
え、っと。今何と?
「お前ほどきれいな女はいない。だから、今度はずっと俺の側に居ろ。これは命令だ、いいな?」
綺麗って何がっ!
あの、前世の時から思っておりましたが、フラヴィオ様、実はお目がお悪いのですか!?
ラヴィーニアはメスゴリラ、今のわたしはちっさいちょこちょこしたリスが良いところですよっ!
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