Episode:09 ソシエットの狂君主
9話目投稿~。
やあ、先日眷属を大幅に殖やす事に成功した、蝗の王だ。
取り敢えず、キリのいい所で90人殖やして、総勢101人に為ったよ。
これで、以前よりも効率が上がったんだけど、それだけじゃ無かった。
【造物主達】から、サポート・メンバーが派遣されて来たんだ。
「”虫”限定の【テレパシー能力】に特化した、情報収集型生物【グフたん】の皆さんでーす。」
<<<<< わ~~w、パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ >>>>>
彼らは、ZOID○に出て来る【グスタフ】を、生物的な姿にした感じの外見で、
全長2ダント、750モコスで、背中の中心に【アンテナ】の様な器官が付いた
イカした奴らだ。
全部で10匹(人?)いて、言葉を持たずに、【テレパシー能力】で直接”意思”を送受信して会話をこなす。
彼らの参入により、諜報作業は”お任せ”状態に出来るので、俺らは持てる能力を全て、【突撃・粉砕・殲滅】に当てれる様になった。
ホント、感謝してますよーw
一番の懸念事項であった、【アリさん】との顔合わせも無事済んで、【アリさん】は【グフたん】をとても気に入った様子だ。
今も、【グフたん】の背中に何人か乗って昼寝してるし、【グフたん】も満更でも無さそうな様子をしてる。
表情は変わら無いけどなw
「それじゃあ、早速【グフたん】が収集してくれた情報で、”仕事”すっか。
65号、何か緊急性の高い”仕事”ある?」
<王様、コレなんかどう?>
『”亜人種”に蹂躙戦争を仕掛けようと画策してる、【ソシエット大公国】の
”狂君主”、【ムンボー大公】の抹殺。 報酬50000マネェ・・。』
「…………突っ込み処が多すぎて、何処から突っ込んでいいモノか迷うんだが、…順番に逝こう。
この”50000マネェ・・”ってのは、何だ?」
<あー、それは神様から【グフたん】の方に直接、連絡行ったみたいで、”マネェ・・”を一定以上消費すると、神様が色々な”願い”とか、叶えてくれるんだって。
例えば、『こんなギフトが欲しい』とか『あんな道具が欲しい』と言った具合に。
だから、お金みたいに貯めて、大事に使えばすごく便利な【システム】だと思うよ。
【交換リスト】は、【グフたん】に聞けば分かるってさ。>
「…………そうか、【システム】に附いては理解した。
多分、”ネーミング”には、突っ込まない方がイイんだろうな。」
<そうだねw、ちなみに現在、”70万マネェ・・”の借金が有るから、しっかり稼がないとね。>
「ゑ?……なんで?」
<この前の、”種族的特長”の更新と、【グフたん】を派遣した分だって。>
「モノ渡した後に、請求かよ!? 性質の悪いサラ金並みじゃねーか!!?」
<僕らだけ何の制約も無しにポンポン願いを叶える事で、他の種族に”妬みの心”が生まれたら困るから、その対策の為だってさ。>
「…ふーん、そう言う事じゃ仕方ないな。」
<うん、チカタナイね。>
「じゃあ話を戻すけど、この”狂君主”って? ウィザ○ドリィネタか? それに【むん坊大公】とかwおまw」
<いや、【むん坊】じゃなくて【ムンボー】だよ、王様w
それと、メタ発言自重しる!w
その”狂君主”って言うのは、ネタでも何でも無くて、国中の人がそう呼んでるからなんだ。
もちろん、本人には聞こえない様にね。
実際、重臣達や街の人達も困ってるらしいよ、”亜人種”との仲が悪くなれば、そこでしか手に入ら無い”交易品”とかが、品薄になるし。
交易してた種族のテリトリーにある、”街道”も使え無くなって、”物流”そのものが大打撃を受けるからね。>
「なんで、”狂君主”とやらは、その亜人種を戦争で蹂躙しようとするんだ?」
<大した理由は無いんだってさ。>
「…………はぁ?」
<ただ、自分達【ヒューマン】以外の亜人種は、汚らわしくて、邪悪な存在だから
亜人種が生きてる事自体、我慢為ら無いんだと。
ちなみに、攻撃対象は大公国の周辺に住む 5種族全部で、亜人種達が何か
やったとかじゃ無いみたい。>
「それじゃあ勝ち目なんか無いし、国軍は動かないんじゃね?」
<それがねー、軍人の軍将は、金に飽かせ揃えた装備を使って見たいし、
その装備をもってすれば、『亜人種等恐れるに足らん!』とか思ってるらしいよ。
優秀で常識的な軍人達は、亜人の能力の凄さを知ってるから、なんとか軍将を
諌め様としたんだけど………。>
「…したんだけど?」
<全員、階級を剥奪されて 牢屋にぶち込まれたってw>
「馬鹿だろ!!軍将!!?
