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5話 対面

「あいつ何なんだよ……」


誰かが言ったこの一言を皮切りにざわめきが広がる


「いやいやいや、あれで終わり!?」

「そんな…あの宮村が?」

「それよりも寝たぞ!?寝たぞこいつ!」


ざわめきが収まらない中、尾藤隊長がマリに近づいた


「これは、ガス欠だな。そのうち起きるだろ、矢守(やもり)悪いがこいつを部屋まで運んでくれ」


「かしこまり―」そう言って一人の女性隊員がマリを抱えると素早く運んで行った


「ほら、歓迎会は終わりだ。各自戻って」


隊長が手をたたくと皆それぞれの持ち場に戻っていった


尾藤隊長は部屋を出て廊下を歩きだす

最初に普通だった速度は気持ちの高ぶりと共にだんだんと早くなっていく


「その様子じゃ、相当当たりだったみたいだな」


しばらく走ったあと前から黒木副隊長が現れた


「あぁ、久しぶりの大物だねぇ。まず間違いなく今の私より強くなるぞ」


「まじか、そのレベルだったとは俺も思わなかった」


黒木副隊長は大きく目を見開き驚いていた


「あの子は必ずこの部隊の起爆剤になる、皆さらに強くなるぞ」


尾藤隊長は口元を抑えながらも笑いが漏れ出している


「お前のその癖は昔から治らんな、ギフトオタクはいいが程々にしておけ

そのうち皆に嫌われるぞ」


「それはだめだ!」


尾藤がシャキッと体勢を戻した


「それでいい。それとみんなは仕事をする隊長が好きらしい。手伝ってやるから一緒に片づけるぞ」


それを聞くと尾藤は肩を落とした


「うぅ、机仕事は嫌いだぁ。私は身体を動かしたいんだぁ」


黒木はそんな尾藤の肩を組み歩き始めた


「がんばったら今夜あのうまい居酒屋連れてってやるから」


その言葉に尾藤がピクリと反応する


「…しゃけ頼んでもいいか?」


「なんでしゃけ?でも、いいぞ!好きなだけ食べるがいいさ!」


そう言って二人は隊長室に入っていく


部屋に入る一瞬、黒木副隊長(しごとのおに)の顔から笑顔が消える


「だからしゃけ代くらいは働いてもらわないとね…」


扉が、静かに閉まった




目が覚めるとベッドで寝ていた

部屋は薄暗いが、窓から入る月明かりが部屋の中を淡く照らしている


私はベッドから起き上がり部屋の扉を開けた

今度はしっかりドアノブがついていて、鍵はかかっていなかった

廊下を左右見渡すが特別なことはない廊下だ

私はゆっくりと扉を閉めた


「起きたのかい?」


私は何度も聞いたその声で振り返ると窓際に一人の男が座っていた

年齢は、私と同じくらい?

彼の髪は月の色と同じで、月光を受け白く輝いている


「初めまして、だね。こうして君と話すのは」


彼は優しく笑いながら言った


「…あなたは誰なの?その声、あなたが私を助けてくれていたんでしょう?なんで助けてくれるの?」


私は彼を睨みながらそう問いかけた


「まずは自己紹介からだね。俺はルイ。君の質問についてなんだけど…」


彼は少し考えながら答えた


「君を助けたいと思ったから、なんて答えは望んでないんでしょう?」


私はコクンと頷いた


「あー、そうだな、君を助けることが俺の使命だから?

それに、気づいてると思うけど僕は実体を持ってない。

君にしか姿は見えないし、声も聞こえない。君の体に居候している状態だ

だから、君が死ねば俺も消える。だから守る。これじゃだめかい?」


私は少し考えた


「なんで私の中にいるの?」


「今は言えない」


彼は笑顔でそう答えた


「いつから私の中にいるの?」


「それも言えない」


言えないばかりで要領を得ない、そんな彼が私は少し腹立たしかった

そんな私を見た彼は、立ち上がりこちらに歩いてきた


「今は、君に何も言えない。ただ君のためにできることもある。

【黒羽】を追うんでしょ?ミコトを殺した犯人を見つけるんでしょ?

そのために僕は力を貸してあげる。君を強くしてあげる」


そう言って手を差し出してきた

正直頭では怪しいと思っている

しかし、彼と話しているとなぜか心臓がざわついた

自分でもおかしいと思う。

しかし私は彼の手を取った。この感情の正体と彼、ルイを知りたいと思ったから。

ルイの手は触れることができずに、私の手は通り抜けたが彼は笑ってくれた


「ありがとう。早速明日から始めよう。今日はゆっくりお休み」


そういうとルイは霧のように消えてしまって、まるで夢でも見ていたようだった。

その日の月はいつもより透き通っていて、私はルイの声を思い出しながらしばらく空を見上げていた

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