021 決め台詞
いつだかクラリスは言っていた。ロスト・エンジェルスを舐めている転生者が増えていると。この国にはこの国の条理があるのだから、それに従わないのは万死に値するのであろう。
「仕事としては上々でしょ? きっと貴方散々いじめられてきたろうし」
クラリスがどこまで掌握しているのかは知らないが、写真に映る者たちは別におれへなにかをしたわけではない。まあ憎たらしい顔しているなあ、とは思うけど。
「報酬は?」
「5,000メニ-出すわ」
「50万円、ねえ」
「足りないとでも? なら6,000メニ-」
「うーむ」
「……なかなか強かね。強情なだけとも言えるけれど」
だって恨みもない人間たちをぶちのめせ、って言われても困るもの。もっとこう、おれがブチ切れるに値するなにかがないと動く気にもなれない。
「……。まあ良いや。6,000メニ-で受けるよ。でもひとつ」
「なにかしら?」
「コイツらがぶっ飛ばされるに値されるヤツらじゃない限り、おれはなにもしないからな?」
「構わないわ」あっさりと言い切り、「じゃ、私はもう行くわ。あの子に謝っておいて」
クラリスは結局掴みどころがないまま、おれの部屋から出ていっていった。
真っ先にカーテンを開け、おれはミリットを部屋に入れる。
「寒い」
「ごめんな。でも、アイツは帰ったから」
「ノーマッドの副総長様でしょ? アイツ」
「ノーマッド?」
「ロスト・エンジェルスに巣食う怪物を狩るための組織。てっきりロリコンを消しに来たと思って、お姉ちゃんに連絡しようと思ってた」
立派な心構えを見せたミリットだが、同時にやはりあの女は気に食わないことを再確認する。怪物狩りが怪物と接触して気に食わない連中を潰させるのかよ、と。
「それにしても、入ってすぐ身体が熱くなってきた。暖房30度っておかしいでしょ」
「下げても良いよ。おれは入用だ」
「……。あの女がなにか命じてきた?」
「そんなところだね」
おれはしっかり条件をつけた。殴るに値するヤツらでなければなにもしない、と。
そんなわけでクラリスが置いていった携帯電話の位置情報を頼りに、おれは外へ出ることにする。まだ朝なのでそこまで冷え込んでいないだろう。
「分かった。行ってら」
「あいよ」
*
転生者は3人組だった。おれはその3人組と目が合った。
「あれ? スライム娘じゃん。なあ、スライム娘っていくらで売れたっけ?」
「1万メニ-は軽く超えるだろ。デパート様々だな」
「よし、さらっちまうか」
近づいたとき、男がなにかしらの魔法を放ってきた。それがなんの魔法かはこの際関係ない。どうせこのもちもちした身体には傷跡もつかないからだ。
ほら、ぶよーん、と音が聴こえそうなくらいにきれいに跳ね返されただろう?
「……あ?」
「なんだ、オマエ?」
おれはニヤリと笑いながら、こういうときはこう名乗るしかないと信じて宣言する。
「我が名はタイラント。いつしかこの世界を粛清する者だ……!!」
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