022 小物どもに虐殺を
「ぷ」
「ははッ」
「ぎゃあははははははあ!! そりゃなんだ!? ずいぶん素敵な夢じゃねェか!! オマエ、短い旅に出てるんじゃねーの!?」
ほら見ろ、笑われた。もうすこし格好の良い決め台詞がほしいぜぃ……。
「よっしゃ、やっちまおう!!」
「ありがたく思えよ!? オマエみたいなアホに、神から授かりし力を見せつけてやるんだからよォ!!」
「行くぞ──!!」
スライムは伸縮自在だ。まるでゴムのように。
おれはそのスライムを使って、3人組のひとりの首をつかむ。彼はもがいておれの手から離れようとするものの、粘着性のあるスライムがそれを許さない。
「オマエらさ……」
「おい! 離しやがれ!! 中二病のスライム娘が!!」
そして手の力はどんどん強まる。やがてバチッという電流が流れ、彼の顔から生気がなくなっていく。
そんな混乱の中……おれは叫ぶのだッ!!
「オマエらもヒトのこと言えねえくらい中二病じゃねえか!! なにが神から授かった力だよ!? こちとらいきなりロスト・エンジェルスにぶん投げられたんじゃ!! 神なんて信じねえし信じたくもない!!」
わー、理不尽。けどさ、粘り気のある水として15日間苦しみながら生きてきたおれと、神とやらに強い能力もらって奴隷売買に手を染めている連中、どちらに神は微笑むんだろうな?
と、怒号とは裏腹に冷静だったおれは、思い切り伸びたスライムの腕を、手を使って彼を地面に叩きつける。
「おー、いてェ……」
「計画変更。犯してからショッピング・ギルトへ売り飛ばすわ」
「それが一番だな」
3対1だから勝てる、とでも思っているのだろう。実際転生者3人組は余裕の表情を崩さず、各々武器を取り出した。だが、その考えこそが誇大妄想だ。
おれは近くにあったガード・レールを抜き取る。
「……は?」
「できることはたくさんあるんだよ、人間と違ってな」
ついでガード・レールを呑み込むべく巨大化した腕の中にしまいこむ。仕掛けはこれで完成だ。種も仕掛けもない、ただの殴打劇にはお誂え向きだろう。
「良いか? この腕は鉄と同じくらい固いからな」
「ま、待て!! やめろ──ッ!?」
もはや遠慮もいらなければ罪悪感もいらない。これから犯してショッピング・センターに売る? そんな野蛮極まりない宣言をしたヤツらへの攻撃に躊躇すると思うか?
彼らが唖然としている中、おれは腕を横に振る。ガギンッ!! といった骨と鉄がぶつかる鈍い音とともに戦闘も終わった。
「おお……」
ガソリンの匂いが強まる。こんな排気ガスを漏らす車に乗っていて、おれの居場所を知っているヤツなんてアイツくらいだ。おれは背後を向いて、必要なくなったガード・レールを地面に投げ捨てる。
「虐殺だな。もう呼吸してねェんじゃねーの」
「加減はしたさ。小粋」
「でもお手柄だ。コイツらは“デパートメント”の招待状を持ってるからな」
「なんだよ、それ」
「おれらみたいな怪物を売るための場所さ。さあ、行こうか」
小粋に明確な殺意が漂う。次に待っているのは殺し合いだ。
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