Episode:16 拉麺店、更なる展望
16話投稿ー。
やぁ、毎度おなじみ蝗の王だ。
実は、【コポルト】の集落に居た”ロボ”のことなんだけど、結構な拉麺好きだった事が判明した。
俺は前世で、食べ歩きをメインにした【拉麺好き】だったけど、彼は趣味で拉麺を作るタイプの【拉麺好き】だったらしい。
飛蝗拉麺コポルト支店が建てられた当初、懐かしさとその美味さから常連として通って来てた彼だったが。
”自分でも作りたい”と言う欲求を抑えきれずに居たところ、貼り出された
”従業員募集”のチラシを見て、我慢出来ずに応募して来たとかw
さすが、趣味とは言え自分で作ってただけあって、彼の仕事ぶりは堂に入った
モノで、何日か様子を見たあと、早速調理スタッフとして働いて貰う事になった。
出向させてる、眷属達との仲も良好で、彼自身もこの”店”を気に入ってくれたようだ。
彼曰く、
「此処では、拉麺作る器具が無かったし、そもそも”拉麺”と言う概念が無かったから、諦めてたワン。
だから君らには、凄く感謝してるワン。」
「君らは、シフト交代しても引継ぎが完璧(”なぅろーでぃんぐ”の恩恵で)だから
意思の疎通に齟齬が出ないのが良いワン。」
「新しいメニューが出来てもタイムラグ無しに、各支店に正確な情報が廻るから
便利だワンw」
等と、最近の彼はとても活き活きしてる。
そんな彼を見ていた周りの亜人種たちも、ちらほらと”従業員募集”のチラシに
応募して来てるので、この世界に拉麺が広がって往くのも、そう遠い事では無いだろう。
まぁ、問題と言えば”調理器具”だ。
これは【マネェ・・】システムで交換して手に入れた物なので、システムを利用
出来ない他種族にとって、一番のネックなのだ。
必要な【マネェ・・】も少ないし、俺達が提供し続けようかとも考えたが、
自分で使う道具を自分自身でカスタマイズして往くのも、この世界の拉麺が
”発展”していく上で、必要不可欠な要素だと思ったので 止める事にした。
考えて見たら、この世界には”金属”を扱う事に掛けて 他種族の追随を許さない、【ドワーフ】と言う種族が居たのを思い出し、彼らを巻き込めばイイんじゃね?って事になった。
調理器具の図面は、【知識神の贈り物】で調べたら載ってたから それを元に
改良していけば良いだろう。
【知識神の贈り物】マジパネェっす!
【ドワーフ】を巻き込むと言う方針は決まったモノの、どうやってコンタクトを取れば良いのかが判らない。
敵対してる訳でも無いので、普通に注文すればイイとも思ったのだが
武器や防具・装飾品なら兎も角、これから注文しようとしてるのは”鍋”とかと
同じ”調理器具”だ。
何故、こんな事に悩んでいるかと言うと。
そもそも生きる事、生き残る事に、懸命に為らざるを得ないこの世界では
あまり”料理”と言うモノが重要視されて来なかった。
調理とは、毒を持つ食材やそのままでは食べ辛い食材を、”食べれる”レベル
にする為の方法であって、味や食感等を”楽しむ”モノでは無いのだ。
当然、調理器具など重要視しないし、興味も持たれ無い。
特に鍋などの”形の単純”な物なんかは、よちよち歩きの【ドワーフ】の子供が
金属に慣れる為に一番最初に作る物の定番なのだ。
他の種族の鍛冶屋だって似たようなモノで、弟子や見習いなんかは全員、
鍋から始める。
細かく正確で、繊細な技術と美的センスが不可欠な 細工物専門の鍛冶師や、
金属に対する深い専門知識と熟練の技を求められる 武具専門の鍛冶師なんかは普通に居るが、
鍋などの調理器具専門の鍛冶師など、賭けてもいいけど 絶対に居ないと断言出来る。
そんな、常識が蔓延して居る世界で ある程度技術を身に付け、その技術に
見合ったプライドを持ち、全ての種族に知れ渡る程 ”頑固”な事で有名な
