3-30 怒り
昨日、私の拙作が日間ランキング4位獲得と日計pv500を達成することが出来ました!
読者の皆様に改めてここでお礼申し上げますm(__)m
私のツィッターのアイコン・ヘッダー画像を提供して下さった月崎ミントさんからいただきましたファンアートを1-13 屈服に移しました(*^-^*)!
「母さん、話があるんだ」
翌朝。父さんを仕事に送り出した後のリビング。俺は、朝の情報番組をBGMに物憂げな表情を浮かべている母さんと、仁王立ちをするようにテーブルを挟んで向かい合い、そう言った。俺の切り出しに、母はたった今俺の存在に気づいたかのように顔を向け、俺の悲痛な表情に作り笑顔で応えた。
「どうしたの? 凛太郎。座りなさい」
「こんなこといきなり言うと変に思われるかもしれないけど、俺、この家のみんなを愛してる。母さんにああいう態度とってるけど、衣知佳だってそうだよ」
「私だって、みんなを愛してるわ。衣知佳もね」
「……井岡典史、知ってるでしょ」
「そりゃね、私たちの友達だもの」
そう言って満面に笑みを浮かべる母さんの表情が、無理にこわばっているのを俺は見逃さなかった。
「俺、その人が母さんに会ってるの知ってるんだ。……どんな人なのかも」
俺はそこで始めて椅子をひいて座り、卓の上に手を組んでおいた。
母さんは俺の眼差しからゆっくりと視線を下ろし、テーブルの上にそれはくぎ付けになる。どんな話し方なら、この人は納得してくれるだろう。
「人間だから色々あるのかもしれないけど、こんな関係をつづけるのは父さんがかわいそうじゃないかな」
「凛太郎、誤解よ。典史くんとは続いてない。あの人は可哀想な人なの。凛太郎、自分の思い込みだけで一方的に話を進めない方がいいわ」
俺は拳を作った。が、激情を何とかこらえ、相手を刺激させない程度に軽くテーブルを叩く。
「可哀想? だからなんだよ。俺は嘉手島家の一員だ。意見する権利ぐらいある」
「お父さんには悪かったと思ってるの。ずっと謝りたいと思ってる……でも、あの人はそうさせてくれない」
「父さんが悪いっていうのか!」
俺は拳を力いっぱいテーブルにたたきつけた。
「謝りたい? 続いてない? ならなんで井岡とこっそり会ってるんだよ。それに、お前ら二人には俺を蚊帳の外に置く権利なんてないはずだぞ! 俺という存在がいる限り!」
弾かれたように顔を上げ、おびえた表情で俺を見つめる母さんをねめつけ、そのまままくしたてる。
「俺、あいつの顔を見たんだよ。俺の目、あいつとそっくりだった。……俺はあいつの子供なんだろ。井岡典史とあんたの!」
時が止まったかのように感じられた。それなのに俺は一切のものに置き去りにされていくような気がしてたまらなかった。
母さんは両手で顔を覆い、その隙間からかすれた悲鳴のような声を上げる。
「ごめんなさい……こんな事になるなんて思わなかったの。でも信じて凛太郎。私は正太郎さんが憎かったわけじゃないし、貴方が正太郎さんの子供だろうと、典史君の子供だろうと、変わらず貴方を愛してるから」
「図々しい事をいうな! お前らの都合で勝手に産んで、生まれたやつの気持ちも知らないで……。そんな奴らに俺の気持ちなんて、父さんの気持ちなんて分かってたまるか!」
俺はたまらず、背を向けて走り出す。追いすがる母さんの嗚咽を引きちぎるように、そのまま家を飛び出した。
頭の中で、記憶のピースが最悪のドラマを紡いでいく。




