定められた道
──小屋から出てすぐ後のこと
「アオトくんに怪しいとこなんて一つも無かったよ?」
境界を越えた、周りには石ころか岩しかない広い場所。
大きな岩から姿を現したのは月──雛菊のリーダーだ。
「へぇ、そうでしたか」
「キミが怪しいとこがあったら報告してって言った時は何かあるって思ってたけど、無かったよ?
不調の原因は風邪だったみたいだし」
「隠さず正直に言いましょうよ。ここは」
「何も隠してないけど?」
「あくまでもアオトを庇う気、ですか」
「庇ってなんて無いよ。
そういう君こそ、遠回しにこんな事頼んで。
……本当はアオト君の事、心配してるだけな癖に」
「…………まぁ、これ以上言ったってどーせ正直に言ってくれなさそうだし。
そういう事でいいですよ」
「悔しいなぁ。なんだかキミに口で負けたみたいで。
……そんなに気になるんなら直接アオトくんの元へ行けばいいじゃないか」
「それが簡単にできないことを分かった上で言うあなたもあなたですよ。
じゃ、忙しいので僕は先に帰らせてもらいますね」
「そうだね。ここは引いて正解」
リツくんは大きな岩の影に隠れて見えなくなった。次第に気配も遠ざかっていく。
1人残った私は盛大なため息をつき、伸びをした。
アオト君の小屋には確かに『人間』が居た。
上手く隠れていてほんの僅かしか感じられなかったけど、あれは確かに………。
「しっかしアオトくんも手がかかるなぁ……ほんと」
私は『内側』であり『外側』でもあるからこそ世界を回すことまではできない。
できることはキミを手助けすることぐらい。予想・予測を元に助言して、良い方へ向かうように祈ることぐらいだ。
そう、私にできることは多くない。
この先キミが歩む道は想像より遥かに厳しく、言葉では表せないようなものばかりだろう。
キミが本当に彼女のことを想っていて、その道を歩むというのなら。
……いや、認めずとも気づかずともそう想っているのなら。望むも望まないも必ずその道を歩むことになってしまうだろう。
定められ、決められた絶対的な運命の道を。
「それでも私はキミが行く道を応援するよ。
そして、どんな結果になろうとも必ず見届けるさ」