【ドワーフ】に、拉麺と言う”聞き慣れない料理”に使う ”調理器具”を
造ってくれ。
そんな事言おうモノなら 良くて冗談として相手にされ無いか、最悪の場合には侮辱されたと思われて喧嘩になり兼ねないのだ。
マジに冗談抜きで。
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・・・・・・
・・・・・・・・・・
良い案も思い浮かば無いので、気分転換に散歩でもしようかと考えた俺は、
【コポルト】の集落近くにある森の中を、どうしたモノかなーとウロついている
内に、鬼熊さんに出会いましたw
努力する事に目覚めた日から、レベルを上げ続け、【クラスチェンジ】を
果たして尚、鍛錬を欠かさない今の俺に取って、今さら鬼熊の一匹や百匹
何て事の無い相手だが、一応目線は逸らさない。
だが向こうも、俺の放つ”強者オーラ”を感じ取ったのか、視線を逸らそうとしない。
まぁ、こっちと違って、向こうの場合は”目を逸らせば殺られる!”と思って、
視線を逸らそうとしないんだろうけどな。
じぃーーーーーーーーーーーーーっ
やや暫らく互いの間で、かなりの温度差がある睨み合い(見つめ合い)が
続いていたが、何時までも、こんな事して居てもアホらしいので、こっちの方から
行動起してみるw
「突っ張り、突っ張り、突っ張り!」
ぱしん!ぱしん!ぱしん!
「くま!? くま!? くまっ!?」
「のど輪、のど輪、のど輪。」
かぽん!かぽん!かぽん!
「べあ!? べあ!? べあっ!? 」
「がぶり寄り!」
ずざざざあぁぁぁぁぁーー。
「くまままーーーーー!!??」
「うっちゃり!」
ぶわっ!!
「くまーーー!!?」
……ふぅ。
あまり良いアイデアが浮かばず、ちょっとストレスが溜まっていたけど、
適度な運動で丁度良いストレス解消になったなw
決して、動物虐待などでは無いんだ。
…ホントだよ?
「くま!(ウソだw)」
ん?
いま、鬼熊から突っ込みが入った様な気がするけど気の所為かな?
そう思ってそっちの方を見てみたら、涙目で俺に腹を見せている鬼熊と目が合ってしまったw
(*´Д`) やだ、何このカワイイ生き物。
思いも寄らなんだ鬼熊の可愛さに、思わず撫でくり廻していたら、アイデアも固まって来た。
イキナリ”調理器具造れやオラ!”とは言わないで、まずは拉麺の
素晴らしさを知って貰う事から始めたらイイんじゃね?
拉麺の素晴らしさを知って貰いさえすれば、放っておいても興味持つだろ。
そして、調理器具を造れる職人が居ないと さり気無く知らせれば、変わり者の一人か二人はその気になるかも知れんしなw
……若干、運任せな部分がかなりあるけど、巧く逝くような予感がするw
まぁ、これ以上考えるの面倒だしw ←【こっちが本音】
「そうと決まれば、準備しなけりゃ為らんし帰るか。」
そうして、俺は懐いたクマ(仮称)に跨って 一旦【コポルト】の集落に帰る事にした。
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・・・・・・
・・
俺が帰ると【コポルト】の集落は、ちょっとした騒ぎになった。
…そりゃそーか、鬼熊が凄いイキオイで『┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨』っと
土煙を上げながら走って来れば、そりゃービビるわなw
んで、無駄にキレイなストライド走法で、慌てて駆け付けて来た【ワン・ターレン】に説教喰らってますw ←【今ここ】
<王様、恥ずかしいからアホな事しないでよ。>
<少しは自重しる!?>
<定期的に出向する藻レラの身にもなれや!?>
<バカなの?死ぬの?>
<僕らまで、アホかと思われるじゃない。>
……ガッデムッ!!?
