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青き華よ希跡なれ  作者: 溶枸由 佳月
第一章,連星
32/83

強く輝く太陽と深い海

「荷物は全部持ったか?」


「うん、大丈夫。忘れ物無いかちゃんと確認したよ」


「よし、じゃあ行くか。

予定では今日帰るつもりだから」


「分かった」


家から出る前、ふと振り返った。

窓から日が差し込み、照らされた室内。

まだ早朝なのにも関わらず昼間のように、それ以上に明るく見える。

壁も床も木でできた温かく、懐かしくも感じる家だった。


「……本当に不思議な感覚だ」


* * *


昨日チラッと見かけた、カラフルな店が立ち並ぶ方の道を真っ直ぐ歩く。左側は線路のようだ。


「今日はどこを調査するの?

ずっとこの道を真っ直ぐ歩いてるだけだけど」


「このままでいいんだよ。

道を逸れても何もねぇし、行き止まりが多いからな」


「そっか」


特に報告すべき点の無い、同じような道が続いているだけだった。

今日はずっと昼のように明るいままで、空が雲で覆われている。


途中公園で昼ごはんを食べた。

それからまた、ひたすら歩く。


「……ねぇ、いつまで歩くの?これ」


「あと少しといえばあと少しだ。

ここは地形の関係上、真っ直ぐな道が続くから余計に長く感じるのかもな」


「それにしても長すぎるよ!

だって朝からずーーっと歩いてるんだよ?疲れてきたよ……」


「そうだな」


「……もし1人だったら、何を考えてこの道を歩いてた?」


「もし1人だったら、か。

そうだな、特に何も思うことなく歩いてたと思うぞ」


「暇じゃない?」


「暇も何も仕事だからな。

それにこういう道をひたすら歩くのには慣れてるし、嫌いじゃない」


「なら、アオトには向いてたんだ。体力も私より全然あると思うし。

私は足が痛くて……もう」


「……背負(せお)ってやろうか?」


「え?

い、いいよ……そんな、悪いし……」


「俺なら平気だ。

これでも体力には自信があるからな」


「で、でも………」


「遠慮するなって」


「……じゃ、じゃあ……お言葉に甘えて」


俺はその場にしゃがみ込み、ノエルが背中に乗ったのを確認すると立ち上がり、歩き始めた。


「な、なんか……恥ずかしい、ね」


「ん、そうか?

……ま、そうかもな」


それからどのくらい歩いたのか。

感覚的には30分か1時間ぐらい。実際はもっと短いか、長いのかも分からない。

空は少しだけ晴れ、日が沈みかけか出てきかけのオレンジ色に染まっていた。


そして、この島の端の高台にやってきた。


「うわぁ〜綺麗!」


目の前に広がる景色はどこまでも続く空と海。

特に海は太陽に照らされてキラキラと眩しく輝いており、綺麗だった。

風が吹き、ノエルが笑って景色を見ている。



「───っ」


俺は『その時』、強い後悔と深い絶望を感じた。



──ノエルの首元に刻まれた数字──



これが意味するのは『───』しかない。

そして同時に思い出したのだ。昔、そいつと遭遇した事──昨日ノエルの中に居た奴の正体を。


……やはりここに連れてくるべきではなかったのだ。

こんな、呪いの島なんかに。

あの嫌な予感は気の所為なんかじゃなかった。

本当に、とてつもなく後悔することが起きてしまった。

恐らく、この島に連れてきてしまった時点で、この場所に着いた時点での確定事項だ。

もう、戻れない。

刻まれてしまった事に変わりはないのだから。

守ると言いながら、連れてきてしまったばかりに……こんな………


「私、ここに来て良かった。

この景色をアオトと見ることができて」


「……あぁ、そうだな」


この事実は隠さなければならない。

俺は、ノエルの言葉に笑って応えた。


「──誰だ!?」


振り返るがそこには誰も居なかった。

確かに気配がしたのだ。

昨日ノエルの中に居た奴の、───の気配が。


「どうしたの!?

まさか……」


「……いや、俺の気の所為だったらしい。

昨日のことで、気が立ってるだけだ」


「そう?

……なら、いいんだけど」


ノエルの顔を見ると、胸が痛くて苦しくて。

激しい後悔と深い絶望に飲まれそうで。

これは、俺の責任だ。


俺が、なんとかしないと──

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