…何で、軍将が、軍のトップなんだ?」
<うん、それが【むん坊大公】の従弟みたいだから、その所為じゃ無いかな。>
「……単なる”身内のコネ”かよ……。
そいつら、”逝って良し!”だな。
(あと、65号も【むん坊】って言ってるだろw)」
<どうするの? 王様。
放っておいても、【ソシエット大公国】は、負けると思うし、この仕事止めとく?
それとも受託る?>
「いや、受託よう。
いくら 亜人側が負けないと言っても、被害ゼロで済む訳が無いし、巻き込まれる大公国の善良な人達が 哀れすぎる。
……それに”50000マネェ・・”はデカいしな!w」
<色々、台無しだよ!!>
・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・
【ソシエット大公国】の中心部に位置する城【ブルータクト】、その”君主の間”で【狂君主ムンボー】と【軍将メン・ボゥ】が、昼に開かれた会議での事を話していた。
「うむむむ、宰相の奴め重臣共を手懐けて、余の立てた計画に異を唱えるとは、真に持って不届きな奴!!」
「はっ、まさに従兄上の仰る通りかと。」
「そもそも、ナゼ彼奴らは反対しておるのだ? 余は穢れた亜人を一掃し、この混迷した人の世に、栄光と永遠の千年王国を、齎そうとしておるのに!」
自分が如何に有能で正しい(実際に、そう思っているのは彼自信だけなのだが)と信じて疑わぬ【狂君主】は、宰相を始めとした重臣達が、何故自分の発案した”素晴らしい計画”を、”不当”にも邪魔するのか、心底理解出来ずにいたので、
自分に残された”唯一の理解者”と信じて疑わぬ残忍な性癖の(この人並み外れて残忍な所を、少しも気にしてない事が、既に狂っている証拠みたいなモノなのだが)従弟を相手に、
如何に自分が不当に扱われているか、如何に周りの者達が不理解なのかを、切々と不満を垂れ流して自身の境遇を嘆き、その事によって段々と自身を、まるで悲劇の主人公の様に思い込みはじめ、自分の言葉に酔いしれていた。
そして、当の従弟が本当に【狂君主】が信じてる程に忠誠と信頼を寄せているかと言えば、決してそんな事は無かったのであるが。
(…相変わらず、頭のイカレた暗君ぶりですなぁ、従兄上?
まぁ最も、私の思惑を実行するには、その方が都合が良いのですがね。
精々、私の思惑のままに踊って下さい。
…その後は君主として責任を取らされるでしょうが、責任を取るのはトップの役目ですからねw
…それにしても、金に飽かせて整えた軍備の数々に、早く人モドキ共の血を吸わせて遣りたいモノだ…。)
…当の【軍将】と言えば、【狂君主】が自身の演説に酔ってるのをいいことに、小声で内心を洩らしてしまっていたが、
喩え【狂君主】が正気であったとしても、聞こえる筈の無い小さな声だった。
そう、人間相手であったなら。
………………醜いな。
頭のイカれた人間至上主義に染まった暗君も、それを裏で操る残忍な快楽主義者も、共に醜くすぎる!