そんな、心温まるハートフルストーリーな展開のあと、俺の考えを開陳した処、
<ヘタに色々やるよりイイんじゃない?…運任せだけど。>
<うん、シンプルイズベストだね。…かなり運任せだけど。>
「この拉麺なら大丈夫ですワン!…まぁ希望として。」
<かなり見通し甘いけど、これと言って良い案も無いしね。>
……藻マエラ、賛成するなら文句言わずにしる!!
<でも、イキナリ支店建てんのは無理じゃね?>
<そりゃそーだw>
「最初は屋台でコツコツ逝くのが良いワン。」
<字が違うだろ、JKw>
<屋台で良んじゃね?>
んじゃ、屋台を出すって事でイイか。
それじゃー、早速屋台の製作に取り掛かるとしるかw
<まず、飛蝗マークは絶対付けなきゃw>
<移動する事を考えて沢山車輪を付けよう。>
<イメージ的に、三角屋根は外せないだろw>
「小さいと材料が積めないから、大きめにするワン」
<それじゃあ、馬車とか改造しる?>
<大きさは十分だねw>
<頑丈にする為、金属で補強しようか。>
<使わない時の為に折り畳みのギミック付けてみるw>
・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・
<<<…………………………。>>>
藻マエラ、少しは自重しる!!!
なんなの! この”移動要塞”みたいな拉麺屋台は!!?
俺らなら何とか引っ張れるけど、他の種族じゃ絶対無理でしょ!?
<えへへ~っ、ついw>
<少しは自重したよ?>
<ほんの少しだけどw>
<だが反省も後悔もしていない!>キリッ
うおぉぉぉいぃ!!!?
小まめな移動が出来なきゃ、支店建てるのと変わんないでしょ~っ!!?
<なら、諦めて支店建てちゃいなYO!>
<<< うんうん、仕方ないねw >>>
あほかぁぁぁぁぁぁぁ!!?
藻マエラ、純粋混じりけ無しのバカですか!!?
<えぇぇぇぇ~っ?>
<折角造ったのに~。>
<馬車を改造したんだから馬に引かせる?>
<2頭でも無理だろうから4頭くらい要るかな?>
移動させるのに、馬4頭に引かせる屋台とかw
…普通に有り得無ーっての。
現地で4頭の馬の世話するだけで、大変だろー!?
しかも、こんなに大きかったら俺らのポーチにも入ら無いし!
クギで打ち付けたから分解も出来ないし。
これ引っ張って、【ドワーフ】の処まで行くのかよ……。
<あ、いーこと思いついたw>
「この子、利用出来ないかワン…。」
…ん、さっき懐いたクマか?
<そそw この子に引かせればイイんじゃない?w>
<考えてみれば、引くスピードは要らないからね>
<スピードじゃ無くパワーなら鬼熊の方が何倍も強いからね。>
…ふむ。 モノは試しだ、引かせてみるか…。
・・・・・・・・・・
・・・・・・
・・
<問題無いみたいだねw>
<結構、よゆーっぽいねw>
<飛蝗拉麺と言うより、熊拉麺だなw>
<そう言えば、この子の名前は?>
「まだ 決めて無い、候補は【与作】【吾朗】【茂助】とかだけど。」
<なぜ、そんな名にしたしw>
<でも、イメージ的にはあってる…のか?>
<まぁ、どうでもイイんじゃ無い?w>
良し! そんな訳で今日からオマエは【吾作】だ!
「くまっ」
<イキナリ、候補に無かった名前が!?>
<まさかの裏切りw>
<これは、考えに無かったw>
<王様を信用した結果がコレだよ!>
早速、【フリードリヒ】に引いて貰って 出発だ!
<いやいやいや!?>
<【フリードリヒ】って何なの!?>
<いま、【吾作】って決めたよね!?>
<貴方って、本当に最低のクズだわ!w>
細けーこたぁイイんだよ!!!
<<< ”細かい事”で斬って捨てられた!? >>>
「だめだ、この人達……だワン。」
……こうして、漏れ達【拉麺普及委員会】の面々は、【ドワーフ】達を洗脳する
為に【吾作】と共に【コポルト】の集落を出発して逝ったんだw
【吾作】と書いて【フリードリヒ】と発音する。
……このネタに意味なんぞ無いわ!!w




