第士話 「恐怖の個人面談 松崎薫子の場合」
「あぁぁぁぁん、くぅーん」
……どうしてこうなった。
「どう? お姉さんのか・ら・だ♡ 綺麗でしょ?」
なんだ? この糞ビッチ。脳に蛆湧いてるんじゃね?
「一体なにをしてるんですか? おねえさん」
「だぁってぇ♡ 神様の前でする機会なんて、もう二度と無いかもしれないから、堪能しないとね♡ あ、ぁぁ、ぁぁぁぁ、い、ぃくぅぅぅぅぅっ!!」
びくん、びくん、と痙攣しながら、すっごくいい笑顔で絶頂を迎えた松永薫子嬢は、おっぱいを丸出し状態のまま僕の方に来ると、いきなり抱きしめてきた。
「むぐぅー! むぐぐぅぅぅぅっ!」
僕は縫いぐるみかぁーっ!
「ああああん♡ きもちいいいいっ! もっとぉーっ!」
ダッチハズバンドでした。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「そろそろ、話だけでも聞いてもらえませんか? あなたのフィアンセの話なんですが……」
「なあに? つまらない話ならお断りよ!」
「彼の思考というか、信念みたいなもの、ですね。ご存じでしたらぜひ教えて欲しいのですが」
「あいつの信念? そんな立派な物は無いわよ。要は、自分の考えてる通りの世界ってのが、あいつの頭の中にはあって、そこからはみ出た物は、存在しないと、本気で信じているような奴よ」
「えーと、つまりそれって?」
典型的なサイコパスじゃねーか。そんな奴が普通の人に混じって生活してんだから、それも、金と権力を持って。
「自分の想像の範囲からはみ出ている人間が許せない、小さな男よ。あいつが殺した最初の相手は、細くて弱弱しいもやしみたいな子だったわ。でも、優しくて動物好きだから女の子には結構もててたわね。でも、あいつの世界では、そういうもやしみたいな人は、狩り殺される立場ってだけで誰かから優しく接してもらうだけでも、許されなかったのよ。自分以外の人間が彼に味方することも、ね。彼の飼い犬を取り上げて、その子を襲わせようとしたらしいけど、その犬が言う事を聞かなかったので、まず、犬を殺して今度は、その犬の生肉をその子に無理やり食べさせたのよ。で、彼は大事にしていた犬を食べてしまった嫌悪感と罪悪感で自殺してしまった」
「……成程」
「次に殺した相手は、彼を慕ってた子分の一人よ。最初は、清水さん、清水さん、って煩い位付きまとっていたの。それが、いつか大樹さん、になって、だんだん慣れてきて、最期は大樹!って呼び捨てになっていったの。それを我慢するような奴じゃないじゃない。最期は、馴れ馴れしくした罰として、自分の前で切腹させたのよ」
「正気かよ?」
「正気も正気。あいつは、自分にそれだけのことをする資格があると本気で信じていたのよ」
「うーん。根は深いなあ。よく、今日まで犯罪者にならなかったねぇ」
「まあ、あいつの父親は地元の名士だし、税金の支払額もすごいから。警察にも知り合いがいるって話だし、おかげで、うちのソープランドもお目こぼししてもらってるから」
「そんな稼業だったんだ」
「あら、神様のくせにそんなこともしらないんですか?」
「すんまへん。どうも興味の無い相手は後回しにする悪癖がね」
「いやね。はっきり言ってくれるわ。ここんとこ、栗栖くんにも覚えられてないし、自信なくしちゃう」
そう言う姿は、とてもキュートで素敵な女性なんだがな。変態ってだけですべてが台無しなのが痛い。
「ともかく、参考にはなったよ。ありがとう。ところで、君の身の振り方だけど、本当にいいの? 別に君は異世界に行く必要は無いんだけど」
「ここまでいろいろ一緒にしておいて、今更仲間はずれも無いと思うけど? 個人的には、とっても興味もあるしね」
うーん、なんだかトラブルを招き入れたような気もするけど。
「とりあえず、その件は、みんなで考えようか。悪いけれど栗栖くんとの協議が長引いちゃってて、もう少しだけ待っててくれない?」
「じゃあ、その間はこのひろーい空間を楽しむとしましょうか」
……まだヤル気かよ。スキものだねぇ。
この作品は、内容に危険な要素が多数含まれます。
精神的疾患をお持ちの方、心身喪失状態の方、心の弱い方、特に、いじめの経験をお持ちの方にはおすすめいたしません。
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