こんな、連中を見るにつけ、改めて【造物主達】に感謝せずに居られない。
俺を人間以外の存在にしてくれたのだから。
人間を滅ぼす為の”因子”で在りながら、滅ぼす筈の人間でも在った俺は、あのままで往けば、確実に精神に異常を来たして、親父やお袋に”破滅”を齎していた筈だ。
…受けた恩に報いる為にも、こんな外道共は一匹残らず、始末せねば。
「従兄上、こうなっては非常手段も已む無しでしょう。」
「従弟よ、何か妙案でもあるのか?」
「宰相や重臣達が、邪魔で在るなら、居なくなって貰えば良いのですよ。」
「こ、殺すと言うのか?」
「いえ、あの者共も有能である事には変わりませんので、殺すには少々惜しい者共です。 (殺してしまえば、私がこの国を支配した時に苦労するからな、従兄に責任を取らせた後で、私が助けてやれば恩義を感じて一層働いてくれるだろうしな。)
牢に入れるだけで良いでしょう。
従兄上が亜人共を滅ぼして理想郷への一歩を踏み出せば、あの者共も己の不明を恥じて、改めて従兄上に忠誠を誓うでありましょう。」
「おお流石、余の従弟よ、見事である。 此れからも余を支えてくれぃ!」
「お任せ下さい、従兄上。」
「…無理だな、貴様らは此処で死ぬ。」
「「 !!!? 」」
「だ、誰だ!?」
「おのれ、何者だ!?」
主
造りし存在に問いたもう
『汝の名は何か?』
彼の存在、答えて曰く
『我が名は軍団、我等 大勢なる故に。』
「な、なに!?」
「…軍団だと!?」
「そうだ、主より与えられし使命を遂行する為、新たに生み出された”13番目の種族”。
その長、”蝗の王”。」
「神の下僕の名の下に、…貴様らの命、貰い受ける。」
「ひぃ!!?」
「落ち着かれませぃ! 従兄上!!
…愚かな虫人め、”飛んで火に入る”とは貴様の事だ!
その鎧の様な甲殻を剥ぎ取って、我が鎧として飾ってくれよう!
者共、出会え! 曲者である! 出会え! 出会えぃ!」
「…お前は馬鹿か?
何の対策もとらずにノコノコ出て来る筈無かろぅ?
この場は既に【結界魔法】で隔離してある。
この場の音は向こうに聞こえんし、出る事も出来ん。
そして此処に人は寄って来なくなる。」
「く、馬鹿な!?」
「ぶ、無礼な!余らに向かって何たる口の利き方を!?
そのままには、捨て置かぬぞ!?」
「ほぅ、…では、どうすると言うんだ?」
「えぇい! 誰も居らぬのか、誰かある! 衛兵! 衛兵!!」
無論、そう叫んだ所で【結界魔法】で隔離されたこの部屋に応援が来る筈も無く、空しく叫ぶ【狂君主】を視界に納めながら、彼は【ヤレヤレ】とでも言いたげに、肩を竦めて首を振っていた。
「そろそろ、覚悟は出来たか? まぁ出来なくとも、結果は変わらないがな。」
バコン!!
音と共に、”第2の口”が左右に開き、凄い勢いで風を吸い込み始める。
轟!!!!!!!
「「 ひぃぃぃぃいいいぃぃぃ!!!? 」」
室内を風が荒れ狂い、内装品や家具が吹き飛んでくる。
やがて、唐突に吹き狂っていた風が止むと、明かりの消えた薄暗い室内に、
全身に紫電を纏った黒い”死神”の姿が浮かび上がる。
「ひ、だ誰か居らぬか・・」
「た、たた助け、助けて・・・」
「絶望ォーーーに身をよじれィ ド外道どもォオオーーッ!!」
「絶望のォ~~~~!!
ひきつり にごった叫び声をきかせてみせてくれぇ~~!!」
「「 イヤァアアァァァァァ~~!!!? 」」
(王様、それじゃ悪役だよぉぉ~~っ)
(何故、ここでエ○ディシを!?)
(えぇい! 外野は黙って観戦しる!!!)
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・・・・・・
・・
暫らくして、巡回の兵士が、無残に荒れた部屋と、そこに残された2つの、人の形をした塩の塊を発見し、城内は蜂の巣を突付いた様な騒ぎになった。
戒厳令が敷かれ、不審な者が居ないか探索されたが、誰も頭上を気に掛ける者はいなかった。
…彼らの頭上、天井の影が濃くなり闇と化した空間で、彼は天井に立っていた、逆さまの状態で。
そうやって、頭上で狼狽え騒ぐ【人間達】を、表情を感じさせぬ顔のまま、暫らく無言で眺めていた。
その姿は、【人間達】の愚かで無様な振る舞いを、呆れている若しくは哀れむかのようであったが、やがて踵を返すと、影の蟠る暗い天井を、誰にも見咎められる事無く、逆さまのまま悠然と、歩き去って行った。
……途中まで、シリアスだったのに何故あそこで、突っ込み入れたし!!?
<<<<< あの場面での突っ込みは、仕方無いだろぉぉぉぉぉ!!? >>>>>
やっぱり、最後はグダグダでしたw




