遭遇?ミルミルと海の精霊石《6》
「ゼン、もうすぐ着くぞ。『サロク・ロクフ』国、『シャイド』の街だ」
後半の船旅は特に何事もなく、迎えた最終日。
昼前に『シャイド』の港に入港し、やっと『サロク・ロクフ』国へたどり着いた。
緩やかな坂の上に建つ、半円状になった街だ。そのすぐ向こうは森になっていて、街道は左右、海に沿って伸びている。
「着いたー!」
「グー」
船はあまり揺れなかったけれど、気分的に陸に足をつけると安心感がある。
ビィだってきっとそう言ってる。
「はいはい。のんびり気分に浸る前にギルドに行くぞー」
リノに頭を小突かれてよろめく。
例の戦利品は大漁すぎて一人では持ち運べないので、先にギルド登録してギルドカードを貰うことにしたのだ。
もちろん戦利品はリノと折半予定だ。
「ギルドカードのこの部分、ここが信頼度を示してる。白、赤、黒、青、緑の順に信頼度が上がっていく。…まぁここらへんはギルド側がわかってればいいから、無理に覚えなくていいぞ」
リノと同じギルドに登録することにしたため、ギルドカードについての説明をリノからしてもらう。
ちなみにギルドへの登録はすぐに済んだ。
港のすぐ近くにあったというのもあるが、申請書などは何もなく、ただギルドカードを貰うだけだったのだ。
受付のお姉さんとドキドキハプニングなどもなく、あっさりと登録は済んだ。
「ウチのギルドは登録してから一年間は見習い期間になる。報酬の何割かはギルドに取られるから注意するように。…ていってもゼンには今回ので大金が入る予定だからな。あんまり気にせず好きな依頼を受けていけばいい」
他わからないことや、依頼の受け方等は明日教えてくれると言う。
「わかった」
ということで戦利品を折半する。
リノはギルド登録祝いだと言って殆どをオレのギルドカードに入れていたが。
「別にギルドじゃなくても買い取ってくれる場所はあるぞ。全部は売らずに小分けにバラ売りしたほうがトラブル防止になる」
なるほど。勉強になる。
お兄さんも治安が悪いって言ってたし。刺激するようなことは、しないほうがいいってことだな。
「じゃあな。明日はギルドで待ってる。あんまり早くなくてもいいからな?
宿を取るなら『菊花亭』がオススメだ。メシが上手いぞー」
明日はギルドで待ち合わせる約束をしてリノは去っていく。
実家がこの街にあるらしい。
オレも船長さんや乗組員のみんなに挨拶してリノに勧められた宿屋に行ってみよう。
どんな食事が出るのかな?
この世界の食べ物は当たり前だけど食べたことないものばかりなのでとても楽しみだ。
念願のギルドにも登録できたし。
食べ歩きツアーとかもやってみたいな〜
あ、その前に換金しないとだな。
宿屋っていくらくらいなんだろ?
「グーゥ」
「お。腹へったか?んじゃ早く換金して宿屋に行くか!」
「グッグ〜」
そんなこんなで『サロク・ロクフ』でのオレとビィの生活が始まった。
よしっ!
明日から仕事がんばろう!