書籍第2巻、発売記念SS「クロト脱走? 追跡開始!」(後編)
まずは名前を呼びかけながら『クロト』に近づいていく。
「クロトー♪ みゃみゃ、みゃあ!」
「クーロト、おいで~♪ チュッチュッチュッチュッチュッチュ……♪」
陽菜は例の猫語(?)で。
美月はオーソドックスに。
それぞれ『クロト』に猫なで声で呼びかけた。
しかし『クロト』は2人の声に反応してこちらを向いたものの、すぐにプイっと視線を逸らして、俺たちから離れていってしまった。
「あ、逃げた」
「え、どうして……?」
「脱走したのがバレて怒られると思ったから……とか?」
「あー、それあるかもー」
「拓海くん、クロトが脱走したからってあんまりきつく叱っちゃだめだよ?」
「もし鍵を閉め忘れてたとしたら、半分は俺の責任みたいなもんだしな。もちろんちゃんとや優しく言い聞かせるよ」
話をしながら、俺たちは逃げた『クロト』の後を追った。
『クロト』は民家の塀の上や生垣の根元を軽快に歩きながら、どんどんと俺んち周辺の住宅街を進んでいく。
「おーい、クロト。そっちは家とは反対方向だぞ」
「クロト~! そろそろ帰ろうよ~? いい子にしてたら、ちゅるるあげるよ?」
「クーロト、こっちにおいで~♪ チュッチュッチュッチュッチュッチュ……♪」
しかし俺たちがどれだけ呼びかけても、『クロト』は時おりチラリと俺たちへ視線を向けるだけで、やはり俺たちの方へとは来はしない。
ついに俺は根負けした。
「埒が明かないな。しゃーない。捕まえに行くか」
「さんせー。もう十分お散歩はしただろうしー」
「この先は大きな道路があるし、危ないよ」
3人の意見がまとまる。
俺は陽菜と目配せしあうと、『クロト』へ向かってなるべく足音を立てないように走り寄った!
そして塀の上にいる『クロト』を捕まえるべく、陽菜と同時に手を伸ばして――、
ミャッ!
『クロト』は俺たちの手をするりとかわすと、塀の上からシュタっと飛び降りて、そのままどこぞの家の庭の奥へと逃げ去ってしまった。
「あー……」
「逃げられちゃった……」
虚空を掴んだ手を下ろしながら、力なくつぶやく俺と陽菜。
と、そこへ美月がやってきて言った。
「多分だけど、あれクロトじゃないと思うよ?」
「え、そうか? クロトに見えたけど」
「アタシもー。そっくりだったよ? あれはクロトでしょ?」
「うーん。かなり似てたけどね? でもクロトと比べて胴が少し長くて、逆に尻尾は少し短かかったでしょ?」
「そ、そうなのか……?」
「そんな細かい違いわかんないしー」
「それに鼻をヒクヒクさせる時にクロトは一緒に耳も動くんだけど、それもなかったし。あと、ジャンプする時にクロトって右足が前に出るんだけど、さっきの子は左足が前だったよね?」
なんてことを、さらりと言ってのける美月に、
「な、なるほど……? 美月がそう言うんなら、そうなの……かな? 俺はちょっとわかんなかったんだけど……」
よく見てるなぁ……。
「さっすが美月、よく見てるね~。そんな猫マイスター美月には、陽菜ちゃんポイント20点あげちゃう♪」
俺は驚きと困惑を隠しきれず、陽菜は小さく苦笑しながら美月に抱き着いた。
陽菜はそのまま美月の背後を取ると、胸に手を回しても見始める。
「ちょっ、陽菜ちゃん? あっ♪ んっ、ぁんんっ♪」
「もみもみ……うーん、猫マイスター美月ちゃんは、おっぱいもマイスターですなぁ♪」
「陽・菜・ちゃ・ん~~!」
「あはは、ごめんごめーん♪」
美月に怒られて、陽菜がパッと身体を離した。
親友同士のいつものやり取りをドキドキしながら見守った俺だった。
ちなみに家に帰ると、窓は全部締まっており。
クロトも中にいて、俺たちを玄関までお出迎えに来てくれた。
みゃぁ!
「クロトただいま」
「美月の言う通り、別人――じゃなくて別猫だったみたいだねー」
「何ごともなくてよかったね、クロト」
こうして『クロト』追跡作戦は失敗に終わったものの、クロトの無事は確認されたのだった。
ネコタマ
黒猫を拾ったら俺んちが二大美少女の溜まり場になった。
書籍第2巻の発売記念SSです!
(既に発売後3か月以上が経過していますが……)
自分ちの黒猫と、近所の黒猫の見分けがつかないという、かなたんの悲しい実話を元にしました(っ ॑꒳ ॑c)
いやほんと、マジわからないんですよ。
「あれ? クロマメ(うちの猫)が庭に出てる?」と思ったら、ソファでぐーすか寝てるんですよね。
黒猫はマジで判別付かないと思います。
書籍版はうなさか先生の素敵なイラストが満載です!
美月や陽菜、クロトのイラストがががが!?Σ(゜Д゜)
https://www.amazon.co.jp/dp/486716805X
良かったら買ってくださいね!




