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ウロノカミタマ -Circulation of vampire-  作者: 次野/うずらの


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1/12

prologue



 その昔、限りある魔力の奪い合いによって争いの絶えない世界に、創造神は〈愛〉を説いた。

 子を成すことで魔力の拡散を図り、長い年月をかけて、魔法が使えない〈ヒト〉へと置き換わる。が、神話の時代が終わってもなお、原動力である寿命に形を変えた魔力は拡散され続けていた。



 愛、とは。

 1人の相手に対して、1度きりの結晶のことを指すのだろうか。


 “子を成せば成すほど短命で生まれてくる”


 そんな理に、人々は抗った。



 ある者は不老不死を求め、またある者はヒトの生き血で若さを保つことを見出し、否定的だった周囲の者も、先立つ家族や己のかわいさ余って、他人に手をかける。

 それは次第に、塗布から経口へ。

 ヒトの道を外れようとも。

 より効果を求めて、〈ヴァンパイア〉にくだる。



「やめろ。これ以上吸うと死ぬぞ」

「はあ!? ちょっと吸っただけだろうが!!」

「かりかりすんなって。せっかくの良血だ、大事に飼おうぜ」



 鉄臭いのは最初だけ。



「ほーら、たくさん食って、早く血ぃ作れよ」



 長寿であればあるほど美味しく感じられ、血液以外の食べ物は無に等しくなる。



「――っ、待てねぇよ!!」


 太古の奪い合いとなんら変わらないのに、創造神は沈黙を貫いたまま。



「どんなしょぼいやつでも、あと数人いねぇと話にならねぇ!!」


 血走るヴァンパイアは白目を剥き、同胞の腕に噛みついた。

 尖った八重歯が肉を刺し、そこから溢れるご馳走を啜れば、さらなる獣に成りがる。


「よせっ……!!」


 自我を失うヴァンパイアの首に亀裂が入った。

 噛まれたほうも、周りの者たちも引きはがそうとするが、ぶちんっと。首が千切れ、頭部を失った身体は地を這った。


 しかし、それでは終わらない。


 小刻みに震える身体。

 蠢く断面。

 そこから溢れる、黒いクレヨンで塗りつぶしたかのような塊が、4本の足を生やして周囲を襲う。


 ヒトはあっという間に喰われてしまった。

 二の舞にならないようヴァンパイアたちも必死に抵抗するが、突然の強襲に大半がやられ、骨も残らず灰になる。


 それが彼らの末路だ。


「くそ、がっ……」


 ヒトとヴァンパイア。

 そして、両者を喰らう〈マモノ〉

 共食いによって生まれてきた者による、三つ巴の争いは混沌を極めていた。



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